【阪南大学×松原市】スポーツで街をブランディング『キッズドリーム スポーツチャレンジinまつばら』
『スポーツのまち松原』を掲げ、将来のオリンピック選手の輩出をめざす取り組みを行っている大阪・松原市。
実はその影に阪南大学の協力があることは、まだあまり知られていない。
産学連携の実学教育が特色の阪南大学と、スポーツによる街の活性化をめざす松原市。
両者がタッグを組んで実現させたイベント『キッズドリーム スポーツチャレンジinまつばら』を取材した。
実はその影に阪南大学の協力があることは、まだあまり知られていない。
産学連携の実学教育が特色の阪南大学と、スポーツによる街の活性化をめざす松原市。
両者がタッグを組んで実現させたイベント『キッズドリーム スポーツチャレンジinまつばら』を取材した。
阪南大学体育館に約300名の地元小学生が集合
3月16日(日)の午後、阪南大学本キャンパス体育館「GYG HALL」に400名近い松原市民が集まった。ここで本日開催される『キッズドリーム スポーツチャレンジinまつばら』に参加する地元小学生とその保護者たちだ。『キッズドリーム スポーツチャレンジinまつばら』は、松原市と市の教育委員会が主催する、市の子どもたちにスポーツの楽しさを伝えるイベント。一般社団法人アスリートネットワークのメンバーとともに、子どもたちへの指導役として参加したのが、阪南大学流通学部スポーツマネジメントコースの学生を中心とした、トランポリン部、バドミントン部、ダンス部のメンバーと、早乙女ゼミの学生だ。同イベントは第4回目を迎えるが、今回より阪南大学が全面協力することとなった。
開会式で挨拶に立った松原市長・澤井宏文氏が「阪南大学とは、松原市と一緒になって市の街づくりに協力してもらっています。参加者のみなさんも阪南大学に感謝の気持ちを!」と会場に呼びかけるなか、学生たちは緊張した面持ちで市民の期待を受け止めた。
開会式で挨拶に立った松原市長・澤井宏文氏が「阪南大学とは、松原市と一緒になって市の街づくりに協力してもらっています。参加者のみなさんも阪南大学に感謝の気持ちを!」と会場に呼びかけるなか、学生たちは緊張した面持ちで市民の期待を受け止めた。
元オリンピック選手らとともに、子どもたちを指導
今回開かれたスポーツ教室は、『バドミントン教室』『ダンス教室』『トランポリン教室』の3つ。
3面のコートが用意された『バドミントン教室』では、元オリンピック選手の小椋久美子さんがメイン講師を務めた。模範競技の相手役に選ばれたのは、阪南大学バドミントン部キャプテンの臼井健人君(2年生)。「次はこういう動きを見せたい」と指示する小椋さんに応え、約90名の小中学生の前でシャトルを打ち合った。「元オリンピック選手と一緒ということで、とても緊張しましたね」と臼井君。「でも、僕と打ち合いながら子どもたちにバドミントンのコツを伝える小椋さんの指導姿は、とても勉強になりました。
僕も部活で後輩を指導することはありましたが、小中学生相手は勝手が違いますね。わかりやすく噛み砕いて説明し、動きも具体的に見せて…と工夫が必要だと感じました」と、次の機会への意欲を見せた。
3面のコートが用意された『バドミントン教室』では、元オリンピック選手の小椋久美子さんがメイン講師を務めた。模範競技の相手役に選ばれたのは、阪南大学バドミントン部キャプテンの臼井健人君(2年生)。「次はこういう動きを見せたい」と指示する小椋さんに応え、約90名の小中学生の前でシャトルを打ち合った。「元オリンピック選手と一緒ということで、とても緊張しましたね」と臼井君。「でも、僕と打ち合いながら子どもたちにバドミントンのコツを伝える小椋さんの指導姿は、とても勉強になりました。
僕も部活で後輩を指導することはありましたが、小中学生相手は勝手が違いますね。わかりやすく噛み砕いて説明し、動きも具体的に見せて…と工夫が必要だと感じました」と、次の機会への意欲を見せた。
2つのスタジオで指導を行っていたのが『ダンス教室』だ。指導者は、日本のHIPHOP界を代表するチームのひとつHEXBEXのHONGOU氏。基本の動きを丁寧に指導するHONGOU氏の姿を見ていたダンス部副部長の徳永瑞季さん(2年生)は、「振り付けより楽しむことが大事だ、とおっしゃっていたのが心に響きました」と真摯な顔を見せた。部員数約70名のダンス部は、これまでも市のイベントに参加してきた。だがそれはあくまでダンサーの立場での参加。「私も『松原市民バラフェスティバル(昨年5月開催)』で、ダンスを発表したことはあります。でも、指導する機会は初めて。こうしたイベントをどのように進め、指導するものなのか参考になりました」と語った。
『トランポリン教室』コーナーでは約80名の子どもたちの前で、阪南大学トランポリン部に所属する選手4名が模範演技を披露。いずれも日本・世界で活躍するトップアスリートだ。ホールの天井近くまで飛び上がり、体操競技さながらに身体をひねり回転する選手たちの姿に、子どもたちや保護者からは感嘆の声が漏れた。選手2名が動きを合わせて行うシンクロナイズド競技の模範を見せた山口晴緒さん(1年生)は、「私も小学3年生のときにトランポリン競技を見たのがきっかけで、トランポリンを始めました。今日参加してくれた子どもたちの中から、後輩が生まれたら嬉しいですね。子どもたちの笑顔を見ると『スポーツは楽しむのが一番!』という原点を思い出します」と笑顔を覗かせた。
そんな山口さんたち選手を率いて『トランポリン教室』を指導していたのが、阪南大学卒業生であり、アテネ・北京オリンピック出場経験のある廣田遥さん(阪南大学職員)だ。彼女は「松原から世界へ」を合い言葉に、松原市とトランポリン競技の普及に力を入れている中心人物の一人。文部科学省が実施している全国体力テストで、大阪府の子どもたちの運動能力の低下が浮き彫りになっているが、廣田さんは「子どもにとって、健康な心と身体を養うことはとても大切」と熱弁を振るう。「本学にはオリンピックで使用する物と同じトランポリンが4台あります。これだけの数が揃うのは、関西では本学だけ。子どもたちが『スポーツって楽しいな!』と感じるきっかけに私たちのトランポリン教室がなるなら、トランポリン台も選手も連れてどんどん外に指導に行きますよ!」と熱い想いをぶつけてくれた。
スポーツで松原市のブランディングを!
