産学連携先:和歌山市観光課

 阪南大学の私たちにとって大阪湾は最も身近な海ですが、そこでは海洋ごみが問題視されており、沿岸域の海岸には多数のごみが散在している場所もあります。中でも紀淡海峡に位置する友ヶ島(和歌山市)は無人島ですが、その海岸には大阪湾や瀬戸内海由来の可能性がある漂着物が多数存在しており、その回収・処理が課題となってきました。そこで本ゼミでは、和歌山市と連携し、友ヶ島や加太地区における海岸漂着物の組成や現存量を検討するための調査活動を実施しました。

学生活動状況報告

 海洋ゴミ問題について座学と現地調査を行なって、プラスチックの厄介さを学んだ。現地調査で回収したものの殆どがプラスチックであり、プラスチックの利便性の高さゆえの種類の多さを実感した。プラスチックはそれだけ社会に浸透しており、代替するものに変えていくにはかなりの時間がかかると考える。また、現地調査では排出源の特定の難しさを感じた。いつ頃、どこで生産されたかは一部推測できる情報があっても、「どこの誰が捨てたか」までは知る由もなかった。
 海洋ごみ問題の改善の為には、「いかに捨てにくくするか、捨てようと思わないようにさせるか」が重要になると考える。これには多くの人を散乱ごみや漂着ごみの清掃活動に参加させることが1番効果的だと考える。だが、多くの人に清掃活動に参加してもらうには、それなりのインセンティブが必要である。このインセンティブを用意するには行政や企業のの力が必要不可欠である。だが、行政や企業を動かすには、なぜそれが必要なのかについてそれなりの科学的根拠を示さないといけない。そのためにも、現在行なっている調査の重要性を改めて実感した。
経済学部 姥谷 健心

参加学生一覧

中島 千尋、中谷 文音、東岡 右規、山本 新、田中 亜利紗、冨田 凜、野口 樹、花田 崚、東田 寛太、石田 直之、杉原 由隆、齊藤 涼介、姥谷 健心、片山 息吹輝、金井 一輝、岡本 侑也、阪本 葵、大木 颯、奥西 凌、香西 智也、小林 勇斗、反甫 浩弥、松崎 瞳真、松本 凌、三原 帆貴、山本 彬斗、大嶋 音々、河島 那月、篠原 海翔、曽根 祐也、藤井 雄生、藤本 峻輔、松井 謙征、松岡 健辰

連携団体担当者からのコメント

和歌山市観光課
松林出 様

 友ヶ島内の海岸には多くの漂着物が散見されており、観光地・友ヶ島の景観面を阻害するのみならず、海洋汚染にもつながっています。海岸漂着ごみ問題は本市においても喫緊の課題であることから、令和元年7 月にSDGs 未来都市に選定された計画においても、海洋環境改善など持続可能な海社会の実現を目標として設定しました。そうした折に千葉先生が友ヶ島で漂着物の調査を行うということで、本市が協力させていただくことになりました。阪南大学の皆さんには数年間に渡りこの調査にご協力をいただき、大変感謝しております。大学生の皆さんのご活躍に刺激を受け、本市としましても、SDGs未来都市に向けての課題の一つとして、瀬戸内海ひいては地球全体への環境面の課題解決へとつなげていけるよう、引き続き取り組んで参りたいと思います。

教員のコメント

経済学部 千葉 知世 先生

 昨年度に引き続き、和歌山市さんとの連携のもとで友ヶ島での海岸漂着物の調査を実施しました。調査実施に先立って海洋ごみ問題について座学で学び、その後現地で漂着ごみ・散乱ごみの回収と分析を行いました。これによって学生たちは環境調査の手法を学ぶとともに、地域の環境問題の現場に触れることで、その解決の困難さを知り、地域課題の解決に向けて地に足の着いた考察ができるようになりました。また、漂着ごみや散乱ごみの調査は大変な労力が必要になるので、学生同士の協力なくしては遂行できません。そうした中、事前に計画書をしっかり読んで頭に入れてくる、現場で計画通りに行かない部分を柔軟に変更して動くなど、昨年に比べて調査を確実に遂行しようという意識が向上している様子が見られ、また互いに声を掛け合って遅れているところをサポートに回るなどチームワークも向上していることが感じられました。海洋ごみの実態を垣間見た学生たちには、より環境負荷の少ないライフスタイルの実践につなげていってくれることを期待しています。