網走の魅力を若年層に伝えるための観光資源を調査しました

 森重ゼミでは、調査対象地域をゼミ生の話し合いによって決めていますが、その結果13期生は北海道網走市で調査を実施することになりました。網走市は網走監獄や流氷砕氷船オーロラ号などの有名な観光資源があり、40代以上の認知度はほぼ100%ですが、20代の認知度は70%台に下がる現状にあります。そこで、13期生は若年層に網走市の魅力をどのように伝え、認知度向上を図るかをテーマにフィールドワークを行うことになりました。そのためには、網走市にどのような魅力があるか探る必要がありますが、北海道は夏と冬では様相が大きく異なります。そこで、まずは冬の魅力を探るため、2月26~29日の4日間現地調査を行いました。
 当日は1日目に飛行機と鉄道で現地に向かう予定でしたが、飛行機の遅延で鉄道に乗り継ぐことができず、札幌で1泊することになってしまいました。また、現地も荒天で、流氷砕氷船オーロラ号も欠航となるなど、スケジュール変更が相次ぎましたが、ゼミ生は柔軟に対応し、予定していた資源をほぼ調査できました。当日の様子や現地で学んだことなどについては、以下でゼミ生が報告します(ゼミ生の学年は調査時点のものを記しています)。
 今後は調査成果をとりまとめ、夏の現地調査に向けた準備を進めていく予定です。(森重昌之)

当日のフィールドワークの様子

  • 観光案内所での聞き取り調査の様子

  • 博物館網走監獄で記念撮影

  • 博物館網走監獄を見学する様子

  • 網走湖での調査の様子

  • 天都山展望台での調査の様子

  • タオルを凍らせる「しばれ実験」の様子

参加した学生の報告

観光案内所でうかがった網走の現状
 国際観光学部2年 古本涼馬

 今回、フィールドワークで網走に行きました。40歳以上の網走市の認知度は約100%に対して、20代の若年層の認知度は77%と、23%の差が生じています。また、若年層に「網走に行ってみたいか」とアンケートを取った結果、「行ってみたい」と答えた割合が40%と、あまり高くない結果でした。これらのことから、網走の魅力が若年層にうまく伝わっていないと考え、魅力を発信したいと考えました。
 フィールドワークを行うために準備したことは、現在網走で有名な観光地のブラッシュアップと、それらを見たり体験したりするために必要な資料を作成しました。そして、実際に網走に行きました。1日目は、関西国際空港から新千歳空港を経由し、特急列車で網走に行く予定でしたが、空路の混雑により飛行機が遅延し、札幌で1泊することになりました。2日目は、朝一番で特急列車に乗って網走に行き、当初泊まる予定だったホテルでチェックインした後、道の駅にある観光案内所に話をうかがい、昼食を済ませました。そして、網走湖畔にある温泉に行った後、観光案内所で勧めていただいたところで夕食をとりました。3日目は、バスで網走監獄に行った後、流氷館へ行き、道の駅でお土産を買い、観光案内所のおすすめの店で夕食をとりました。4日目はホテルをチェックアウトした後、特急列車で札幌駅まで戻り、新千歳空港で昼食を済ませ、帰宅しました。
 実際に現地を訪れて気づいたり、学んだりしたことは、道の駅の観光案内所に行って網走市の現状がわかり、何をすれば良いかが定まりました。まず、網走の現状はリピーターがそれほど多くないようで、2回目に訪れる人はオーロラ号で流氷を見られなかった人が、流氷を見に来るために再訪するということを聞きました。そうした観光客は流氷を見に来ているだけのため、その他の網走監獄などには行かないということは当たり前だと思いました。また、なぜ若年層の網走の認知度が低いかと思うかと尋ねたところ、若年層が旅行に行きたくなる理由のひとつに、InstagramやTikTokなどのショート動画の影響がおおいに関係があるということも聞きました。網走はそうしたSNSの動画が少なく、私たちが網走について調べた時も、InstagramやTikTokなどは使わず、公式のホームページがとても多いと、その時に気づきました。
 現在の網走に足りないのは、InstagramやTikTokなどのいわゆる映える写真や動画であり、これらでもっと紹介する必要があると考えます。また、網走は今回体験したこともあり、とても天候に左右される地域だと思いました。映える写真や動画などの場合、それを撮りに来たにもかかわらず、雪がひどく写真が撮れないといったことが起こると、とても気持ちが下がります。そこで、晴れている、雪がほどよく降っているなどの特定条件にあまり左右されない、景色の良いところを見つける必要があると考えました。

