活動の目的及び取り組む課題

 ここ数年来、ファッション業界では、服単体を売るのではなく、衣食住を中心としたライフスタイル全体を打ち出すショップやブランドが注目され、売上高を急速に伸ばしている。これまでの、物質的なモノを求めるのでなく、消費者が持つ生活スタイルへの価値観を埋めるビジネスとして注目され始めたのである。例えば、健康志向や環境に優しいオーガニックなフード、スポーツ、コスメも重要なコンテンツとなっている。つまり、私たちが生活するあらゆる環境そのものをファッションする、これがライフスタイルビジネスといえる。本連携ゼミでは、このライフスタイルビジネスの中でスポーツファッションに着目し、ジョギングやホットヨガスポーツ市場分析から課題を具体的に抽出させる。そして、課題解決の為の新商品開発を提案する事を目的とする。

活動内容

 本連携ゼミは、アパレル企業が推し進めているライフスタイルビジネスに関して、市場分析やフィールドワークをとおして課題を発見し、企業が求める新たな視点から課題解決に適応する製品開発の提案をおこなうことが目的であった。具体的な活動活動内容は以下のとおりである。
(1)新商品開発のためのマーケティング調査活動
顧客ニーズのためのマーケティング調査(市場調査、消費者アンケート調査、国内売れ筋動向調査、海外商品動向調査)をおこない、課題発見と解決のための商品開発を考えた。
(2)新製品のデザイン制作活動
マーケティング調査をもとに、STPと4Pを組み合わせ(マーケティングミックス)ながら、デザインコンセプトから基本デザインを作成した。靴下製造企業の商品開発室と大村ゼミOGのMDの協力を得ながら、デザインソフト「illustrator」の基本ツールを使用し、自ら企画したデザインを具現化させた。
(3) 新製品プロトタイプの制作活動
商品開発担当者との議論をとおして、新商品のプロトタイプを制作・完成させた。特に、実戦さながらのカラー展開や生産枚数決定など、学生では経験できない業務プロセスをおこなった。
(4)新製品のプロモーション活動
連携先企業に対して、「何を、誰に、どのような価値を提供するのか」という新製品開発のコンセプト、セールスコンセプトを立案し、企業へのプロタイプとスライド、アンケート調査分析など具体的な提案をおこなった。
※連携内容は、①大村ゼミが連携企業との折衝及びデザイン制作、②平山ゼミがマーケティング調査、を主体的におこなった。 
 連携ゼミでは、アンケート調査の立案・実施・分析は平山ゼミが担当し、そのデーターを基本に市場調査やデザイン企画、プロトタイプ制作は大村ゼミが担当した。連携ゼミの学生たちは、就職活動というタイトな状況のなか、時間を割いて、何度もお互いの活動状況について、SNSやメールを頻繁に利用しながら議論をおこない、進捗把握をしていた。このように限らた時間で、完成度の高い商品開発をおこなうためには、自らの行動に対して、効率化、集中、コミュニケーション、役割分担の責任と遂行が必要不可欠となる。
 今回の連携ゼミでは、課題に対して、ひとつのゼミのようにゼミ生同士が互いに理解し、さまざまな工夫をしながら、机上ではなく、実践的な新商品開発という大きな課題を見事にクリアしてくれた。今後ビジネスは新たな価値創造という観点から事業部間や異業種間のコラボレーションによる多角化的な要素が重要となり、協業能力が求められる。
 今回の連携ゼミによって、学生たちは4回生という制約のなか、さまざまな課題に対峙し、知恵を絞りながら、協業を成し遂げたことは、このうえない経験価値になったことは間違いないと確信する。

代表学生の感想

 今回の「ソックスの新商品開発」では、将来ファッションの商品企画やMDをめざす、私たちにとって絶好の機会となりました。実際に平山ゼミと協力した市場調査やアンケート調査を基本とした商品開発は、大変興味深いものでした。しかし、その難しさも嫌というほど経験しました。実際に企画からサンプル制作をおこなう時には、カラー展開の色決定や生産枚数予測などもさせていただきました。これは、実践と同じことを工場担当者のから言われたのですが、その時のプレッシャーは相当なものでした。しかし自分たちの企画のサンプルが出来上がった時の感激は忘れることが出来ません。また、マッシュ様へ企画のプレゼンで上京し、サンプルを見てもらいながら、より具体的なご意見や感想をいただきたことも貴重な経験となりました。今後は、今回のキャリアゼミで学んだことを実社会で活かしていくことが、大村先生や先輩方、そしてお世話になった関係者の皆様への恩返しと思い、頑張りたいと思います。

流通学部 4年 加藤 瑛美(大村ゼミ)

