活動の目的及び取り組む課題

 観光による地域の活性化を目指している国内外地域に対し、地域サイドの意向を踏まえ、「訪問者=学生」の視点を交えながら観光資源等を再発掘し、地域の魅力をテーマ性のある旅行プランに仕立て企画商品として提案する。地域の観光資源を活かした旅行商品化により、観光客を地域に呼び込み交流人口が増加し、地域振興に役立てる、というのがキャリアゼミ活動の目的である。観光が重要な政策課題になった2002年以降、いわゆる着地型観光が様々な地域で積極的に取り上げられるようになった。しかし実際の集客となるとなかなか成果が上がっていないのも現状である。このような現状の課題に対し、キャリアゼミでは、着地型観光の弱みと考えられる現地サイドの一方向的になりがちな観光資源の商品化に対し、学生の視点を交え、地域住民、観光事業関係者等とコミュニケーションを図りながら、地域が提案する観光資源に需要側の要望を加味し市場性を付加する。そうすることによって供給サイド(地域)の旅行商品内容と需要サイドの期待とのギャップが縮小し、市場(消費者)が求めるテーマ性のある体験型等の旅行商品の造成が実現し、交流人口の増加という課題の克服につながるものであると考える。

活動内容

 2016年度小林ゼミの単独型キャリアゼミ活動は、まず「地域活性化に向けたテーマ性のある旅行商品の企画開発」です。この活動は、観光交流による地域活性化を目指している国内外地域に対し、地域サイドや企業等と協働し訪問者(学生達)の視点を交えながら観光資源を再発掘し、テーマ性のあるツアーを企画し提案する取組みです。すなわち、産学官連携による新たな旅行商品の企画開発です。具体的な活動として、2年生が中心となる三重県名張市の旅行商品企画の提案です。名張市は市の観光戦略の一環として観光資源の掘り起こしや、新たな旅行商品の開発を目的に名張市域及び周辺地域における旅行商品企画について、学生の視点による新たな提案を促すため、『学生がつくる!名張市旅行商品企画コンテスト』を実施しています。ゼミから3チームが応募し1チームが予選を突破し、3年連続の入選を果たしました。また、海外では、6年目になる韓国忠清北道清州市の訪韓日本人観光客誘致に向けた取組です。8月に訪韓し、地元清州大学校学生とフィールドワークを通じて協働し、12月には、訪問者の視点での観光素材の発掘や観光サービスの改善点についてレポートの提出や訪韓日本人旅行者向けの旅行企画案を提案しました。次に企業が抱えている課題解決に向けた「産学連携プロジェクト」への取組です。旅行会社の抱えている課題「若年層の海外旅行離れ」に対する解決策として学生による学生のための海外旅行商品の企画コンテストへの参加です。日本旅行業協会主催の関空旅博における旅行コンテストでは7年連続優秀賞、今年度は3作品(アメリカ西海岸、韓国、フィンランド向けの企画案)を獲得し、その中で、第1回コンテスト以来6年ぶりに最優秀作品賞グランプリ(「女の子からの卒業、女子力ではなく女力を‐働く女性に贈るカリフォルニア7日間の旅」)を獲得しました。また、旅行会社㈱STWと「地球の歩き方」で有名な旅行雑誌出版社ダイヤモンドビッグ社との産学連携プロジェクトに参加し、「学生ターゲットの海外選定地域の魅力発掘&発信」に関する企画プランに応募し、メキシコを選定したチームが優秀賞を獲得しました。
 このように、地域や企業が抱えている課題等に対して地域や企業と協働し「学生視点による新たな旅行商品企画」という課題解決に向けた取組を行って参りました。

代表学生の感想

 小林ゼミの活動では地域活性化に向けた、テーマ性のある旅行商品の企画を行っています。ただ単に地域にある観光素材を組み合わせてツアーを企画するのではない。旅自身にテーマを持たせ、ストーリー性のある旅行商品企画を提案し、観光客が満足できる内容にすると共に、地域住民側も旅行商品を通して観光資源の価値を再認識することが真の地域活性化にむけた旅行商品企画であると考えている。そのため、小林ゼミでは2年生の後期から観光マーケティング理論を学ぶと同時に実践として、国内の地方都市をアピールするコンテスト(三重県名張市のなばり旅コンテスト)に参加するところから始めます。これまで国内外問わず、様々な企画立案コンテスト等に挑戦してきました。ゼミ活動でマーケティング的な視点を培うと同時に、企画・提案力も身についたと感じています。また、個人だけでなくチームとしての取り組みによって、コミュニケーションの大切さ、責任感、マネジメント能力等、これからの就職活動にとっても有効な能力を身に着けることができました。

国際観光学部 3年生 岡村 奎祐

参加学生一覧

伊藤 梨華、亀山 実季、桜井 花奈、足立 美樹、岡 優貴、鍛治 始奈、北林 佳奈、佐竹 麻樹、澁谷 桃子、橘 あずみ、時子山 愛、西浦 萌、西川 綾、長谷 香菜子、浜田 光里、吉田 優梨亜、畠 夏美、末永 日菜子、瀬戸 健大、赤崎 真帆、今西 佳那、上中 魁人、金岡 真里奈、北林 沙愛奈、進 美優、多和田 百華、中里 圭希、中西 尊理、西川 結、藤井 はなみ、丸山 英梨香、安田 侑加、吉田 鈴、米田 直起

連携団体担当者からのコメント

株式会社 エス・ティー・ワールド 販売促進グループ 斎藤 昇氏、山本 愛弓氏

 この度は、株式会社エス・ティー・ワールド主催「学生旅行で行きたい!国の魅力発掘コンテスト」にご参加頂き、誠にありがとうございました。インターネットの普及、それに伴うLCCやairbnbなどの新サービスの登場により、渡航先及び予約の手段そのものの選択肢も増え参りました。
 このような状況の中、弊社の学生旅行専用ツアーに掲載するデスティネーションを選定するにあたり、学生の目線で訪れる地域の魅力を発掘し、付加価値を見出していくことが学生旅行を企画する弊社にとって大切なポイントとなってきます。
 そこで、実際に学生の皆さまが「自分たちであれば、こういう旅をしたい」という想いと様々な視点から物事を捉え、マーケティング活動により導き出した企画は、我々自身も考えが及ばなかった視点があり、新しい気づきとなりました。
 また学生のご提案を元に実際の旅行商品を造成もしており、そのことからも大変価値のある企画でございました。今後もご協力いただけますよう何卒宜しくお願い致します。


教員のコメント

国際観光学部 小林 弘二 教授

 企業や地域が抱えている課題を、学生の視点を交えることによって解決に近づけて行こうとする試みがゼミ活動の目的です。キャリアゼミでは主にチームに分かれて活動をします。新たな商品を企画するに当たり、チーム内で徹底的に議論をし、意見をまとめ上げて行く過程で「相手の話を聴く力=傾聴力」、「理解しまとめる力=集約力」、「自分の意見を伝える力=伝達力」が備わってきます。幾つかのプロジェクトでの経験を通じて学生たちは、自ら考え計画し、調査し協力者を仰ぎ行動し、旅行商品企画提案というところまでたどりつくことができました。このような貴重なゼミ活動経験はこれから直面する就職活動にあたっての経験値でありアピールポイントの大きなヒントになるのではないでしょうか。

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