観光客減少が問題視されている網走の現状
 国際観光学部2年 山田さくら

 私は2月26日から2月29日の4日間、北海道網走市を訪れ、既存の観光施設の利用状況と、若者向けの観光資源があるかどうかを調査しました。網走市の年間観光客数は1992年度の230万人をピークに年々減少し、2021年度はコロナ禍の影響もあって141万人と、約90万人減少しています。要因として、若年層の網走に対する認知度の低下が考えられます。今後、世代交代が進めば、さらに網走の認知度は低下し、観光客数が減少することが懸念されます。しかし、網走市は歴史的にも貴重な網走監獄や、流氷を見ることができる日本有数の観光地です。これらに加え、他にもあると思われる網走の魅力を発見・活用し、若年層に向けたPRすることを研究の目的としています。
 2月28日にオホーツク流氷館に訪れました。オホーツク流氷館は冬場に海から流氷を運び、室内で温度管理することで年中、流氷を間近に見ることができます。流氷館に訪れて感じたことは、日本人観光客の年齢層は高めだと感じました。海外観光客は若年層(特に家族)が多く訪れているように見えました。また、流氷がただ展示されているのではなく、実際に触れたり、流氷が網走まで流れ着く過程を映像で学んだりしたほか、タオルを回して凍らせる体験もあり、充実感がありました。
 オホーツク流氷館に行った後、網走海岸へ訪れました。網走海岸へは最寄りのバス停から、20分ほど歩きました。当日は強風で気温も低かったこともあり、海一面に流氷が広がっていました。オホーツク流氷館で見る流氷とは形も大きさも違いました。自然がつくり出した流氷は、オホーツク流氷館とは異なる魅力や迫力がありました。網走海岸に訪れて気づいたことは、観光客が訪れている様子が見られなかったことです。私たちも網走の道の駅の方に聞くまで、網走海岸で流氷を見ることができると知らなかったです。網走海岸から流氷が見られることをPRすれば、新たな観光資源になるのではないかと考えました。
 道の駅スタッフの方にお話をお聞きした際、網走にはリピーターが訪れるとおっしゃっていました。冬に流氷を見ることができなかった方が再チャレンジで訪れるそうです。私は今回の調査で、流氷を見るためのリピーター観光客ではなく、新たな観光客獲得が必要だと感じました。また、冬の網走と言えば流氷とイメージがついているように、春、夏、秋それぞれの季節でしか味わえない網走を発見すれば、観光客の集客につながっていくのではないかと感じました。再度夏に訪れる時には通年を通して利用できる観光資源を探していきます。

