諦めず、チャレンジすること

 9月1日から6日までタイのバンコクで研修があり、5日目にはタイ国政府観光庁(Tourism Authority of Thailand (TAT)に訪問させて頂きました。TATとは、政府の観光機関でありマーケティングとプロモーションの専門家集団です。外国人だけではなくタイ人の旅行の促進も行なっています。28の海外拠点があり、日本でも東京、大阪、福岡と3つあります。そこではタイの観光に関する情報を得ることが可能です。ここでは、TATの鹿野様からタイの観光振興政策についての話をお伺いしました。TATは観光庁専門の建物で、日本と違い他の部署が混合していませんでした。
 まず、昨年度の訪タイ外国人数は約2400万人。東アジアが約816万人と一番多く、次に東南アジアが739万人、ヨーロッパが630万人です。そのうち10%が旅行による訪タイで、この旅行業のみで約3兆円の収益を生んでいます。日本からは昨年約153万人、1日に約4,214人もの日本人が訪タイしました。72%がリピーターによる訪タイで、また来たくなる国です。そして、ハイシーズンとオフシーズンがありますが4月から6月と9月から10月のオフシーズにはタイ人に向けた旅行を促進し、そのバランスを保っています。パッケージ旅行ではなく、旅行会社を通さずに個人で手配をする個人手配旅行が世界的な傾向として増えておりその理由としても、LCCによる格安航空券などがあります。しかし、個人旅行客が増えると国中に経済効果がおこるという強みがあります。はじめは旅行会社を通して海外へ行ったりしますが、何度もタイを訪れたリピーターは自ら様々な地域へ行きます。その際、人が散らばれば国中に経済効果が広がるということです。その中で、個人では対応できないことを旅行会社が取り組むことが重要となってきます。

 タイの現状として、最近でもクーデターがあり、この研修もタイバンコクへ行けるか不安でした。このような不安が世界に長く広がれば、訪タイ外国人は増加しません。SARSや、津波などの災害等、政治不安など、そのたびにあきらめずプロモーションをし、安心・安全イメージの創出をしてきたタイですが、海外の拠点でも宣伝しメディアによるイメージ戦略や、安全のメッセージを旅行会社に送り出す努力が、今のタイを支えているのではないでしょうか。消費者への働きかけとして電車のラッピングが挙げられます。旅行会社の店頭販売員にも視察旅行としてタイへの視察を推進したりしています。
 Thainess(タイらしさ)を追求しており、タイ料理、体験型の生活文化、伝統行事やタイスパといった、タイをブランディングし、これだけのお金でこれだけ素晴らしい体験ができるということがタイの強みでもあります。Two-way Tourismも積極的に取り組んでおり、現在タイではビザが無くても入国できる国が60カ国あります。自治体やJATAとも提携しています。地元経済に継続的な恩恵にするには、地元の人をスタッフとして教育することで、タイ人のホスピタリティを更に高めるとともにそのホスピタリティも観光資源として活用することが可能となります。
 世界の産業の中でも観光はとても大きな産業です。必要なのは人材であり、その人材に私が少しでも将来の観光推進の力になればと思います。今回このタイバンコク研修では、新しいことを創っていく、チャレンジをするということを改めて学びました。単純にまた行きたいと思うような体験、交流があり、言葉に表せないような貴重な経験をさせて頂きました。森山先生、清水先生、並びにご協力いただきました皆様、本当にありがとうございました。