活動の目的及び取り組む課題

Ⅰ 近年の政治情勢により、日韓間の異文化理解や異文化交流は少し冷え込んでいる。若者の間で近隣国である韓国や韓国文化への関心が薄れており、ヘイトスピーチや嫌韓行動に対して無関心になりつつある。しかしながら、この世代の一部の若者達は、日韓ワールドカップ以降、韓国ドラマやK-POPなど韓流ブーム時代に思春期を過ごしており、昨今の冷え込んだ日韓関係に心を痛めている。
 時代が変わっても日韓が隣国である状況は変わらないし、自分たちが思春期に惚れ込んでいた韓国文化について、周りを気にせず好きでいたい、むしろ無関心な人々に韓国文化を広報したいと思えるようになった。
 隣国が互いに理解し合いながら共存することは、未来志向的に大変重要なことでもある。互いに更なる異文化交流や異文化理解を深めるためには、どのような努力が必要であるのか。日本の若者達に韓国文化をどのように広報し、互いの理解を深める架け橋になってもらえるかというのが活動目的であり、課題である。

Ⅱ タイ王国文化の理解と日本の若者へのタイ文化の広報(タイ王国大阪総領事館)
 近年、アジアの発展が著しく、アジアへの興味が高まっている。特に,微笑みの国タイ王国への関心度は非常に高く、旅行者が増えている。しかしながら、タイ王国への理解やタイ文化への理解度は著しく低く、それが意図せぬ不快感やトラブルの種になる場合がある。日本の若者たちにタイ王国文化への理解を促し、タイ王国文化をどのように広報できるかがこの活動の目的である。

活動内容

 多様な異文化の体験や交流、異文化人とチームを作って活動することで、共存するための他者理解が深まった。異文化を調査することで、自国文化への興味が沸きはじめ、自国文化への認識や探求心がより深まった。この活動の詳細は、以下のとおりである。

① 関西圏内での韓国文化発信地である駐大阪韓国文化院を訪ね、自ら韓国文化を体験・理解した。
② 韓国文化について深く理解するため、韓国に現地調査に行ったり、資料を調べたりした。
③ 駐大阪韓国文化院関係者やタイ王国領事館関係者と阪南大学来学日程や異文化紹介内容を調整した。
④ 阪南大学国際コミュニケーション学部の学生に、異文化理解と体験の一環として、韓国文化の紹介と直接体験会を行った。
⑤ 阪南大学国際コミュニケーション学部の学生に、異文化理解と体験の一環として、タイ王国の文化を紹介し、タイ王国の伝統舞踊を観覧した。
⑥ タイ王国の文化を深く理解するため、「タイ・フェスティバル」に参加した。
⑦ 韓国文化の体験や紹介活動とタイ文化の体験や紹介活動に関する報告会をした。
⑧ 韓国の音楽と日本の音楽における歌謡曲の歌詞に含まれた表現の文化差を調査した。
⑨ 対人関係や恋愛観、結婚観に対して日韓比較研究を行い、若者の結婚観に関する両国相違を調査した。
⑩ 日韓比較文化の調査研究に関する報告会を行った。

代表学生の感想

 私は大学生活の中で、CHOゼミの活動テーマの一つでもある「異文化体験や異文化交流」の活動として、様々な活動に参加しました。
 まず、大阪の中島にある韓国文化院を訪問し、韓国文化を直接体験することで、隣の国の文化に対する理解が深まりました。その後、ゼミ生で「韓国文化の紹介と韓国伝統舞踊の鑑賞会」を企画し、阪南大学の1年生の授業「異文化理解入門」の中で、実際に異文化を観て感じてもらえるような体験型授業の企画・運営を実現しました。また、韓国文化院の韓国料理コンテストのイベントにボランティアとして参加したり、韓国観光公社の様々なイベントに参加したりもしました。さらに、卒業論文では、日韓の文化の違いを歌謡曲の中に表現されている歌詞を比較することで、日本人と韓国人の特性や違いを深く知ることができました。様々な活動を通じて、社会人の方々と関わり、社会人としての実践力や行動力、マナーを学ぶことができました。さらに、韓国の文化や韓国に関する仕事、韓国の関連会社の取り組みを実際に体験しながら感じることができました。これらの活動は、就職活動にも活かすことができ、私は旅行会社に就職が決まりました。これからも、常に楽しく学ぶ心を忘れず、積極的に仕事に取り組んでいきたいと考えています。

