活動の目的及び取り組む課題

今日、旅行需要の地域への分散化が課題となっているが、地域社会が観光による活性化を図るにあたって、基本的な課題であるといえるのは、魅力あるハード(観光施設等)の整備とともに、ソフト面での充実(洗練された人的サービス)である。とりわけ、観光関連産業においては、そのサービス商品の提供や品質管理が重要な課題となっている。一方、大都市への集中化という共通の課題を持つ日韓両国の旅行市場において、地方都市での新たな観光資源の再発掘等が求められている。しかしながら、そのような地域においては、ある程度の観光施設は整っているがそれを効果的に運営する仕組みやサービス提供のあり方等のソフト面に難がある場合が多いと考えられる。そこで、キャリアゼミでは、地域における弱点であるソフト面(洗練されたサービス)での充実を支援する活動に重点を置く。それぞれの市場(地域)に見合ったサービスのあり方について検証する。具体的には、福井県あわら市や韓国清州市において顧客が求めるサービスはどのようなものなのか。それぞれの企業等が、ターゲット顧客に満足感を与える「よいサービス」とはどのようなサービスなのか。また、「よりよいサービス」の提供に適した仕組みやすぐれた顧客満足の実践を行っている企業の戦略とは、等についても考察する。この活動により、観光による地域活性化に貢献すると同時に、学生の実践的課題解決能力の向上という双方向での効果が期待できるものと考える。

活動内容

① ㈱阪急交通社、福井県芦原市芦原温泉観光協会等の産学官連携プロジェクト説明会の実施
② 芦原温泉地域活性化に向けた産学官連携プロジェクトの各ゼミの役割分担の確認
③ 小林ゼミ:芦原温泉地域の観光資源の再発掘によるテーマ設定、学生の視点を交えたツアープランの作成
李ゼミ:芦原温泉地域の宿泊施設等に対するサービス・マネジメント視点での改善点等の提案、
④ 各ゼミ指導教員の専門性を活かした視点からの芦原温泉地域の現状と課題の分析
⑤ 複数回の現地調査の実施
⑥ それぞれのゼミ活動のまとめ、報告書等の作成
⑦ 芦原市温泉協会、観光協会、㈱阪急交通社を交えての現地報告会の実施

【中間報告】代表学生から活動状況

李ゼミは、サービスマネジメントの視点から大型旅館のサービスを研究しています。主に福井県の芦原温泉における大型旅館を対象に楽天トラベルの口コミサイトを調べ、旅館のサービスを分析しました。旅館の顧客が満足するサービスや不満足するサービスを明確にし、旅館の集客につながるサービスの提案をするという流れの研究内容です。今年6月には滋賀県の高島で、3大学(阪南大学、和歌山大学、近畿大学)合同ゼミ合宿を実施しました。そして、8月26日には、韓国で行われた「東北亜観光学会 学生国際発表大会」に参加しました。その大会では、慣れない環境の中で自らの課題を見つけ、その改善に努めました。また、異文化に触れ、国際的な交流もでき、いい経験となりました。今後もゼミ活動を通じて失敗と改善を重ねて、さらに成長していきたいです。

国際観光学部 3年生 眞鍋 良介

参加学生一覧

高橋 由季絵、岩根 みのり、宇高 正規、大西 杏香、佐藤 舞、花房 良太、日浦 久実、岡崎 龍矢、橋本 悠紀、船尾 篤史、眞鍋 良介、板原 尊、内海 純、大平 恵梨香、小川 柾樹、妹尾 美帆、東川 侑可、鍋島 海、西川 未涼、西村 直恭、福富 健、堀 聡那、三木 俊治

連携団体担当者からのコメント

株式会社阪急交通社 教育旅行センター 宍井 剛氏 一般社団法人あわら市観光協会 会長前田 健二氏

新幹線の開通により観光客が増えた北陸地方。訪日外国人も増え、各地では観光資源の発掘に力を注いでおられます。今回産学官連携を締結された“あわら市観光協会”も同様に、これまでの関西圏からの観光客を維持しながら、それらの誘致策を模索されておられます。
周辺の温泉街との差別化を図り、観光資源を発掘し展開していくことで、更なる発展が望まれる温泉街。貴学の取り組みはこれまでの歴史を学び、新しい息吹を吹き込み、『街並みや景観』、『ホテル等サービスの品質』、『観光資源を生かした旅行プランの作成』の切り口で、活性化される具体的な案をご提供されることを望まれております。さまざまなプロモーションにも力を入れ、新たな展開を試みている同協会と連携を取ることで、学べる要素も多く、いろいろな側面から温泉街を検証していくことは双方に有益であると考えます。我々旅行会社もその一躍を担い、力を合わせてお手伝いすることで、新たな“立ち位置”を見出すとともに、これからの人材育成、地域の活性化に貢献ができればと考えております。

活動日程

① 4月、㈱阪急交通社会議室にて合同ゼミの開催
② 5月〜6月、㈱阪急交通社、福井県芦原温泉観光協会等の産学連携プロジェクト説明会実施
③ 6月、滋賀県高島市において合同合宿、各ゼミでの現状分析や課題への取組み
④ 8月、現状分析、課題への取組についてレポートをまとめ、韓国国際学会大学生発表大会にて発表及び韓国清州地域との比較研究のための現地調査
⑤ 10月〜、複数回の現地調査の実施
⑥ 11月〜、ゼミ活動のまとめ、報告書の作成開始
⑦ 12月末、報告書の完成
⑧ 2月、芦原市温泉協会、観光協会、㈱阪急交通社を交えての現地報告会の実施

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