 流通学部ブランド・マーケティングコースでファッションを極めたいと考え、入学した私たちにとって、実際に商品企画や会議、マーケティング・リサーチ、既存競合商品の検討など、とても実践的で有意義なゼミ活動になったと思います。決して無駄にはできない資源、材料やさまざまな経費、実際のサンプルの費用など、企画の厳しさや難しさを肌で感じることができたことなど、とても勉強になりました。関係のみなさま方に御礼を申し上げます。有難うございました。

流通学部 4年 坂部 葵(平山ゼミ)
  • 大村ゼミ集合写真

  • 平山ゼミ集合写真

参加学生一覧

石井 佳綾、石原 令奈、大山 加菜、奥野 菜月、加藤 瑛美、木村 紗耶佳、久保山 文菜、小杉 遥、曽根 真希、高井 美里、中内 彩乃、中川 愛梨、中熊 萌、中谷 皓平、中村 千聖、西野 杏菜、橋本 まりあ、初川 将弘、馬崎 瑞希、古屋 悠果、細田 みのり、前田 明日香、松岡 成美、松岡 真央、柳川 拓哉、恩智 彩、池田 嵐、尾崎 祐貴、苅部 凌太郎、川合 真由、久山 ももか、坂部 葵、清水 彩花、瀧田 実加、堀野 渚、向田 涼哉、八木 冴花、山内 博斗、山口 徹、山田 貴弘、山本 真里菜、吉田 美咲、高木 吟奈、宮城 孝充

連携団体担当者からのコメント

㈱マッシュスポーツラボ 椋林 裕貴氏

 今回提案していただいたソックスの商品企画は、市場調査に基づいた分析から3つのシーン設定から成されていました。評価としては、プレゼンも分かりやすく、本当に学生が作ったのかと思うくらい、素晴らしいものでした。但し、コメントを申し上げると、もっと学生らしく非常識といえるような斬新なアイデアがあれば、もっとインパクトがあったと思います。商品企画は、儲ける商品を第一前提に考えると、大きく方向性を間違えます。常に「どのような顧客にもってもらうのか」という仮説設定が重要です。例えば、ソックスであれば、シューズのように細かく1cmピッチのサイズ展開によって、はき心地のフィット感を重視した顧客をターゲットとした商品企画のほうが説得力がありますし、非常に新鮮に見えます。つまり、常識的な採算性や生産性に目を向けすぎると斬新なアイデアは生まれないことを知ってください。そのためには、顧客ニーズのゴールを設定して、企画を逆行させることも必要だと思います。また、これからの商品開発は、儲けることばかりでなく、フェアトレードによる社会貢献や企業倫理も重要なファクターとなります。是非、将来商品企画やバイヤーをめざす学生は、このような視点をもっていただきたいと思います。頑張ってください。

教員のコメント

流通学部 大村 邦年 教授

 連携ゼミの学生たちは、時期的に就職活動と重複する状況のなか、時間を割いて、お互いの活動状況について、SNSやメールを頻繁に利用しながら役割分担の進捗を把握をしていた。このように限らた時間で、ハードルの高い課題である新商品開発をおこなうには、最もコミュニケーションが重要となる。今回中核メンバーは早期内定者が多く、活動後半では課題に対して、まるでひとつのゼミのように積極的にお互いに理解し合い、さまざまな工夫をしながら、プロトタイプ制作・完成というより可視化されたな新商品開発を見事に成し遂げてくれた。
 また、プレゼンで使用したスライドの完成度も高く、協力していただいた靴下製造企業や連携先企業から好評価を得ることができた。
 今後ファッションビジネスは異業種間コラボレーションによる新たな価値創造の多角化戦略が頻繁におこなわれることになり、社員に対して協業能力を求めることになる。今回の連携ゼミによって、学生たちは多くの制約のなかで知恵を絞りながら、協業によって自らの力で課題をクリアしたことは大きな経験価値といえるだろう。
 最後に、本連携ゼミにご協力いただいた多くの関係者の皆様に感謝申し上げます。

流通学部 平山 弘 教授

 4回生という最も忙しく、就職活動などで大変な時期にもかかわらず、この連携ゼミに前向きに取り組んだみなさまに、本当におつかれさまでした!という言葉を送りたいと思います。
 また、マッシュビューティラボ椋林社長様はじめ、数多くの方々のお力添えをいただきましたこと、衷心から感謝申し上げます。
 参加した学生にとっては、前へ踏み出す力、課題解決へ向けて考え抜く力、皆で協力しチームで働く力を、まさに自らがプロジェクトチームの下で、体感できたのではないかと信じています。
 これからの社会人生活に是非とも活かしていただき、ご活躍を祈念します。

関連ページ