網走市に対する若年層の認知度向上に向けた取り組み
 国際観光学部2年 坂上真悠

 私たちはフィールドワークで北海道網走市に行きました。網走市の年間観光客数は1992年度の230万人をピークに年々減少し、2021年度は141万人と約90万人減少しています。40代以上の中高年層の認知度は約100%に対し、20代の若年層では77%と、33%も認知度に差があります。このことから、今後世代交代が進むにつれ、網走市に対する認知度が低下していくと考えられます。現状では、20代の若年層に対して網走市にある魅力をうまく伝えられていないと考えました。そのため、若年層に「網走市に行ってみたい」と思ってもらえるような観光資源の発見・発信だけでなく、網走監獄などの観光資源の情報を若年層に向けてSNSなどで発信していくことが目的です。
 事前に準備したことは、網走市にどのような観光資源があるのか調べました。網走監獄やオホーツク流氷館、能取岬、モヨロ貝塚館、メルヘンの丘、道の駅流氷街道網走、流氷観光砕氷船 、道立北方民族博物館、北浜駅などがあがり、その中で調査対象地として実際に訪れる観光地をメルヘンの丘、オホーツク流氷館、網走監獄、道の駅流氷街道網走、流氷観光砕氷船 に絞りました。道の駅観光案内所では、網走市観光協会の方にお話をうかがい、その後流氷クルーズ「オーロラ号」に乗って流氷を見に行くことにしました。また、飛行機、ホテル、特急の予約やしおり作成なども行いました。
 調査当日は飛行機の遅延により、網走での予定が変更になりました。網走に到着して1日目は、道の駅の観光案内所で網走市観光協会の方にお話を伺いました。網走市の観光客はやはり年配の方々が多いですが、そのほとんどはリピーターであるということがわかりました。冬の時期は流氷を見るために、前回は見ることができなかった方が再度訪れるそうです。また、網走市で宿泊する観光客数が減少していて、若者の認知度が低いだけでなく、通過型の観光地になっているということもわかりました。活動2日目は、網走監獄、オホーツク流氷館に行きました。その後、流氷クルーズ「オーロラ号」が欠航になってしまったため、網走海岸に流氷を見に行きました。オホーツク流氷館の流氷体感テラスでは、マイナス15℃の室内で本物の流氷に触れ、濡れたタオルを凍らせる「しばれ実験」ができます。天気によっては見ることができない流氷が、オホーツク流氷館では間近で見ることも触ることもでき、しばれ実験もとても良い体験だと思いました。
 昭和30~40年代に網走市が栄え、その頃の華やかなイメージから抜け出せていないように感じました。今後は網走監獄やオホーツク流氷館などの施設を若者向けにどのように取り組むかが課題になると思います。また、網走市が通過型の観光地になっていることも課題になっています。そこで、網走市の若者の認知度をどのように上げていくか、観光施設を若者向けにするにはどうしたら良いのか、また通過型ではなく網走市に宿泊してもらうにはどうしたら良いのかなどを考える必要があります。網走市観光協会の方々と協力して、解決策を考えていきたいと思います。
 今回の調査を通して、天候によって行く予定だったところに行くことができなかったり、流氷も見ることができなかったりすることがあるので、予定通り進めることが難しいということがわかりました。だからこそ、もう一度行きたいと思って訪れる人がいるのだと思いました。

