安城ゼミ2回生の京都西陣でのフィールドワークも、今年で3年目を迎えました。今年も、昨年に引き続き、11月中旬に、西陣織会館で平織(ひらおり)のテーブルセンターを作成する「手織体験」に参加した後、西陣織の職人さんの作業の様子を見学させていただきました。思いがけない収穫として、数少ない紋紙(もんがみ:織りたい紋様に織ることができるよう紋様に合わせて穴の開けられた紙。この穴に基づいてジャガード織機が動く)の職人さんの実演の場面に居合わせることができ、ゼミ生一同、紋紙の歴史と現状に関する貴重なお話に耳を傾けていました。
 12月から1月にかけては、全国各地で作られている西陣織以外の伝統織物の歴史と現状に関する資料調査を行い、最終課題として、最も関心を持った織物についてプレゼンテーションを行ってもらいました。

学生コメント

今回の西陣織会館での手織体験では、平織で、長さ30cmほどのテーブルセンターを作成しました。機(はた)を目にすること自体が人生で初めてのことで、とても新鮮で貴重な体験ができたと思います。平織の作業自体は予想していたより難しくないと感じ、慣れてくると早く織ることができましたが、平織よりもはるかに複雑な文様を織り出す西陣織の職人さんの大変さを身をもって理解することができました。手織体験の後、館内で、職人さんが実際に西陣織を織るところを見せていただいたことも印象に残っています。今何の作業をしているのか詳しく説明しながら手を動かしてくださったので、私たちが体験した平織とどのような点が違うのかがよく分かりました。西陣織をはじめとする織物の業界では、後継者不足が深刻な問題になっているということを事前学習で学びましたが、いずれも、長い伝統を持つ唯一無二の財産なので、何とか未来に受け継がれていってほしいと強く思います。
流通学部2年 石戸 杏奈

参加学生一覧

井野 壮志、 玉置 寛至、 義村 真海、 石戸 杏奈、 福田 沙弥、 宮城 杏海、 甘利 俊介、 恒田 楓、 妻木 萌香、 植田 愛衣、 登 佑香、 別苻 志遠、 渡 夢現

連携先コメント

西陣織会館
西陣織会館館長 大槻 ゆづる 様

西陣織は帯・きもの以外にも、金襴・洋装・インテリアと様々なものに使用されています。体験を通して西陣織が皆様の身近なものとなり、今後の生活の中でひとつでも西陣織を取り入れていただければ嬉しく、私達も持続可能な織物産地を目指して参ります。

教員コメント

流通学部
安城 寿子 准教授

「伝統織物」という言葉の持つ響きからか、当初はなかなか関心を示してくれなかったゼミ生も、実際に手足を使って機(はた)を動かす体験をし、西陣織や紋紙の職人さんからお話をうかがうことで、徐々に問題意識を持って積極的に調査に参加するようになっていったように思います。西陣織をきっかけとして、桐生織、博多織、銘仙といった他の伝統織物にまでゼミ生の関心が広がっていき、今年も実り多いフィールドワークとなりました。特筆すべきこととして、織だけでなく染にも関心を持ち、友禅染の技法を活かした「京都デニム」について自ら調べて工房の訪問まで実現させたグループがあり、最終課題において、密度の高いプレゼンが行われたことは大変喜ばしいことです。 最後になりましたが、今年も貴重な機会をくださった西陣織会館様に心から感謝を申し上げます。