目に見えるものを通して目に見えない何かを捉える!

 大都市大阪。近年の大阪百貨店競争と同様に,高級ホテル業界においても,外国資本系列のラグジュアリー・ホテルが進出することで,これまでの高級ホテルを取り巻く環境も変化してきている。その背景には2020年東京オリンピックの開催を控え,政府主導のクール・ジャパン戦略も発動され,またアベノミクスや円安ドル高効果も手伝い,中国や韓国,タイからの観光客も増加していることも関係している。そこでは,日本の現代ファッションに代表されるリアルクローズの世界観と日本の和食や伝統に視点を据えた古き良き時代の観光資源が好まれている。となれば,当然在阪のホテルもグローバル化を意識した戦略を採らざるを得なくなっている。しかし,東京と大阪ではホテル利用者の求める価値が同期化しているとは言い難い背景や状況があると思われる。平山キャリアゼミでは,以上述べてきたことを踏まえながら,大都市大阪におけるホテルの存在価値を考察しつつ,ラグジュアリー・ホテルでのリサーチを通して,地域社会にとって必要なホテルのブランド価値とは何かについて考えることにする。

年間スケジュール

4月 高級ホテル業界の業界研究(1)資本・立地・組織力・売上高・業界特性など
5月 高級ホテル業界の業界研究(2)/高級ホテル訪問・見学研修(リーガロイヤルホテル大阪)
6月 ラグジュアリー・ホテルのマーケティングについて/高級ホテル訪問・見学研修
   流通学部ゼミナール大会で研究報告(ビジネス・経営・マーケティング部門第1位獲得)
7月 前期のまとめ/児島ジーンズ現地調査・探究(ベティスミス・ジーンズミュージアム・藍畑ほか)
9月・10月 ジーンズ業界研究(1)(2)
11月 高級ジーンズのマーケティング戦略
12月 プレゼンテーション資料作成①/ホテル阪急インターナショナル 見学研修
                   ザ・リッツ・カールトン大阪  見学研修
1月  プレゼンテーション資料作成②/プレ・プレゼンテーション(高大連携講座・高等学校関係者)
2月以降 プレゼンテーション実施(ホテル関係者向け)

参加学生一覧

池田嵐、尾崎祐貴、苅部凌太郎、川合真由、久山ももか、坂部葵、清水彩花、瀧田実加、西山怜奈、堀野渚、宮城孝充、向田涼哉、八木冴花、山内博斗、山口徹、山田貴弘、山本真里菜、吉田美咲、吉富吟奈、緒方呼吏咲、河口昂樹、鬼追美沙、喜多宥介、小西健哉、嶋麻沙美、杉本唯、高橋由佳、竹藤千可、田中叶、土岐あゆみ、春岡弘樹、日原優花子、本田玲奈、森津里華、薮喜行、山下輝、山田紗耶

学生の感想

流通学部 久山 ももか

 私はファッションが好きで,それをマーケティングの観点から学ぶことができる阪南大学流通学部に入学しました。その際の決め手になったものが,平山先生が仰っていた,「イタリアン・ブランドがなぜホテルを持つのかという問いに対して,そのブランドの価値を表現できる場が必要だということで,彼らはホテルを持つに至ったのだ!」というお話を聞き,とても感銘を受け,平山ゼミを選択しました。2回生からザ・リッツ・カールトン大阪やホテル阪急インターナショナルへの見学研修を通して,ファッションとラグジュアリー・ホテルの関係性にとても興味を惹かれ,3回生でも引き続きこのテーマで研究できたことは私にとっても非常に大きな出来事となりました。大阪で求められているホテルのブランド価値について調査研究を深めるにつれ,毎日がとても充実し,研究することの楽しさや厳しさの一端に触れることができ,大学で学ぶということの本当の意義をこの2年間のキャリアゼミの活動を通して知ることができました。こうした機会を与えていただいた関係者のみなさま,本当に有難うございました!

教員のコメント

流通学部 平山 弘 教授

 クール・ジャパンを代表する日本のファッション。神戸コレクションや東京ガールズコレクションの隆盛により,従来型のパリコレクションを中心としたモード世界に対して,誰もが自由に着ることができるリアルクローズの世界。その代表的なファッションスタイルであるジーンズ,デニムの世界観。平山キャリアゼミではファッションと高級ホテルを意識した研究テーマを設定することで,新たな価値を提案することができる場の創造を目指して,本研究テーマである「大阪において必要とされるホテルのブランド価値とは何か」について取り組んできた。そのため,2年次から大阪市内のラグジュアリー・ホテルへの見学研修,3年次からはジーンズの聖地「児島」での研修を通じて可視化されるファッション世界を,このラグジュアリー・ホテルの世界にも落とし込むことで,新たな価値創造の場を今回目指しました。
 昨年度から近鉄百貨店様とコラボし,売上面で十分な数字が表れていないSOLAHAについて,調査研究し,その現地調査結果を元にした,改善の方向性を提案したことで,ゼミ生たちも「自分たちがやらなければ!」という主体的に動ける力も備わってきており,今回のキャリアゼミを通して,さらなる「前へ踏み出す力」,「考え抜く力」,「チームで働く力」も,より一層向上してきたのではないかと考えている。