網走市を訪れ知った今とこれから
 国際観光学部2年 吉本慧悟

 私たち森重ゼミ13期生は2月26日から29日までの4日間、北海道道東部に位置し、博物館網走監獄や流氷オーロラ号などの観光資源を有する北海道網走市にて現地調査を行いました。
 網走市は道内でも有数の観光地であり、ピーク時には年間230万人もの観光客が訪れています。ただ、近年は網走市を訪れる観光客数は減少傾向にあり、2021年度には141万人と、ピーク時より約90万人減少しています。その中でも、特に20代などの若年層の観光客数は激減しています。その原因として、認知度不足が考えられます。40代以上の中高年層の認知度は100%に対して、20代の若年層の認知度は77%と、33%もの違いがあります。また、20代の若年層に向けて行ったアンケートによると、網走市に行きたいと答えた割合は40%ほどと、決して高いものであるとは言えない結果になっています。
 このような現状にある網走市で、博物館網走監獄などの既存の観光資源をどのように再資源化していけばよいのか、そのヒントを見つけること、および新たな観光資源を発見することが今回の調査目的です。
 まず、現地調査を行うにあたって事前に準備したことは、航空券・乗車券類・宿泊施設・流氷オーロラ号の予約、またあらかじめ訪れる場所の選定、バスの発車時刻などを検索し、当日スムーズに移動できるように行動予定を立てました。4日間のスケジュールとしては、1、4日目は移動日とし、2、3日目は現地調査日として実施しました。
 ここからは実際に網走市で行った現地調査の様子を報告します。
 網走市1日目は前日飛行機が遅延した影響で、網走駅への到着が12時頃になってしまい、午前中に予定していたメルヘンの丘での調査が行えなくなってしまいました。そのため、予定を大幅に変更し、2日目に行う予定であった網走市観光協会への聞き取り調査を1日目に行いました。聞き取り調査では、網走市の現状は通過型の観光地になっていること、資料だけではわからない課題点やGoogleマップなどには載っていない地元の方目線での絶景ポイントなどを細かく教えていただき、今後調査を行う上でとても参考になりました。聞き取り調査を終えると2班に分かれ、市内にある商店街と網走湖荘を調査しました。
 2日目は、15時から乗船予定であった流氷オーロラ号が悪天候のため全便欠航になり、乗船できなくなってしまったので、前日訪れられなかった博物館網走監獄と天都山展望台・流氷館にて現地調査を行いました。また、この日は流氷が海岸からでも見られるほど接近していたので、実際に見学に行きました。実際に博物館網走監獄を訪れて気づいたことは、展示方法が実際に手に取って学ぶハンズオン形式とされている展示物が多く、見学していて飽きさせないように工夫がされているように感じました。また、来場者の傾向として、日本人は中高年層、外国人観光客は比較的若い方が来られているように感じました。これらを踏まえて、今後の課題としては、まずどのようにして網走の認知度を向上させるか、そしてどのようにしてイメージが固定化されてしまった網走市に訪れてみたいと思わせるかだと考えました。
 今回、私が実際に網走市を訪れてわかったことは、日本人観光客は中高年層の方が大半を占めていましたが、その反面外国人観光客はほとんどが若年層の方だったということです。そのため、若年層の外国人観光客はどのようにして網走市のことを知り、なぜ網走市を訪れようと思ったのか、その動機を調べていけば、私たちZ世代が実際に網走市に訪れたいと思うようになるヒントがあるのではないかと考えました。

北海道網走市の魅力と今後の課題
 国際観光学部2年 岡田健伸

 今回、私たちは北海道網走市を訪れました。今回のフィールドワークは北海道網走市における既存の観光資源の魅力や新たな観光資源になり得る源泉を調査し、若年層の認知度を向上させるということを目的にしています。
 現地調査に訪れるまでの事前準備では、網走市内にある既存の観光資源の調査やその場所に訪れるための交通手段や日程などについて調べました。
 現地調査を通して気がついたこととして、網走監獄などの観光地は若年層にはあまり興味をひかないと思っていましたが、実際に現地を訪れてみると、網走監獄がつくられた目的や使われなくなるまでの歴史などが文字や映像として展示されていたり、実際に使われていた牢屋や独房に入ることができたり、足枷をつけることができたりと、体験型の観光施設としてとても楽しめるものだと感じました。オホーツク流氷館では、プロジェクションマッピングや流氷幻想シアターなど、映像技術が多く使われていました。映像には人気アニメとコラボしたものもあり、若者も楽しめる工夫がされていました。他にも、実際の流氷に触れたり、クリオネが見られたりするなど、ここでしかできない体験がありました。3階は展望テラスになっていて、網走湖や能取湖を天都山の山頂から一望できました。
 しかし、ここで取り上げた網走監獄やオホーツク流氷館に訪れた際、私たち以外の観光客は40代以上の方がほとんどで若年層の観光客は少なく、改めて若年層における認知度の低さを実感しました。また、観光案内所でのお話では、現在網走市は通過型観光地となっていて、日帰り観光客がほとんどになっていたり、リピート客が少なかったり、昔は栄えていた商店街にシャッターが増えていたりするなど、事前調査では知ることのできなかった情報を得ることができ、課題が多く存在していることがわかりました。今後取り組むべきこととしては、網走市ならではの流氷観光やグリーンツーリズムを行う施設の魅力をまとめた動画などを作成し、SNSなどで発信することで、若者の目に触れやすくすることだと思いました。
 今回の北海道網走市フィールドワークでは、私たちが住んでいる地域では絶対に見られない景色を見て感じることができました。雪が降っていても誰も傘をさしていない光景など、とても新鮮で外国に来たような感覚でした。最初は魅力を見つけるのは難しいと思っていましたが、実際に訪れて見ると体験型観光地や景色が想像以上に魅力的で、網走を知らない若年層にこの魅力を知ってもらうために、これからの活動でいろいろな情報を発信していきたいと感じました。

