活動の目的及び取り組む課題

 アパレル企業は、市場にモノが満ち溢れた飽和時代・成熟時代の中、消費者の意識・行動・価値観の変化により、既存の販売戦略からの脱却を迫られている。特に、消費者購買行動の動機付けを向上させる販促活動の成否がきわめて重要となる。販促活動とは、売り手が買い手の購買心理を刺激し、商品を購入させる為に行う組織的な活動の事で、マスメディアを使った大規模なプロモーションやノベルティ・試供品の提供、買い手の購買心理を刺激するレイアウトや商品説明、アフターサービスの充実といった多岐にわたる活動である。その中でも、特にアパレル企業では、付加価値のあるノベルティの提供が消費者購買行動に最も刺激を与える効果があると注目を集めている。しかしながら、多くの企業が専門業者へアウトソーシングされており、企業の独自性ある開発がなされていない現実が存在している。本ゼミは、このノベルティ商品に着目し、マーケティングリサーチを行いながら、さまざまな課題を抽出し、新たな視点の販促商品を提案する事を目的とした。

活動内容

 5月から17名のゼミ生を4チームに編成し、チーム単位で研究活動をおこないました。フィールドワークは、提言先であるジャヴァコーポレーションを中心にアパレル店舗で実態調査を実施しました。12月にチームのプレゼン発表会をおこない、議論を重ねながら、課題発見とその提言をひとつにまとめ上げました。最終的に代表4名が提言先であるジャヴァコーポレーション様へ提言のプレゼンテーションをおこない、高い評価を得ることができました。プレゼンテーションおよび提案の内容は以下の通りです。
1.活動の背景、2.問題意識、3.ノベルティとは何か、4.連携先の概要研究、5.ノベルティ提案のキーワード(顧客のニーズ)、6.ノベルティの提案①・②、7.まとめ
【提案①】 インナーキャリーケース(仕入価格500〜1000円)
 女子には必須アイテムであるバッグやキャリーの小物整理にピッタリの12色展開のケース。
 ノベルティでありながら、好みを選べるという付加価値と洋服の裁断残布で製作する可能性も合せて提案した。
【提案②】 ルームソックス(仕入価格500〜800円)
 足のむくみや疲れを癒すストレッチ素材の機能性ソックス。一般的に機能性ソックスはデザイン面で難点がある。提案では、ファッションブランドらしいデザイン重視のソックスを提案した。

代表学生の感想

 私はゼミ長として目的に向かって4チームをどのようにまとめるのかを考えました。特にチーム単位で動くので、ゼミとして全員が仲間意識を持たせるように、共通の議論をするよう心がけました。実際のノベルティについて知識がなかったので、ジャヴァやゼミ生のアルバイト先店舗への実態調査から活動がスタートしました。調べるうちに、色々なことが分かり、調査の重要さが理解できました。4チームの調査結果から、全員でさまざまな議論をおこなうことから、だんだんと仲間意識を持つことが出来ました。最終的に2つの提案にまとめ、ジャヴァコーポレーション様にプレゼンをするときはみんな緊張しましたが、何度も練習していたので予想以上に上手くいきました。ジャヴァの販促担当である竹中さんや白倉さんから、鋭い質問や多くのアドバイスをいただきました。そして,最後にお褒めの言葉もいただきました。今回の貴重な経験は、将来の進路決めや就職活動で必ず役立つと思います。

流通学部 2年 植田 慶次郎

参加学生一覧

大辻 暁登、土井 史也、中尾 瑞穂、夏目 一聡、森田 憧真、赤尾 瑞希、池田 生穂、石川 凌、今井 幸花、植田 慶次郎、高林 莉沙、田中 加奈子、永井 未憂、松永 こころ、松本 京子、松本 健太郎、宮尾 康平

連携団体担当者からのコメント

株式会社ジャヴァコーポレーション 営業企画部 白倉 亮一氏 / 第一事業部販促課 竹中 智美氏

 全体講評としましては、当初大村先生と現状の弊社のノベルティのお話をさせていただきました内容(オリジナルアパレルブランドが発信するノベルティ)をふまえてご提案いただき、アパレル企業においてのノベルティが必要な理由を抽象的でなはく明確に分析し落とし込んだ具体的な商材のご提案であり説得力のある内容でした。現代社会を客観的に見た冷静な視点と、弊社がターゲットとする20〜30代女性の意識や行動など、アパレルにおいてのノベルティの課題が明確で共感できた。特に独自の付加価値のあるノベルティの作ることの重要さとその効果について考え触れられていた点が良かった。特にノベルティを効果的に販促物として使うにあたり、商品からブランドイメージまでをふまえ、点でなく線で考えること、渡して終わるだけでない話題拡散の効果や、お客様へのプレミアム感などが重要だということがよくまとめられていました。ここで、ご提案いただきました商品の実現性をより高めるために、より深めていただきたかった点を2点ほど指摘します。
1. アパレル業界だけでなく、採用するブランド(企業)のターゲットとご提案いただくノベルティ提案のイメージが合致するかどうかも重要なポイントです。挿入するモデル画像やサンプルイメージは、提案先の企業にあった画像、プリントイメージなどを多数添することがノベルティイメージを膨らませられる。さらに,サンプル(イメージでも可)を持参されるとより実現性が高くなる。
2. いままでの効果のあったノベルティの実績や、同ターゲットのブランドが実施した実績情報など、掲載できる範囲の情報を記載があれば、今回の商品をより良い物、プラスしてオリジナル性を深めていく提案が、企業(ブランド側)からも相談しやくす、実現性が高くなる。                  
 最後に、資料も視覚に訴える見せ方への工夫などの気配りがあり、要点がわかりやすく、学生さんの発表も抑揚があり聞き取りやすいと感じました。消費者、お客様に近い学生の皆様の視点や考えはとても参考になり、より深めていけば実現性も高いと感じています。
 貴重なお時間とご提案、ありがとうございました。

教員のコメント

流通学部 大村 邦年 教授

 本ゼミは、アパレル企業の悩みの種ともいえる販促物としてのノベルティSにスポットをあて、メインターゲットといえる学生目線から課題発見とその解決策として新たな提案を考えることを目的としました。キャリアゼミ活動は、チーム単位でするため、「共通認識」「役割分担」「コミュニケーション」が重要なポイントとなります。活動はフィールドワークによる調査活動を重視し、4つのグル—プに分け、自らの力で事前調査と実態調査をおこない、課題発見と対応策を考えさせました。グループ発表会では、ストーリー性ある構成とプレゼンテーションを念頭に指導し、相手へ伝えるスキルが少しは理解できたようで、素晴らしい内容でした。最終段階では、全員で議論を重ねながら、グループ提案から2つのゼミ提案へとまとめてくれました。ゼミ生は、これらのプロセスから協働と議論から生まれる「チーム力」や深く考える「思考力」の大切さを感じてくれたと思います。最終的に、学生たちは大変な緊張感のなか、ジャヴァコーポレーション様へ2つのノベルティ提案プレゼンテーションに到達したことは、今後のさらなる成長への貴重な経験価値となったことは間違いないでしょう。

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