居場所というのは私にとっての一つの核で、日ごろ、私自身が学生支援という呼び方で学生たちに向き合うときの覚悟を込めて、テーマを「10代若者の困難と向き合う」に設定しました。実際に学生たちと中学生や高校生と関わり、学生たちからのフィードバックを聞いて、力みすぎたなと反省しています。もっと中学生や高校生、大学生はみんな自然にふるまっていました。それが本当の居場所だとも思います。
居場所活動は何かを達成しなければならないというような場ではありません。だから、参加しなければならないというような義務は私のゼミでは課していません。ゼミを超えてたとえば私と雑談しているときのふとしたきっかけで参加してみたいという風になった学生や、逆に来年からゼミに参加する1回生でも参加したいという学生には、導かれるように加わってもらいました。
私はいつもそんなに多くのことを説明しないし、それを言葉にすることもあえてやっていません。何年か何十年か経って若者たちが振り返ったときに、ちょっとした一息ついた経験が生きてくれればいいなといつも思っています。ですが、彼らが紡いだ言葉は、私のそんな悠長な想像を超えて、たしかに居場所に対する思いを共有していました。今はこの文章に触れた人にも、その思いが届いてくれればと思います。

学生活動状況報告

 ■経済学部4年 岡田 幸大
ゼミ活動の一環として桃谷高校の居場所カフェに初めて参加させて頂いた時、私自身とても緊張していて中々話しかけることができなかったのですが、ふとしたことをきっかけに話しかけてくれるようになり、そこから私自身の緊張もほぐれ楽しく参加することができ、彼ら、彼女らのコミュニケーション能力の高さにすごく驚かされました。また、大阪で唯一の公立の通信制高校ということもあり様々な年齢やバックグラウンドのある学生がいるので、多様な価値観や考え方に触れることができ、私自身とても良い刺激を受けたなと感じています。金子ゼミのならではの「居場所」について考えるだけでなく、実際に体験する事がすごく実りのある経験であると感じています。踏み込み過ぎないっていうのはすごく大切だなと思います。求められれば応えるけれども、存在はしていていつでも頼れたり寄れたりっていう安心感が居場所なのかなと思いました。踏み込んで寄り添うだけが居場所支援の在り方じゃないという感じです。

 ■経済学部4年 水口 幸大

今まで居場所活動に参加して感じたこと

子どもたちとの居場所活動では地域性や場所(学校、支援施設など)や年齢によって子どもたちへのアプローチの仕方が難しいと感じました。しかし、たくさん試行錯誤をすることで年齢に応じてより良いコミュニケーショを図ることができ、子どもたちとも良好な関係で活動を終えることができたと安心しています。
また、居場所活動に関わった人たちは本当に子どもを思っての行動や進路の相談など家族と同等、それ以上の助言や提案している方が多く何もわからない子どもにとって頼りになる存在だったと思います。
私自身、居場所活動に参加して良かったと思います。子どもたちとのコミュニケーションは活気にあふれており元気をもらえることもあり楽しく活動に参加できました。また、子どもたちにとっても無くなってはいけない居場所であり、子どもたちにとって何かあった際の最後の砦としてこれからもあり続けてほしいとこの居場所活動を通して感じました。

参加学生名簿

岡田 幸大、 下垣内 仁和、 中澤 心、 水口 幸大、 西道 怜士、 伯井 兼続、 上 悠希、 野依 美空、 吉田 璃弘、 加藤 未来、 海元 颯菜、 吉本 昂生、 東 憲伸

連携先コメント

NPO法人FAIRROAD
阪上 由香 様

居場所活動では明確なルールやリーダーなどを決めていません。その日に訪れる生徒それぞれが話したい人と過ごし方を決めます。だから準備できることは、生徒が来る前に部屋を換気して掃除をする。そして、飲み物や気分転換のための遊び道具を遊びやすいように並べておくことくらいです。そのことでみなさんをすこし不安にさせてしまったかもしれません。でも、金子先生との関わりのなかで、知識をつめこんで暗記するのだけではない学びに慣れているからか、私にはとっても自然に生徒さんたちとコミュニケーションをとれているようにみえました。
M高校の生徒同士は、いろんな事情を経てお互いここにいることをわかっていて、だからこそ近くで支えようとしたり、同じことで傷つかないために離れたりします。自分が倒れそうなときに優しく声をかけてくれた人に必死にしがみついてしまうこともあります。だからわたしは今でも緊張するし、毎回とてもエネルギーを消耗するんです。
「学校辞めたい、バイトだるい、金欲しい、あの人ウザイ!、家がしんどい…」だとか、“大きい方のこと”をまずは自分に向かって投げてきます。
2回以上来てくれた方は感じたかと思うのですが、回を重ねるごとに“小さい方のこと”が聞こえたり見えたりしてくるんです。
誰かとゲームをしたい、友達がほしい、カルピスが好きなんだなとか。
これは自由と安全のバランスがとれたときに聞こえるなぁとわたしは思っています。
大学生だからといって背伸びをせず、彼らが言ってることやしていることを真に受けてくれたみなさんに感謝です。いつでも来てくださいね!

教員コメント

経済学部
金子 良事 准教授

いつまでも年下や目下の人からも素直に学べる人でいてください。