国際コミュニケーション学部 4年生 天野 智美

参加学生一覧

天野 智美、奥井 悠香、奥野 奏音、加藤 紗希、亀川 桂子、貴志 涼加、高有 由佳、近本 綾香、中村 愛、橋山 茉依、綿谷 彩、池田 梨奈、小田 夏羽、角井 優、勝矢 優香、鎌田 吉美、下家 千春、小林 舞弥、下園 穂乃花、武田 博美、仲田 葵、野口 安佳里、野中 千穂、牧 未来、箕浦 実紗、矢野 未菜美、吉田 宗馬、若狭 美咲、有井 康陽、石倉 果歩、上原 茉里奈、宇佐美 彩夏、裏野 秋穂、上村 真里奈、河合 友紀、小関 遥奈、田中 芙実、谷畠 嵩、中本 綾香、森谷 友哉

連携団体担当者からのコメント

駐大坂韓国文化院 院長 朴 英恵氏

  国際コミュニケーションを専攻される皆さまにとって、最も大切なことは「他国の文化に関心を持ち理解を深める」ということではないでしょうか。
 CHOゼミの皆さんは、毎年、大阪韓国文化院の施設を訪問になり、様々な韓国文化を体験し多くのことを学ばれ、韓国文化への深い関心と理解を通して豊かな国際感覚を育んでいます。
 また、韓国文化院が伝統芸術公演団とともに阪南大学を訪問し、学生の前で韓国文化を紹介する機会を毎年頂いております。ご覧いただいた皆さんにとっては、日本にいながら韓国の文化に触れることができる貴重な時間であり、文化院にとっても次世代を担う若い方々の趣向や考え方を知ることのできる機会となり、お互いにとって非常に意義のある行事になっています。
 今後も韓国文化院の活動が、阪南大学の皆さんに、韓国の文化をはじめ世界の文化を理解することに役立つことを期待しておりますと同時に、将来、皆さんが国際的な舞台で活躍されることを願っております。

教員のコメント

国際コミュニケーション学部 CHO Mikyung 教授

<異文化を楽しみ,自文化への興味が沸く>

 孫子兵法に、「知彼知己、百戰百勝」という。この言葉は、「他者を知り、自己を知れば、殆どの戦いに勝てる」という意味である。ゼミ生達は、異文化交流や異文化理解活動を楽しみながら他者を知ることにより、自己文化への無知に眼覚め、自文化を調べることになる。
 ゼミ生達は、自分達の異文化体験や理解に留まらず、周りへの異文化紹介活動にも企画・運営に取り組んでいた。自らの企画だからこそ、皆で意見を出し合い協力しながら、自分たちの企画を成功に導く努力を惜しまなかった。異文化紹介の企画運営における全過程を楽しみながら一生懸命取りかかることで、自然に自己文化への興味も大きくなり、異文化と自文化の比較から自己理解を深め、成長する日々であった。
 ゼミ活動としてチームで働くためには、状況把握や意見調整、柔軟な対応力が求められる。数多くの活動に対して、時には強いリーダーが、時には役割を分担し、一人一人が主体性を持って取り組む姿や互いに励まし合う姿が伺えた。その中で、共存すること、他者を理解することを学んだはずである。共存するために他者を理解することは自分自身をより深く理解することに繋がる。何より共に歩むための心構えについて深く考える機会となった。異文化は遠くに存在するのではない。自己の価値観と異なる文化の持ち主と接したとき、我々は異文化に遭遇する。異文化人を理解することは、自己を改めて振返り、自己を深く理解することにもつながる。「知彼知己、百戰百勝」である。彼らの成長は、きっと次の社会生活で活かされることを信じる。

関連ページ