本ゼミは「資料」の扱い方を勉強するゼミです。「資料」に関する学問、もしくは「史料」というほうがいいかもしれませんが、非常にマニア的な印象を引き起こす言葉ですが、実は大学生は社会人になって仕事をするとき、だれでも「資料」を利用しています。以前の会議録・客のコメントを走り書きしたメモないし『日本経済新聞』などの記事、いずれも資料です。さまざまな資料を比較し、資料の表面的な内容に隠された真実を抉り出せたら、仕事内容の核心がわかる。資料には第一次的資料(ナマの資料)とほかの人に整理・分析された資料(第二次資料)があります。本ゼミはこのような資料の扱い方を実用的に習得するゼミです。
 本ゼミではまず、資料は自分の手でゲットする。2011年から心斎橋で外国人観光客を対象として購買行為に関するアンケート調査を行ってきました東北大震災後、商店街で外国人観光客はまったく見当たらないことを経験したゼミ生もいれば、去年のような外国人観光客の「爆買い」をみてびっくりしたゼミ生もいます。長年同じテーマの調査で、かなりの資料を蓄積してきました。このようなデータをエクセルで統計分析を行い、自分なりの結論に導き、「考え抜く力」を鍛えました。
 また、外国語を使い、ご協力をお願いするなど「前に踏み出す力」を鍛えました。
 前期は主に座学で、夏休み前後はアンケートなどのフィールド、夏休みのあと、二つのグループにわけて英語版と韓国語版の心斎橋観光案内パンフレットを作成しました。各グループは版の様式・地図の作成から外国語の案内文の作成まで、ハードな仕事をやり遂げ、パンフレットを完成し、「チームで働く力」を鍛えました。
 今年は以上の作業を完遂した同時に、下級生・ほかのゼミの学生と連携して調査を行う試みもしました。来年、観光学部などのキャリアゼミと共同フィールドワークなどを行い、さらにディープな資料分析を行っていきたい。

参加学生一覧

石本聖、大畠奈央、河野仁美、小林亮太、城野夏帆、角梨衣、瀬田愛絵理、田原千大、中野実香、原田有理、丸谷夢実、八木風夏、山口晴緒、山下優利花

学生の感想

国際コミュニケーション学部 角 梨衣

 陳ゼミはフィールドを重視するゼミで、昨年度のフィールドワークは心斎橋で英語圏の観光客からアンケートをとることでした。最初、私たちは外国人観光客とスムーズに会話ができず、なかなか前に踏み出して、アンケート協力の呼びかけができなかった。外国の方にアンケートをお願いするのに勇気がいりました。そこで、どうすれば外国人観光客が不信感を抱かずに快くアンケートに協力してもらえるか考えました。その結果、私たちがどのようなアンケートを行っているのか一目でわかるよう看板を作って、持ち歩くとコミュニケーションもとりやすくなりました。それまでは話しかけるのに躊躇していましたが、チーム全体に自ら話しかける積極性が生まれ、分担してアンケート調査を行うことで多くのアンケートを回収することができました。
 このように少しずつの努力と工夫を重ねて、分担した調査の目標を達成しまして、「前に踏み出す力」が強くなりました。

教員のコメント

国際コミュニケーション学部 陳 力 教授

 行動がなければ、いくらいい構想があっても実現できない、チームがなければ、大きな仕事は完成できない。だから、アイディアがあれば、まず行動に移そう。
 陽明学は中国で儒学の正統ではない時代、日本の先覚者たちは、陽明学が提唱する「知行合一(勉強及び勉強によって得られた知識の実践の統一)」を自分の座右の銘として行動した。このために今のすばらしい日本文化があるのだ。今年、「踏み出す」「チームワーク」のほうは苦労しながら、受講生たちは困難に負けずに努力し、所定のフィールドの目標を達成した。英語及び韓国語の観光パンフレットの完成は「知行合一」の実践によって得られた成果だとおもう。なお、今年特に言及したいなのは各チームのリーダーはボランティアで授業以外の時間を利用し、下級生及び他ゼミの学生を巻き込んで中国人観光客の調査も行ったことである。このような主動性のある行動は継続性のあるキャリア活動につながるとおもう。特に評価したい。