リモート型ではじまった2020年度「大学入門ゼミ」。シラバス(授業計画書)にしたがって、
・前期:言語化することに特化したプログラム実施
・後期:対面型授業を有効活用しディスカッションや発表による「学修の可視化」の実現

どちらも思考や議論を「形」として自ら造形できる学生になることを目標にしてきました。

後期第1ターム:

メンバーを毎週変更しながら、90分間で完結・完了するディスカッションスキルを磨く

後期第2ターム:

Student Assistant堀之内陽向君からの提案

  • チームメンバーを固定して、議論を深めさせ、プレゼンテーションまでもっていきませんか。

授業運用を統括する教務課からの提案

  • 浅井教務課長:若い教務課員に授業見学をさせてやって下さいませんか。
  • 角井学部担当課長補佐:コロナ禍の中でも前期を生かしたゼミでの達成を体感させてあげて下さい。
  • 河野学部担当:入試広報課員として出会った学生たちのこの1年の成長を見せて頂けませんか。
これら4つの提案を私は、歓迎しました。授業運営の責任者は、科目担当者ではありますが、授業を進化させていくにあたっては、私個人の力では限界があります。
ゼミを実施している教室において、今の時代に対応した授業運営にあたっては、教員である私自身をはじめとして、「迷える子羊」とはこのようなものか、と思える光景の積み重ねで構成されています。リモート・対面・ハイブリッドと経験してきた中での、新たなゼミナールの形への模索。それは、さまざまな提案を動かしてみることによって始まります。
それがこの1回生のプレゼンテーションによって開始されたのだ、と実感しています。

ソーシャルディスタンスを確保しながら、ホワイトボードを使ってのテーマ設定のディスカッションと、そこから引き出すkeywordsとTopics。パソコンを駆使しながらのパワーポイントデータの作成。前期にリモート授業を経験してきた学生ならではのゼミナール活動の風景でした。
そもそも、各チームのTheme・Keywords・Topicsは、1回生が脳内を最大限に活動させながら、抽出したものです。ゼミ時間で終わらなかった場合には、Teamsを使ってのゼミ時間外でのさらなる議論、チーフを中心にしながらの分担作業、そして最終データの確認。どれもが、社会人になった時に求められるスキルです。
学生たちが自発的に学ぶ気になった時の底力は、計り知れないものがあると、改めて感じた学生諸君が造形する授業光景でした。
2週に分けて実施したプレゼンテーション後の学生諸君の感想は、以下のとおりとなります。
なお、画像撮影はS.A.堀之内君です。

チーム1:「日本が抱える社会問題〜若者の自殺について〜」

(浮世〔CHIEF〕・大西・大村)

浮世 天優

大学入学後、対面型での初めてのプレゼンテーションだったが、あまり緊張せずに取り組むことができた。パワーポイントデータの作成は、メンバーと分担し、うまく作ることができた、と思う。ただし、質問などに答えることができなかったことは、明確な課題として浮上してきた。次回に向けて、課題をプラスに捉え、スキルアップしていきたい。

大西 真央

高校時代に何度か発表する機会があり、今回も「大丈夫だろう」と勝手に思い込んでいた。しかしながら、未熟な部分が露呈した。しかもその数は多い。その一つとして、発表の仕方が曖昧で伝わり難い箇所があったことだ。その反面では、達成感がありやりがいを感じたことも事実である。

大村 理雄

大学に入って初めてのプレゼンテーションだったので、正直とても緊張しました。内容や話すことを工夫したつもりでしたが、まだまだ改善するところがあることを実感しました。残りのゼミナールにおいて、プレゼンをする機会がまたあれば、もっとクオリティーを上げたプレゼン風景を提示したいと思っています。ありがとうございました。

チーム2:「産後うつは悪か」

(上田〔CHIEF〕・大石・大原)

上田  心

今回初めてチームでプレゼンテーションを経験した結果、反省点がたくさん見つかった。まず、チームのリーダーとしての自覚が足りなかったこと。もう一点、プレゼン後の質問に的確に回答できなかったこと。ただ、質問を受けることで、自分たちの設定した視点以外にも多様な観点があることを実感した。

大石 碧奈

今回のプレゼンは、前期に行った自己紹介以来でした。私たちのグループは、人任せにしていた部分があり、事前にパワーポイントを先生に送り忘れるなど迷惑をかけました。最後に教務課の河野氏による、フィードバックでも指摘された通り、相互確認の大切さを理解しました。次回はもっと深いプレゼンができるよう、今回のことをバネに頑張ります。

大原 栄輝

今回のプレゼンでは準備不足が目立ってしまった。特に、資料を作る段階とプレゼンテーションの打ち合わせが不足していた。次回以降は、事前のリハーサルを入念にすることにしよう。また、質問に対しても、ある程度の予測を立て準備できるようにしたい。第11回は、第2班の残り2チームの発表から学べるようなメモをとれる自分になりたい。

チーム3:「高齢者ドライバーと私たち」

(上野〔CHIEF〕・江角・大嶋)

上野 涼太

今回のプレゼンを通じて学んだことは、相手の事を考えて取り組むことです。それは話し方や資料の見やすさ、聞き手から投げられる想定質問など。そしてチーム内での相互確認。自分的には、話す時上手く言葉が出てこなかったのが反省ポイントです。チーフの役割を果たせたか否かは分かりませんが、チームのメンバー2人にはたくさん助けて貰ったので感謝したいです!1回生の間にこのような経験が出来た事を今後に繋げて、レベルアップできるようにします!

