活動テーマ:国内アパレルブランドのブランディング戦略
産学連携先:有限会社玉木新雌


 日本のアパレル関連企業は年々数を減らし、輸入製品にシェアを大幅に奪われています。そのような状況を覆すために必要なのがブランド戦略です。人件費で新興国と比べて大きなハンディをもつ日本企業は製品差別化によってしか生き残る道はなく、そのためには製品レベルで実現した差別化要素を顧客に印象づけるブランディング活動が不可欠です。
 杉田ゼミでは上記認識の下、国内初の比較的新しいブランドで急速に成長している有限会社玉木新雌さんに注目しました。7月に玉木新雌さんの工房兼直営店を訪問し、ものづくりの工夫からこれまで行った具体的なブランディング活動について教えてもらいました。また玉木新雌さんの世界観に直に触れることができたのも大きな収穫でした。
 たまたまゼミ内に自分のブランドを立ち上げ、実際にたくさんのお客に買ってもらっているゼミ生がいましたので、自分のブランドを育てる活動と玉木新雌さんの活動とを比較し、その成果をゼミ大会や同志社大学や慶応大学などの経営学部系ゼミに発表しました。

学生活動状況報告

 私たちも自分のブランドを立ち上げていますが、実際にゼロからブランドをつくりだして大きく成功した玉木新雌さんがどのようにして自分の世界観を具現化してファンの方々に伝えているのか、大変興味がありました。
 自分のブランドとの一番の違いは、仕方が無いことではありますが糸や生地の段階から他のブランドの製品ではないものを用いていることでした。また、そのために今ではすでに生産されていない50年以上前の織機を繊維産地の西脇市に立地していることを活かして現地の職人さんと協力して用いていることでした。
 また、意外と共通点もあることにも気がつきました。例えば、服作りだけでなく、食や写真など様々なジャンルに強い関心があって独自のこだわりを持っていることです。私たちも自分のブランドの世界観を伝えるために敢えてお気に入りのアナログカメラを使っています。またネットをフル活用した営業活動が中心であることも意外な共通点でした。ただし、玉木新雌さんは食にせよ写真にせよネット営業にせよ、とにかく徹底の仕方、こだわりが半端でないところに驚かされました。
 自分のブランド、ひいては自分自身に対する揺るぎない自信とそれを徹底して形にして様々な形で伝えていくこと、これが玉木新雌さんのブランドを成功させて理由だと思います。
  • 流通学部 3年生 片岡 遼

  • 流通学部 3年生 葛城 陽向

ゼミ集合写真

連携団体担当者からのコメント

有限会社玉木新雌
藤本 隆太氏

 先日はお越し頂きありがとうございました。
 お配りさせて頂いたWWDでも触れられているとおり、新しいものづくりのありようが弊社から発信されている一番の理由は、弊社代表 玉木・酒井の常識を打ち破るスタンスと、考えや思い、自分自身を発信する熱意によるものだと感じております。
 おそらく100回弊社を訪れるよりも、今回の1回の質疑応答は弊社のことを知ってもらう上で大きいものと思います。
 これからも、進化・変化を続けて行きます。西脇にお越しの際は、是非お立ち寄りください。

教員のコメント

流通学部 杉田 宗聴 教授

 杉田ゼミ3年次生は昨年度から西脇市の植山織物さんや和歌山市の和田メリヤスさん、そして「桃太郎ジーンズ」で知られる岡山県倉敷市児島のBlue Japanさんを訪問し、ある程度アパレル・テキスタイル産業のものづくりの現場やブランディング活動についてのイメージを持っていました。ところが、2018年度に訪問した玉木新雌さんは様々な面で、そのような日本アパレル・テキスタイル産業のイメージとは異なる特徴に溢れていました。
 今回の玉木新雌さんへのキャリアゼミでの訪問に先だって一度自身の研究を兼ねて下見をさせていただきましたが、そこでは様々な面でアパレル・テキスタイル関連産業の“常識破り”を見せていただきました。それがどれだけユニークで困難なことなのかについて学生達に理解してもらえるかどうか少し不安でしたが、玉木新雌さんの工房兼直営店兼カフェに足を踏み入れた瞬間、それは杞憂に終わるに違いないと直感しました。
 1からブランドを立ち上げて成功させるためには、ものづくりから見せ方・伝え方までここまで徹底してやる必要がある、ということが学生達に明確に伝わったようで、非常に勉強させていただきました。ありがとうございました。