産学連携先:藤嶋陽子氏(株式会社ZOZOテクノロジーズ、東京大学大学院学際情報学府博士後期課程) 

Fashion Techとは、「Fashion」と「Technology」から成る造語で、先端的な技術を駆使してファッションの可能性を広げる試みのことである。近年では、特に、AI技術を活用した製品やサービスの開発が注目されてきた。

2021年度の安城ゼミ基礎演習では、キャリアゼミ活動の一環として、昨年度に引き続き、ZOZO研究所リサーチサイエンティストの藤嶋陽子氏をお招きしてFashion Techの最前線についてお話をうかがう機会を得た。昨年度は十分に踏み込むことのできなかったファッションデザインへのAI技術の活用を中心にご講演いただき、ゼミ生が普段あまり触れることのない分野について理解を深めることができたように思う。

活動スケジュールは以下の通りである。

2021年10月~11月 事前学習として、そもそも「AI」とは何かをグループごとに調べ発表する
2021年11月30日 藤嶋さんご講演(質疑応答)
2021年12月~2022年1月 藤嶋さんのご講演を踏まえて「Fashion Techとファッションの未来」についてディスカッション→藤嶋さんからコメントをいただく

学生活動状況報告

 藤嶋さんのご講演を通して、テクノロジーの進化によって、自分のアバターに似合うコーディネートをしてもらうサービスやAIによる服のデザインの試みが既に行われているということを知り、驚きました。一方で、AIによるデザインと言っても、そのためのAIの設定を行うのは人間なので、設定の仕方次第で様々なデザインが生まれるというお話は大変興味深かったです。今後のファッション業界において、こうしたサービスやAIの活用は普及していくと思います。しかし、これからも、実店舗での試着や接客に重要な意味があることは変わらないでしょう。デザインにおいても、AIによる服のデザインのお話がそうであったように、人間が全く手を加えずに服が作られるということはないと思うので、どのような形でAIの技術を活かしていくかが今後の課題になってくると考えました。
流通学部 清澄亜依理

ゼミ集合写真

参加学生一覧

臼井 奏太、片芝 心優、川西 愛美、清澄 亜依理、黒川 勇輝、黒木 文太朗、光嶋 ナツ、清水 七海、清水 伶恩、高橋 郁裕、徳田 汐音、豊里 美友、YANG BINGQI、吉川 ほのか、米原 紀乃

連携団体担当者からのコメント

株式会社ZOZOテクノロジーズ
東京大学大学院学際情報学府博士後期課程
藤嶋 陽子 様

ファッション領域における先端的なテクノロジーの導入というと、今自分の身につけている衣服とはかけ離れた、SF映画の世界のようなものを想像するかもしれません。しかし、すでに私たちの周囲には、先端的なテクノロジーを活用した新たなサービスやプロダクトがすでに普及し始めています。今回、安城先生に講演の機会をいただき、これからの社会を担っていく学生のみなさんには、身近な事例からその先につくられる未来の生活、文化や社会を考えてもらえたらと思いました。事例を色々と紹介させてもらい、特にファッションデザインとAIという部分に関心をもってくださった方々が多く、こういった興味を持った実践や潮流を知ることを通じて、ファッションだけに限らない人間の生活とテクノロジーの関係、その可能性や課題といったことをより深く理解し、考える契機になったら嬉しく思います。

教員のコメント

流通学部 安城 寿子 准教授

ゼミ生の多くは、ファッションのビジネス的側面だけでなくデザイン的側面に強い関心を寄せているせいか、ファッションデザインへのAI技術の活用に関する藤嶋さんのお話に昨年度以上に熱心に耳を傾けていたように思う。ご講演後の質疑応答も活発で、特に、「AI」と聞くと、人間が全く介在せずに完成するデザインをイメージしてしまいがちなため、今後デザイナーは必要なくなっていくのかという点に質問が集中した。藤嶋さんからは、さらに、服のデザインのどの部分にどのようにAIを活用するかは人間が決定するため、それを考えていく面白さがあるという説明をいただき、ゼミ生一同、AIの活用に「人工知能まかせ」ではない未知の可能性が潜んでいることに新鮮な驚きがあったようだ。貴重なお話を聞かせてくださった藤嶋さんにこの場を借りて心より御礼を申し上げたい。