新今宮観光インフォメーションセンター(TIC)を拠点とした観光まちづくりの実践は,本年度,例年以上に産学連携の輪が広がり,大きな成果が得られた。特に力を入れたのは,南海電鉄との連携強化と西成Wall Art Nippon(WAN)の支援であった。なお,松村ゼミで行った活動や実践は,全て,阪南大学公式ウェブサイトに記事を挙げているので,詳細はそちらを参照していただきたい。
 南海電鉄との連携強化では,なんばパークスとなんばCITYの間にあるカーニバルモールで開催された,夏の「GO!NAMBA!」や冬の「星空スタンド」でのウェルカムインフォメーションセンターの運営,さらには南海沿線の田尻町エリアガイドマップの制作でも協働が進んだ。まだまだ課題は残るものの,産官学地の四者連携という枠組みは,今後とも大切に育てていきたい。また,南海100駅自慢では,南海新今宮駅で私たちが運営する新今宮TICを,南海萩ノ茶屋駅で西成WANを選んでいただき,南海電鉄のウェブサイトなどでポスターが公開されている。
 SHINGO★西成やアーティスト,地域の子供たちと協働した西成WAN第2弾では,日本最大級の壁画「アセラズ クサラズ アキラメズ」の企画や準備,制作の現場まで,松村ゼミが総力を挙げて支え,みんなで協働して完成させた。この活動は企画段階からメディアの注目を集め,テレビ大阪『ニュースリアルKANSAI』,朝日放送『キャスト』,NHK大阪『あほやねん すきやねん』などでも紹介された。西成WAN第2弾は完成後の反響も大きく,壁画前でのプロモーションビデオや映画の撮影依頼も入りつつある。西成WANに関しては,来年度以降も継続していく活動なので,2016年3月に開催された第11回関西元気な地域づくり発表会で発表するなど,今後とも広くその意義や成果を発信していきたい。
  • 西成WAN

 本年度はとても嬉しい出来事もあった。それは,歴代の松村ゼミが活動テーマとしてきた「新今宮TICを拠点とした観光まちづくりの社会的実践」が,観光庁主催の第3回「【今しかできない旅がある】若者旅行を応援する取組表彰」にて,近畿ブロック賞を受賞したことである。教員の松村嘉久,第12代目ゼミ長の栃原智美,第13代目ゼミ長の竹中さおりが,東京ビックサイトでの「ツーリズムEXPOジャパン2015」へ招待され,田村明比古観光庁長官から表彰状をいただいた。

 最後に,例年通り,新今宮TICを運営して外国人旅行者と日常的に関わり,外国人向けまち歩きツアーを催行してきたことも,記しておきたい。
  • 平野郷夏祭り

  • 新世界ツアー

参加学生一覧

栃原智美,中井美菜子,平山あかね,井上航太,川内麻央,川瀬将之,CHANG CHUNCHU(ジュディ),P. JANTAPAT(ジーン),南亮輔,宗政巨地,佐藤伶,有田佳由,宇都宮沙希,大久保愛仁,小幡晶子,木下佳奈,小山舞,左近未来,高岸佳梨,竹中さおり,谷村恵美,辻勇之介,西山瑛理,浜野文菜,福田葵,HE YUECHI(みき),CHUANG TOCHIA(じゅり),WAN WENLING(みづき),LAI YICHEN(あは),村野実,大嶋千波,大西美咲,川畑成美,妻藤稀保,阪上千里,辻彩佳,中島成美,西崎拓真,廣瀬直人,三宅亜紗未,三宅将生,葛井健斗,濱中勝司

学生の感想

国際観光学部 大嶋 千波

 私はこの1年間,松村ゼミのほぼ全ての活動に参加しました。意義のある様々な活動が次から次へと続き,あっと言う間に1年が過ぎてしまったように感じます。ふり返ってみると,「私たちしかできないこと」や「私たちが協力しなければ実現しなかったこと」ばかりで,色々な人たちから感謝され充実した達成感を得て,自信も持てるようになりました。
 個人的には,NHK大阪『学校再発見バラエティー あほやねん すきやねん』に生出演したことと,第11回関西元気な地域づくり発表会に参加したことが,とても良い経験になりました。特に印象に残っている活動は,やはり西成WANです。落書きだらけだった巨大な壁面を,みんなで洗って白く塗り潰し,わずか1週間ほどで鮮やかで力強いアート作品に変えました。ハプニングもありましたが,SHINGO★西成さんや,アーティストの方々,地元の子供たちや地域住民,色々な人たちと関わり,力を合わせて完成できたことを誇りに思います。

教員のコメント

国際観光学部 松村 嘉久 教授

 新今宮TICを創設して7年が過ぎました。その過程のなかで,歴代のゼミ生らが小さな成功を積み重ねてきたので,インバウンド対応の経験が蓄積され,地域からの信頼も得られるようになりました。そのような良好な土壌のもと,近年,大学生では絶対できないような活動でも展開でき,成果を挙げられる環境が整いつつあります。ゼミ活動の幅は年々広がり,継続して来た活動の内容は年々深まってきました。
 何らかの活動をやると決めたら,仕事の総量や内容や大変さが計算できます。みんなでそれを共有し,参加するゼミ生個々人が,全体の状況を見渡して,その活動を成功させるためには,自分がどのように動けば役に立てるのか,そう意識して自発的に動けるようになることが,ゼミ活動の最大の目標です。
 松村ゼミの場合,現場での活動のため失敗できないことばかりで,ゼミ生はいつも,少し背伸びして挑戦しなければなりません。そうした活動をいくつもこなしていけば,必ず成長を遂げ,地域も育ち,私も育ちます。大変なことでも,一度経験して乗り越えれば,次はそうでもないことがよくあります。当然失敗することも,できないこともありますが,大切なのは,本気になって経験する現場に立つことです。