江角 奈南

同じメンバーで何回もディスカッションしている間に、難しい事柄を話しているにもかかわらず記道が通じ合える。プレゼンテーションの準備段階での副産物でした。私は、ディスカッションやプレゼンは、本音で言えばあまり好きじゃなかったけれど、チームの仲間2人のおかげでとても楽しかったです。プレゼンの時に緊張でほぼ字を見つめながら話してしまったので、次はもっと聴いている人を見られるように頑張ります。

大嶋 捺貴

自分たちで考えた1つの内容を深く掘り下げ、議論し、具体的な提案を出すことは想像していたよりも難しかった、というのが率直な感想です。プレゼンテーション用のパワーポイントデータ作成も、予想以上に困難でした。次のプレゼンの機会が到来したときは、想定外の質問に対しても、臨機応変かつ的確に回答できるようにします。同じチームで、同じメンバーで、わずかな時間であっても苦楽を共にした経験を未来の時間の中で生かしていきます。

チーム4:「0.01%の無罪」

(上野〔CHIEF〕・馬田・上山)

上野 叶美

「プレゼンテーションを終えた瞬間には、どのような境地に至るのか」。そんなことを考えながらプレゼンの準備をしてきました。が、データの完成がギリギリになったことは、今後の大きな改善点でした。また、私は今回チーフという役割でしたが、他の2人に頼りきってしまった点は、猛省しています。にもかかわらず、プレゼンを終えた時には、ただ「達成感」だけが、私に到来していました。と、いうことで。さあ、次に向かってまた進もう。

馬田 桃香

テーマを決定し、ディスカッション段階では、順調に進んでいたけれど、いざ話していたことをまとめてパワーポイントにつくる、となった時、とても難しくかなり悩んだ。ただし、難しくてできない部分はグループのメンバーが的確にサポートしてくれた。チームで何かを作り上げることの難しさも、達成感も体感しながら完成できてよかった。

上山虎太朗

同じチームのメンバーで、何週間にもわたり議論を重ね、時間的な余裕があった分だけ、内容がより濃いものになったと自負している。具体的な提案や、予めの推定もふまえ、厳しい質問にも明確に答えられた。ただ、課題も見つかった。テーマが裁判に関わることであったため、もう少し広い知識と深い理解が必要だった。しかしながら、自分たちが考えていたことは全て発表できたので、満足だ。

コメント

神尾ゼミS.A.:堀之内陽向君

 1回生がカバンからパソコンを取り出した衝撃。私は、この瞬間に出会えただけでも2020年度のS.A.をしていてよかった、と思えました。私が1回生の時に、大学に登校するのにパソコンを持参することを当然としていたか、といえば答えは「否」です。状況への適応力の高さには同じ学生として見習うべきところがあります。
 そしてもう一点。近年よく使われる「地頭(じあたま)」を体感させてくれました。学力的に基礎体力の備わった1回生を見ていると、ほんのわずかなアドバイスを、2倍にも3倍にもしてくれます。動画を使ってプレゼンしたい!と相談されたときにはひっくり返りました。正直なところ私自身が圧倒されています。
 それが如実になった2回にわたるプレゼンテーションでした。到達地点の明確化に加え、データの扱い方や論理の組み立て方を見ていると、2年前の自分自身のことを猛省せざるを得ませんでした。ここにさらに、話し方や見せ方、パフォーマンスの手法等のプレゼンテーションスキルを磨いていければ、さらに成長するはずです。
 まもなく2年生へとなる彼らに一切の不安や心配はありません。担当S.A.として胸を張って送り出せる、そう感じさせられたプレゼンテーションでした。1回生の雄姿によって、新たな緊張感に出会わせてもらった堀之内でした。

教務課:国際コミュニケーション学部担当河野千春氏

 3回分の授業見学の中で、神尾ゼミ1回生の皆さんの成長を見せていただけたこと、とても嬉しく感じております。学生たちのプレゼンテーションを拝見しながら、大学1回生の頃の自分と比較する私自身がいました。率直に表現すると、「恥ずかしい」の一語です。
 2020年度生が、この時期であのレベルのプレゼンテーションができることは大変すばらしいことです。さらに、聞いたことや学んだことをすぐに行動に移せることは、飽くなきまでの成長への貪欲さを感じます。このまま自信を持って頑張っていってほしいと願っています。
 最後に、授業見学をさせていただき講評を述べさせていただきましたが、私自身学生の方々から学ばせていただく部分がたくさんありました。貴重な時間をありがとうございました。