大阪府商工労働部との連携事業「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」⑭
株式会社富士製作所を訪問しました(経済学部三木ゼミ2年生)

 2017年5月17日(水)、経済学部の三木ゼミ2年生は、東大阪市にある株式会社富士製作所を訪問し、執行役員常務の下浦輝明さんにお話をうかがいました。
 株式会社富士製作所は昭和18年創業、大型切削ナット・ゆるみ止めナット・超高ナットが主要製品で、70年以上もの間、六角磨ナット専門メーカーとしてその地位を築いてきました。平成20年(2008年)には大阪中小企業顕彰事業実行委員会(注1)が実施する「大阪ものづくり優良企業賞」を受賞、大阪を代表するものづくり企業です。
 経済学部三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。三木ゼミ2年生は今年度も昨年度に引き続き、大阪府商工労働部の連携協定に基づく事業の1つとして「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」という課題に取組んでいます。今回はその活動の一環として訪問しました。

(注1) 大阪中小企業顕彰事業実行委員会:
大阪府、大阪府商工会議所連合会、大阪府商工会連合会、公益財団法人大阪産業振興機構、地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所で構成


 以下に今回の訪問見学で得られた、学生たちの気付き(一部)を紹介します。

【経済学部2年生 渡邉 果穂さん】

 2017年5月17日、私たち三木ゼミ生は東大阪市にある「株式会社 富士製作所」を訪問しました。
 この企業は、“ナット”を作っている会社です。創業以来60有余年培われてきた技と心を原点にされています。また、品質力、技術力が認められていて、各種大型プロジェクトにも広く採用されています。その一つが瀬戸大橋のワイヤーロープの結束部分に使われています。ナットに使われる鋼材は温度でゆがんだりするため、工場内の室内温度は設定されています。
 この企業で印象に残っていることは、工場内を見学した際に天井に色のついた鉄の柱があったことです。何のためについているのかというと、作業エリア、種別ごとに色分けをしているからだそうです。私は色分けをすることによって、効率よく仕事が行えるのではないかと思いました。また、社員さんの帽子も役職で色分けされており、鋼材の管理も色別で行っていました。そうすることによって、新入社員の方にも一目でわかるように工夫されていることに感心しました。そしてなにより会社の雰囲気が良いように感じたのも社員の方同士で工夫されているからなのかと思いました。
 富士製作所さんは、お客様の要望に応えて多品種少量を受注生産し、特注品も1個から受注していることがわかりました。私は1個からでも生産していることに驚きました。通常はたくさんの量をまとめて生産しているのを想像していたので、たった1個でも作っていることに感心しました。また、富士製作所さんでは、規格品のナット、特注品、FUJIオリジナル開発製品の3つの製品を作っています。オリジナル開発製品は強度や耐久性、脱落防止など機能的な要望に応えた製品だと知り、お客様の要望に全力で応えているのだと思いました。
 工場を見学していた際、床など目につく箇所が油を使っている工場のわりにきれいなことに気が付きました。その理由は5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を徹底にしているため会社内がきれいに保てるようにしているからだとおっしゃっていました。清潔な工場に改善したことにより、従業員の方の意識も高まるのではないかと思いました。徹底された5S活動をどんどん他の企業も取り入れたらいいのではないかと思いました。残業の話になったとき、この会社はほぼ残業がないと言っていて、あるとしても希望者のみが残業ができると言っていました。過労が問題になっている社会なのでこういった環境はこれから重視されるべきなのではないかと思いました。