トップアスリートの直接指導でスポーツの楽しさ・魅力を伝え、スポーツに親しむきっかけを子どもたちに与えた『キッズドリーム スポーツチャレンジinまつばら』。しかし何故、松原市のイベントに阪南大学が協力することになったのだろうか。松原市長の澤井宏文氏にお話を伺った。
「我が市は阪南大学と連携協力に関する包括協定を結び、産官学での松原ブランドの立ち上げや、地域の活性化に貢献いただいています。その中で、スポーツが盛んな阪南大学の特性を生かし、スポーツで市を活性化させていこうという取り組みがあるのです。私は街づくりのなかでスポーツが果たす役割は非常に大きなものだと考えています。実際、市の方針のひとつに『スポーツのまち松原』を掲げており、6年後の東京オリンピック・パラリンピックへ出場する人材を育てたいという想いがあります。阪南大学の力を借りてぜひ実現したいですね」と、熱意を込めてお話くださった。また、今回のイベントをサポートした阪南大学の学生に対しても「真面目で積極的ですね。子どもたちへの指導ということで、さまざまに配慮しつつも自分たちの技術を熱心に伝えようとしてくれていました。子どもたちにとって、一番のお手本になったのではないでしょうか」と、エールを送ってくださった。
2010年の「阪南大学と松原市との連携協力に関する包括協定書」の締結を皮切りに、阪南大学は松原商工会議所及び松原市とも包括協定書を結び、少しずつ産官学での取り組みを形にしてきた。また、2010年5月には市、商工会議所、大学の教職員からなる『松原ブランド研究会』を発足。阪南大学のゼミ生も交えながら、松原市のブランドをどう作り、街を盛り上げていくのかを検討している。この『松原ブランド研究会』のメンバーの一員である流通学部スポーツマネジメントコースの早乙女誉(さおとめほまれ)准教授は、『キッズドリーム スポーツチャレンジinまつばら』が、その成果のひとつだと説明してくれた。
「トランポリン部のみなさんと岩下監督のご協力のもと、まず大学でトランポリン教室を開催し、続く11月に松原市主催の地産地消フェア「まつばらマルシェ」でも出張教室を開催しました。これが好評だったことから、今回のイベント協力となったんです」と早乙女准教授。『まつばらマルシェ』の詳細については2013年12月の学生報告に詳しいが、2日間で36,000人の来場者が集まり、トランポリン教室も体験しきれない子どもが出るほどの盛況となった。「スポーツマネジメントコースには、スポーツ選手として活躍する学生も多く在籍しています。彼らには、こうしたイベントを通じて、他者へのコーチングの難しさや楽しさを体験してほしいと考えています。
社会貢献してこそ、アスリートとして一人前であることを理解してほしい。また、コースには、スポーツは好きだけど“見る側”という学生も大勢います。彼らには、イベントの運営など全体のマネジメントを学んでもらいたいと考えています」と、学生への想いを語った早乙女准教授。阪南大学では、学生の将来の目標や関心に応じたさまざまなプロジェクトを立ち上げている。早乙女ゼミを例に挙げれば、スポーツ普及イベント企画から、大学独自のスポーツ情報誌「Hanner(ハンナー)」制作プロジェクトまで実にバラエティ豊かだ。「将来的には、Hannerが本学のスポーツ教室イベントを取材するなど、プロジェクトを連携できればと考えています」と語る早乙女准教授によれば、阪南大学と松原市の間には、スポーツ教室の開催を体系化する構想も生まれているという。阪南大学ならではの産官学での実学教育の取り組みが、ゼミレベルではなく街まで巻き込んで広がっている現実。松原市とタッグを組んでのスポーツによる街のブランディングの試みが、6年後の東京オリンピック・パラリンピックで実を結ぶことを期待したい。