活動テーマ:「アスレジャー」ファッションを起点としたソックス開発
産学連携先:コーマ株式会社


 日本は2020年東京オリンピック開催を契機に国家プロジェクトとしてスポーツ関連の啓蒙を進めており、健康志向というキーワードのもとで、早くも気軽に楽しめるジョギングやウォーキング、ホットヨガなど、ソフトスポーツが女性を中心に人気となっています。ここで注目されるのは、多くのスポーツメーカーが女性向けを中心とした、シューズやウェアの「アスレジャー」製品開発で激しい競争が繰りひろげられていることです。しかし、高機能でオシャレなソックスの開発は一向に進んでいないことが市場調査から確認できました。大村キャリアゼミでは、このスポーツとレジャーを組み合わせたファッション「アスレジャー」というテーマの中から、高感度で高機能なソックスの新商品開発の提案をコーマ株式会社様におこなうことを目的に活動してきました。そして、マーケティング調査やサンプリング分析の結果、多くの課題を発見し、その解決策を議論しながら、以下の商品開発の提案をおこないました。

(1)「アスレジャーに適応する高機能ソックス」の開発
 ①オシャレなスタイリングをサポートする「ソックス」
 ②ベーシックでありながらファッション鮮度が高い「ソックス」
 ③コーマの高機能技術を活かした女の子らしい「ソックス」
(2)「オンとオフの2WAY高機能スポーツソックス」の開発
 ①仕事後のアフター5でも履ける男女のための「ソックス」
 ②スポーツするときもオシャレが際立つ「ソックス」
 ③スーツにも便利な付加価値となる「ソックス」 
(3)「ルームソックスで疲れを取るソックスの開発
 ①ライフスタイルにこだわる男女のために、オシャレに  カッコよく、癒しを感じる「ソックス」
 ②機能性と健康機能を備えた欲張りなルーム用「ソックス」
 ③コットンや天然ウールなどオーガニック素材を重視する「ソックス」

学生活動状況報告

 私たちはソックス市場の現状を知るために、梅田、心斎橋、なんば、天王寺のソックスを販売する店舗の調査を4チームに別れておこないました。そこで分かったことは、ナイキやアディダスなどの大手企業でなく、スケートボードメーカーなど中小企業でありながら特化型のスポーツブランドが、アスレジャーとして積極的に個性豊かにファッション化したソックスを開発して、若者を中心に人気があることでした。また、チーム毎に興味を抱いたソックスをサンプリングし、そのソックスについてバズセッションでさまざまな意見を出し合って、商品特性や改良点などの分析をしました。そしてコーマ様への提案をまとめる段階では、先生やコーマの商品企画の担当の方、ナイキやタカハシスポーツの店長をはじめ、多くの方から意見をいただきました。そして、徐々に具体的なアイデアをゼミで出し合い、2月に3つの提案が出来上がりました。最終的にコーマ吉村社長様にプレゼン提案をおこない、社長から具体的な意見や指摘をいただきました。そして、最後の総括で吉村社長様から、「提案内容が具体的で素晴らしい。今日は私も大変勉強になりました」と言葉をいただいた時は、さすがに感激しました。今後は、このキャリアゼミでの貴重な経験や学びを活かし、残りの学生生活や就活に向かって、頑張っていきたいと思います。

流通学部 福田 雄飛

参加学生一覧

小島 佳美、中井 麻由奈、西林 拓真、井上 翔太、小澤 孝文、菊池 真魚、北原 佳乃、公文 航平、甲田 啓憲、古賀 七海、高森 彩、田中 里奈、仲谷 芙優、福田 雄飛、牧村 友哉

ゼミ集合写真

連携団体担当者からのコメント

コーマ株式会社
代表取締役社長 吉村 盛善 氏

今回大村ゼミの皆さんのプレゼンテーションを拝聴し、レベルの高さに驚かされました。今日に至るまで皆さんが周到に準備されていることがよく分かりました。テーマとして弊社の高機能ソックスをファッションの流行であるアスレジャーという観点から興味深い3つのご提案をいただきました。内容は、ソックス業界の現状分析とその課題、大阪市内の市場調査やサンプリング、そして商品分析などに基づく素晴らしいものでした。特にオンとオフの2WAY高機能スポーツソックスのアイデアが素晴らしく、是非とも開発担当者と打ち合わせ、商品企画案として取り組んでいきたいと考えます。また、私もあまり詳しく知らなかった、高級ブランドであるルイ・ヴィトンやグッチなどがアスレジャーファッションへの対応商品として、ブランドロゴをモチーフにした高級ソックスを数多く開発し、高価格帯でありながら良く売れていることは、大変勉強させていただきました。このようにソックスの専門会社である弊社が気づかないことを若い学生の新鮮な切り口から、最新の市場動向を教えて頂けることは非常にありがたいことです。今後とも、宜しくお願い致します。

教員のコメント

流通学部 大村 邦年教授

 本キァリアゼミは、連携先企業コーマ様の高機能スポーツソックスを「アスレジャー」ファッションという新たな観点からソックス市場の分析とフィールドワークをおこない、コーマ様と議論しながらマスターコンセプトを構築し、新商品開発をおこなうことを目的としました。「アスレジャー」とは、アスレチック(運動)とレジャー(余暇)を組み合わせた造語で米国西海岸を中心に広がりをみせてきました。その要因は消費者のライフスタイルが、衣食住すべてのものに日常的で肩の凝らないリラックスした価値観といえる、カジュアル化が進展していることがあります。ルイ・ヴィトンやグッチといったラグジュアリーブランドから、ナイキやアンブロといったスポーツメーカーも挙って「アスレジャー」コレクションを次々と発表しており、スポーツ分野も今やファッションのひとつとして認知されていることが分かります。
 主な活動は、ソックス業界の市場分析による現状把握と課題の発見、その課題解決による提案というプロセスで進めました。学生には「誰に、何を、どのような価値を提供するのか」を常に考え、マーケティングの基本を押さえながら、提案をまとめ上げることを指導しました。限られた期間内にコーマ様へ完成度の高い提案をおこなうためには、作業の効率化と集中、コミュニケーション、役割分担の責任感と遂行力などのパフォーマンスが不可欠となります。ゼミ生は、4つに分けたチーム単位で常に行動し、大阪市内の主要商圏でのマーケティング調査・サンプリングを実施しました。そして、ゼミ時間外でも徹底的に議論し、商品開発のコンセプトを明らかにしながら、最終的に3つの提案にまとめ上げることが出来ました。最後のコーマ様へのプレゼンによる提案では、周到な準備をおこなった結果、コーマ社吉村社長様から高い評価をいただきました。ゼミ生たちは、難解な課題という高い壁に真摯に向き合い、助け合いながら壁を乗り越えたことは、かけがえのない経験価値を得たと考えます。最後に、コーマ株式会社吉村社長様をはじめ多くの企業様の方々に、ご協力いただきましたことに衷心から感謝申し上げます。