【経済学部2年生 岡嵜 維也さん】

 富士製作所は5Sを推進しているため働きやすい環境だと感じました。どこの工場でも生産するためのドリルなどはきちんと管理していてもほうきやファイルなどは扱いが雑になりがちだと思います。ですが富士製作所ではそういった細かい点の管理も徹底していました。ナットの製造作業は細かい作業が多くミスしやすいと思いますが、常に細かい点まで意識しているためほぼミスなく作業できているのではないかと思います。どの中小企業も高品質を目標にし、そのため働く人の技術力向上を図りますがうまくいくところは多くないと思います。そんな中富士製作所は環境の改善から技術の向上を図っていました。働く環境は仕事をする上での土台となる部分で、そこに目を向け長期計画で改善に取り組める企業はなかなかないと思いました。
 富士製作所のナットが関西空港や明石海峡大橋に使われているのは驚きでした。事業としてはナット製造しかしていないためナット製造に相当な自信を持っていると感じていましたが技術と実績がきちんと結びついていました。ナットに長さ、溝、形状などの変化がつけられるのを今回知り、ナット製造の奥の深さを知ることができました。これだけ様々なナットが作れるならここで作れないナットはないのではないかと思いました。だから関西国際空港や明石海峡大橋のように高い技術を必要とする場所で使われると感じました。また機械を使った製造が主流になっているある現在でも人の手によって製造していることに驚きました。ナットのように正確さを求められる製品を手作業で誤差なく製造しているので富士製作所の技術力の高さを感じました。
 今回見学してみて大人になってからも人として成長できる企業だと思いました。富士製作所ではルールを社員で決めるので、上の人からの指示で嫌々やっているわけではなく、みんなで決めた事だからこそ率先して守ろうと思います。また常に目標をたてて仕事をしているので社員が同じ方向を高い意識で向いているのが素晴らしく感じました。みんなが同じ方向を向いているから社員さんの人間関係はいいと思いますし、楽しく充実した仕事ができると感じました。楽しく働けてお金がもらえるのはいい企業だと思いました。

【経済学部2年生 宮本 竜治さん】

 今回私たちは富士製作所を訪問させていただきました。富士製作所では主にナットを作っています。そして富士製作所の大型切削ナットは、東大阪市が定める「東大阪ブランド」の「ナンバーワン製品」に認定されていて、明石海峡大橋のワイヤー部分にも結束ナットが使用されています。
 今回訪問させていただいた富士製作所は巨大なナットがシンボルマークとして飾られていました。そのナットにも雨が降ってもたまらないようにと工夫がされていました。
 富士製作所では平成元年から5S活動を行っていて中小企業でもこのような決まりを守っているのだなと驚きました。5S活動とは別に、守ることを決め、決めたことを守る。この方針も深いなと思いました。守ることは社員自身が話し合って決め、考える力をつけたり、誰もが守れるようなルールを作り意識づけさせるなど自主性を尊重した企業だなと感じました。そして工場見学中、工場内の音が大きいため話が聞き取りやすいよう私たちにインカムを用意していただいて、良い気遣いだと思いました。
 工場見学でも5S活動や社員自身のアイデアや工夫が目に見えるようにわかりました。まず駐輪場ではあとから来た人でも出入りしやすいよう斜めに自転車を止めるなどの気遣い。富士製作所は様々な学生や海外からの訪問者が多いです。そこで製品を分かりやすく説明するために向きをそろえたり、番号を振ってサイズを見やすくしたりときっちり整頓されていました。工場内はパッと見て分かるように色で分けられているものも多かったです。クレーンの可動範囲や社員さんの被っている帽子で職位がわかるようにしてありました。工場内も結構広く、部品があちこちで使われるため探す手間を省くために工夫されていて皆さん作業に集中することができていました。その他にも社員さんの不安やこうしてほしいことなどを目安箱に集め実現されていて社員思いだなと感じました。
 常務さんや若手社員さんからのリアルな就職活動の経験談などを聞くと、綺麗ごとだけじゃなく本音も話していただいたことがぐっと胸に来ました。
 5S 活動を通じて全員がルールに対しての意識づけや、一人一人が自覚をもって自分の仕事に責任感をもち働いているんだと思いました。自分もゼミなどで決められたルールや自分に任された役割などは最後まで責任を持ちやり通すことにします。

ご参考