網走の現状と問題解決に向けて取り組むこと
 国際観光学部2年 稲毛悠陽

 私たちは2月26日から29日の4日間、北海道網走市に現地調査に行きました。調査の目的として、網走市の年間観光客は1992年度の230万人をピークに年々減少し、2021年度は141万人と約90万人減少しています。また、40代の中高年層の認知度は約100%に対し、20代の若年層では77%と、23%の差があります。実際、私自身も友人も網走についてあまり知らないという現状です。このことから、今後世代交代が進むにつれ、網走に対する認知度が低下していくと考えられます。この現状を解決すべく、若年層に網走に行ってみたいと思ってもらえるような観光資源の発見・発信と、現在ある網走監獄などの情報を若年層に向けてSNSなどで発信していきたいと考えました。
 調査にあたり、事前に自分たちで行こうと考えていた観光地をインターネットで調べ、調査対象地を絞りました。その時に若年層向けにどのように情報発信するかなども考えました。
 当日の行程として、26日は飛行機の遅延により予定が大幅に変更になりました。そのため、27日に道の駅(観光案内所)と網走湖荘の温泉に入り、夜は観光案内所で勧めていただいた「きた鳥」という店に行きました。28日は当初の予定であった網走監獄と流氷館に行き、その後は網走海岸へ実際に流氷を見に行きました。夜は「ぱんさん」という焼肉屋へ行きました。初日から大幅に予定が変更になりましたが、当初から訪れようと計画していた観光地に訪れることはできました。
 実際に訪れた中で、ここでは観光案内所と網走監獄について紹介しようと思います。観光案内所では私たちの調査目的を説明し、その上でおすすめの観光地をうかがいました。観光案内所の方は、「網走に来る観光客はエルダリー世代が多く、そういう人たちは流氷を見に来ることが多い。若い人が行くことが多い場所は網走監獄が多く、その理由としてアニメ「ゴールデンカムイ」のポストをしている人が多い。網走は古臭い街。最近の網走は通過型になっている。そのことで通過型から宿泊型にどのように変えていくかを私たちも考えている。地元の人が観光地を案内する場所は網走監獄、流氷館が多い」とおっしゃっていました。また、「永専寺という寺の門がもともと網走刑務所の門だった。その理由はこのお寺の初代住職さんが網走刑務所の教誨師をやっていた」という話はとても興味深かったです。観光案内所では、おすすめの観光地以外にもこうした地元の方でも知らないような話をたくさんうかがうことができました。
 網走監獄は、明治時代から実際に網走刑務所で使用されてきた建物を保存公開している野外歴史建物館で、最も古い建物は今から130年も前のものだそうです。現在と違って木を製材するもの、機械を使わずに手作業で行っていた頃の太い梁や柱には、囚人たちが削った跡が残っているなど、当時生活していた場所や食べ物、歴史を見て肌で感じることができ、貴重な体験ができました。
 今回の調査を行った結果、若者の認知度を上げるのはもちろんのこと、それ以外にも観光案内所の方がおっしゃっていた通過型から宿泊型にどのように変えるかについても、新たな課題だと思いました。それを踏まえて、今後取り組むべきこととして、今回の調査であまりできなかった観光客を対象に聞き取り調査を行う、その結果をもとに実際にSNSで情報を発信していくことだと感じました。

