平成28年度前期卒業証書・学位記授与式を挙行しました

 平成28年9月30日(金)、本キャンパス1A会議室にて、平成28年度前期卒業証書・学位記授与式が挙行され、5学部5学科19名が卒業しました。
 井上学長は、これから旅立つ卒業生に以下の通りエールを贈られました。
式辞

本日、阪南大学を卒業される皆さん、誠におめでとうございます。教職員一同、心からお祝い申し上げます。また、今日の卒業式を迎えられるまでご家族、関係者の皆様よりいただいた数々のご支援に対しまして、改めてお礼申し上げます。

今日卒業を迎えられた皆さんが阪南大学に入学され、過ごしてこられた学生生活はいかがだったでしょうか。つい先日閉幕したリオデジャネイロ・オリンピック、パラリンピックは日本人選手の大活躍もあり、大いに盛り上がりました。皆さんが入学された2012年のロンドン・オリンピックから早くも4年が経過したことになります。今回のオリンピックには前回に引き続き出場した選手もいれば、厳しい選考を通過してようやく出場を果たした選手もいました。私たちは選手たちがオリンピックに出場するまでの厳しいトレーニングの経過を十分に知っているわけではありませんが、それぞれがこの間に様々な困難を乗り越えて大きく成長し、その持てる力を発揮する姿に感動を覚えるのだろうと思います。皆さんも阪南大学での様々な学びを通して大きく自らを成長させ、今日卒業の日を迎えられたことに、改めておめでとうといいたいと思います。

大学生活を振り返りますと、入学直後の皆さんは高校での学びと大学での学修の違いに戸惑いや不安を感じられたことがあったのではないでしょうか。時には勉学のことや友人関係などで悩み、困難に直面することもあったでしょう。また、厳しい就職事情に直面し、何度も挑戦した就職活動も思い起こされることでしょう。しかし、大学でのゼミ活動やクラブ・サークルへの参加を通して新しい友達や教職員と出会い、またアルバイトなどによる社会との関わりの中で、お互いに切磋琢磨して築き上げてきた知識や能力は、皆さんの今後の人生にとって何物にも代えがたい貴重な財産になるに違いありません。

先ほどのオリンピックに話を戻しますと、近代オリンピックはその生みの親ピエール・ド・クーベルタンの提案により、1894年に国際オリンピック委員会が設立され、今日に至っています。オリンピックのモットーが「より早く、より高く、より強く」であることはよく知られていますが、近代オリンピックの「オリンピズム」という理念については十分に知られていないかもしれません。それはスポーツを文化、教育と融合させ、人々が努力によって成長していくプロセスに価値をおいており、人種、肌の色、性別、宗教、国籍や貧富、出自等を理由とした差別を無くし、すべての人々が等しく享受できる価値であるとしています。それ故オリンピックは「平和を願う祭典」といわれているのです。リオデジャネイロ・オリンピックでは10人の「難民選手団」が参加し、大変な声援に迎えられました。通常選手たちは国あるいは地域を代表して参加しますが、母国における迫害のため他国に逃れ、受け入れ国でまだ国籍取得に至っていない人々にオリンピック参加が特別措置として、初めて認められました。また、陸上女子5000メートル予選で接触して倒れたアメリカとニュージーランドの選手同士が互いを助け合った姿を覚えている人も多いでしょう。今回の難民選手団の参加や、陸上競技での彼女らの行動がオリンピック精神そのものだと称えられたのもオリンピズムという理念に基づいているからなのでしょう。

これから社会人として旅立たれる皆さんの中にはすでに就職先が決まっている人も継続的に就職活動をされる人もおられるでしょうが、いずれは様々な職業に就かれることでしょう。今後皆さんがどのような職業に就かれるにせよ、このオリンピズムの理念については人生哲学として是非とも参考にしていただきたいと思います。皆さんがこれから旅立つ社会の様々な局面でグローバル化が進行しており、お互いの違いを理解した上で様々な人々と協力、共同することがますます強く求められていくでしょう。
これから社会に旅立つ皆さんには、大学生活を通して成長してきた自分を振り返り、阪南大学卒業生としての自覚と自信を持って、前に進んでいただきたいと願っています。4年後には東京オリンピックとパラリンピックが開催されます。そのときには阪南大学での生活を思い出し、もう一回り成長した姿を見せていただけることを期待しています。どうか皆さん、健康に気をつけてがんばってください。

本日は誠におめでとうございます。

平成28年9月30日
阪南大学長   井上 博