流通学部ゼミナール大会 流通と商業 eコマース/ITパート

杉田ゼミ3回生Aチーム(中田、鶴西、澤井、鷲見、北内)

 6月27日(土)、流通学部ゼミナール大会研究発表の部が開催されました。13ゼミ42チームが7つの分科会(パート)に分かれて研究発表を行いました。

(1)研究発表の内容

 日本国内で最も人気の高いスマートフォンであるiPhone。もともとはSoftbankしか扱っていませんでしたが、2011年にはauから、そして2013年からはdocomoからも販売されるようになりました。
 では、どの携帯電話事業会社でiPhoneを買うのが一番お得なのでしょうか?
 そもそも携帯電話やスマートフォンの料金プランは複雑すぎて、何がなにやらわかりません。また、料金プランにあった使い方をしなかったせいで、月に何万円もの通信料金を請求され、いわゆる“パケ死”してしまう人もいます。
 いわゆる“パケ死”を防ぎ、お得なiPhoneの使い方を知るために、杉田ゼミA班では携帯電話会社各社が用意する料金プランに隠された戦略とそれが生まれた背景について調べました。
 その結果、各社価格政策の特徴として、以下の点が明らかになりました。その前に、スマートフォンを含む携帯電話の料金がどのような内訳になっているか簡単に説明すると、大きく分けて基本使用料、通話料、そして通信料から成り立っています。
 まず、基本使用料は近年安くなる傾向で、無料になっていたり、後述する通話一括プランと抱き合わせになっていたりします。通話料はLINEなどの無料通話アプリの影響で、一定額の金額を払えばどれだけ電話してもOKな一括プランが増えています。
 通信料は現在携帯電話会社の最も大きな収入源となっていると同時に、もっとも複雑で我々消費者にとって理解するのが難しいです。そのポイントは、まず通信(パケット)量の上限を設けて、各条元毎に段階的に価格を設定していることと、その上限を超えた場合実質使い物にならないほど遅い速度でしか通信できないように3社とも決められていることです。さらに、追加料金を支払えば通常の通信速度でネットを楽しむことが出来るようになるのですが、その価格がかなりの割高に設定されています。
 また、iPhoneを使ってネットを楽しむ手段として、携帯電話会社の回線以外の手段を使うことも検討しました。
 まず、Wi-Fiを使ってのネット接続ですが、自宅で完全定額のネット接続サービスを受けている場合、無線LANルーターを併せて大幅に通信料金を下げることが出来ます。ただし、これは自宅の無線LANルーターが届く範囲内でしか使えません。
 ただし、Wi-Fiを利用したネット接続会社と契約しモバイルルーターを購入することで、外出先でもiPhoneを用いてネットを楽しむことが出来ます。ただし、iPhone以外にもモバイルルーターを普段から持ち運ばなくてはならなくなります。
 iPhoneを使ってネット接続する3つ目の方法として、SIMフリー化を利用したMVNO(仮想移動体通信事業者)を利用することが出来ます。
 ただし、料金的にはお得感の強いMVNOですが、回線をdocomoなどの携帯電話事業者から借り受けているため、やはり通勤・通学時間帯や昼休み、夜など混雑時間帯には回線速度が遅くなってしまう傾向があるようです。

 結局、iPhoneをお得に使うためには、何を重視するか(通信速度や通信可能エリア、そして料金のみ)?そしてそれを実現するためには何を我慢できるか、をユーザー1人1人が冷静に判断することが大事だという結論になりました。そしてそのようなシビアな料金設定がなされている背景として、スマートフォンの普及によってデータ通信量が非常に増えていることが分かりました。

(2)事前準備と発表の様子

 研究発表を行うのにあたって、一番の問題点は20分という制限時間でした。あらかじめストップウォッチを使いながら何度も練習し、最初は30分以上かかっていたのを、大事なところだけに報告箇所を絞り込むことで20分に収めることが出来ました。もともとの報告を短くまとめるのは思いの外難しいと感じました。

 発表の後は、審査員の金戸先生から厳しい質問をいくつか受けました。一番大変だった質問が、「これからSIMフリー化によってMVNOのシェアが伸びてくると、既存の携帯電話会社はどのような対策を取るようになると思いますか?」という質問でした。
 事前に想定していた質問とは少し異なったものだったのでちょっと慌てましたが、事前に用意していた回答をアレンジすることでなんとか答えることが出来ました。私たちがとっさに出した回答は、「Softbankは2013年に買収した米スプリント社の業績次第で変わってくると思いますが、現在苦戦中のため動きようが無いと思います。auは保有するプラチナバンドを有効に使って、つながりやすさをブランド化させていくべきだと思います。ドコモは多くのMVNOに回線を貸しているため、あまり大きな影響を及ぼさないと思います。」というものでした。
 あらかじめ質疑応答の準備をしていたおかげで助かりました。

(3)教訓と課題

 もともとは単なる好奇心からはじめたテーマでしたが、深く調べてみると携帯電話業界がスマートフォンの登場でパケット通信量が激増し、それにどう対応するか、という各社の対応が価格政策に表れていることがわかり、最後の方は目から鱗が落ちた気分になりました。この驚きを伝えることが出来たのが、高い評価につながったと思います。
 ただ、準備を進めるにあたって、終盤まで個人差が大きかったことが問題点だと感じています。それでも、最後はみんなで何度も集まり議論を交わしたり、発表練習を繰り返すことが出来たことは他では得がたい経験になりました。