若者が知らない魅力が詰まるまち・網走
 国際観光学部2年 古林広暉

 今回の北海道網走市でのフィールドワークは、若年層の知名度が中高年層と比べて低くなっていることが網走市の課題であると考え、若年層に対する知名度向上、観光動機の促進するための網走市の現状把握が目的です。
 事前準備はインターネットを用いて行いました。網走市は北海道に位置する都市であり、日本一厳しいと呼ばれた網走監獄やオホーツク流氷館などの施設、冬のシーズンに見られる流氷を観光資源として、1992年度には230万人が訪れる観光都市として栄えました。しかし、それ以降観光客数は減少し続け、2021年には141万人まで減りました。
 日程は当初、網走市内で3泊4日を予定していましたが、飛行機の遅延により初日は札幌で宿泊したため、網走市内で行動できたのは2日間のみとなりました。1日目は網走駅に到着後、道の駅「流氷街道網走」内の観光案内所で網走市の観光についてお話をうかがいました。その後、ホテル網走湖荘の温泉に入り1日目の調査を終了しました。2日目はバスでまず網走監獄へ向かい見学後、監獄食堂にて昼食、その後オホーツク流氷館を見学しました。そして海岸にて流氷を観察し、調査を終えました。
 ここでは網走湖荘とオホーツク流氷館をピックアップして述べようと思います。1つ目の網走湖荘は網走湖のすぐそばにあり、温泉の入口までの道では網走湖を一望でき、白く凍りついている湖など、近畿で生活している私たちでは滅多に見られないため、感動しました。そして、網走湖荘の魅力である温泉は広々としており、サウナや露天風呂もあり、温泉としての満足度も高いものでした。さらに、露天風呂では氷点下のなか、雪に囲まれて温まる体験もまた、普段経験できるものではありませんでした。総合的に網走湖荘では非日常感が味わえる場所だと感じました。
 次に、オホーツク流氷館は流氷をテーマにした学習施設ということもあり、実物の流氷に触れたり、流氷の映像資料を見たりすることができました。私たちは悪天候により、予定にあった「網走流氷観光砕氷船オーロラ」が運休しましたが、このように流氷が見られない観光客でも流氷を見ることができます。また、マイナス15℃の世界を体感できる流氷体感テラスで、「アローラロコン 流氷の1日〜冬〜」といったポケモンとのコラボ映像が流れる期間限定イベントが開催されており、来場者が思い思いにホワイトボードに書けるスペースを見ていると、ポケモンとのイベントを目当てに訪れている人がある程度いることがわりました。このことから、私は今回の調査対象の中で、オホーツク流氷館が若者の注目を集められる可能性が大きいと考えます。
 課題としては、網走湖荘は冬に行ったからこその感動であったため季節性があり、オールシーズンで集客するには他地域の温泉との差別化が必要ということです。そして、オホーツク流氷館に関しては常設展示のボリュームが少ないため、滞在時間がどうしても少なくなることがあげられます。しかし、展示スペースも広くはないため、イベントなどを開催し滞在時間を長くした際に混雑する可能性を考慮しなければならないと考えます。また、網走市全体として、観光資源または観光対象が点在しているため、現在の移動手段はバスのみとなっています。2次交通の選択肢を多くすることで観光の幅が広がると感じました。
 網走の観光施設はそこだけで完結しているため、そこにどのように若者要素を加えるかを議論する必要があります。今回の調査で網走の魅力はわかりましたが、それを発信するだけではただの網走の現状報告であり、若者を呼び込むことはできないため、既存の観光施設や観光資源を活用するのか、新たに若者に興味をひく場所を発見するのかといった方向性も決めないといけないと考えます。
 網走のフィールドワークを終えて、網走の現状把握、強みを理解することができたため、これらを踏まえてどのように若者に対し発信するのかよく考えていきたいと思います。