2017年度海外インターンシップ ベトナムクラス参加学生の感想・気付き①

 2017年度海外インターンシップ ベトナムクラスの7名が、9月18日(月)にホーチミンから香港経由で関西空港に安着しました。当初は9月17日(日)帰国予定でしたが、あいにくその日は台風が関西地方を直撃しており、経由地の香港で約16時間足止めを喰っての帰国となりました。
 日本では得難い様々な経験を積むことにより、一回り大きな人間となって帰国したと思います。今後、何回かに分けて参加学生の感想・気付きを紹介します。今回はその第1回となります。

経済学部3年 荒木 凛太郎 さん

 今回私たちは、8月20日から9月17日の約1ヶ月間、ベトナムのホーチミンに滞在し、インターンシップをさせていただきました。ベトナムでのインターンシップを希望した理由は、主に2つあります。一つ目は、視野を広げるためです。価値観の異なる人と関わったり、異文化交流をしたりすることで、物事の捉え方、見方に良い刺激になると思ったからです。二つ目は、海外で働いてみたいというビジョンをより明確にするためです。私は、経済学部のアジアビジネスパッケージに所属していて、アジアの経済情勢について学ぶ機会があり、将来は日本で働くだろうと薄っすら考えていましたが、学ぶにつれ『海外で働く』という選択肢が増えました。実際どんなものか、話を聞くだけでは分からない部分はあると思うので、ビジネスチャンスに溢れており、発展途上国であるベトナムで、インターンシップをしたいと強く思い、参加しました。
 私の研修先は、RAZONAというWEBサイトのデザイン、及び開発を行っている会社でした。RAZONAは本社の東京に加え、沖縄、バルセロナ、ホーチミンに拠点があり、ホーチミン支社は、スマートフォン向けのアプリや、WEBサイトの設計開発を行っています。RAZONAへのインターンシップ生として来ている学生は、自分と同じプログラムで来ている学生が一人と、違うプログラムで約二週間インターンシップする学生が二人の、計四人いました。
 私たち四人に課された主な業務は、ベトナムの美容市場は韓国製品が主流な中、日本製をどのように浸透させるかというテーマで、日本製のフェイスマスクを、Facebookで広告を出して、インターネットを使って10日間以内に売りなさい。という課題を与えられました。課題を聞いたとき、人一倍心配性な自分は、誰よりも不安とプレッシャーが重く感じました。
 今、世に出ている商品は、『企画→作る→売る』という大まかな流れのもとで、販売されていると思います。今回私たちは、約二週間という短い期間なので、すでにある商品を売るという行程からのスタートでした。売るという行程の中にも、1.企画、2.HP作成・Facebook広告作成、3.広告掲載、4.配送という流れがあります。始めに、10日以内という短期間の日程から、逆算して、まず何をしなければいけないか、誰が何を担当するかなど、ある程度決めるため、議論しました。
 議論して、同じプログラムで来ている学生と私は、ステップ1の企画、違うプログラムで来ている学生が、ステップ2と3のHP作成・Facebook広告作成と広告掲載を担当することになりました。企画と言っても、闇雲に取り組むわけにはいかないので、主に何をしなければいけないのか二人でまず話し合いました。その結果、『価格設定』『ターゲット設定』『競合調査』『販売範囲』の4つを挙げました。それらを定めるため、調査方法は、ショッピングモール等フェイスマスクが売られている店舗を訪れて競合となる韓国製品の価格調査、ネット検索、ベトナム人女性の20代〜40代をターゲットに100人アンケートを実施することにしました。
 さっそく私たちは、アンケート内容をどうするか話し合いました。話し合いの結果、【1.同じクオリティーと価格では、韓国のフェイスマスクと日本のフェイスマスクだとどちらを買うか】【2.日本のフェイスマスクを買うならいくらで買うか】【3.なぜ日本or韓国のフェイスマスクを選んだのか(安全性・デザイン・質・種類・その他)】というアンケートをホーチミンの郊外と都市部に分けて、実施しました。そして、アンケート結果を集計し、ベトナムの美容市場、市場の動向、消費者のニーズとその結果を基に、『価格設定』『ターゲット設定』『競合調査』『販売範囲』を決定しました。
 ここまで、会社の指導者の方は、基本放任主義状態で、何が正解か不正解か分からない中、疑問点があれば自分達で議論し早期解決を心掛けてきて、自分たちで決定しないといけないので、頭がパンクしそうでした。なぜなら、私は、今までグループワークなどがあっても、他人任せで、誰かがするだろうと考えていました。今まで他人任せにしていたものを、いざ自分がやる立場に立つと、どれだけ邪魔者で卑怯だったかと思います。積極性の無さと、それを分かっていても、行動に移さないレベルの低さを身に染みて痛感しました。
 HP作成はでき、後はFacebook広告掲載で、認知度を挙げてHPのアクセス数を増やすのみというところで、突然Facebook広告の配信が停止されてしまいました。他のプログラムの学生は期間が終了したため、同じプログラムの学生と二人で原因追及することになりました。Facebookのサポートセンターに何度も問い合わせても原因は分からず、アカウントを一から作り直したり、広告費の支払い方法を全パターン試したり、今できる事を調べては、試すという方法をしていました。刻一刻と、私たちも残り期間が迫っていました。
 このまま原因追求で終えるのは我慢ならず、何か打開策となる案はないか?にシフト変更し、私は、『Facebookで広告を出して』という指示を、一旦置いておくことにしました。原点に戻り、Facebookで広告を出す理由は何なのか?というのに着目しました。出す理由は、認知度をアップするためです。Facebookを使った、他の認知度アップ方法を、インターン先の指導者の方に提案したところ、すごく褒めていただき、それを実施することになりました。少しずつですが、HPのアクセス数を伸ばせてきているところで、私たちの業務が終了となりました。
 結果としては、達成できず、すごく残念ですが、指導者の方から『結果は大事だけど、その結果までのプロセスも同じくらい大事』と言われました。自分は今まで、目の前の事象に囚われ、狭い視野で物事を見ていたと思います。しかし、この一ヶ月、今何をしなければいけないのか、何が正解か不正解か分からず、常に考え行動していました。その結果、現状の状況では埒が明かないと判断し、打開策となる案を考えることができたのだと思います。常に意識し、考え行動することで変わることができるのだと、すごく自信に繋がりました。
 私は、正直ベトナムへ来る前、地獄の始まりだ・・・と思っていましたが、インターン、プライベートの日々は非常に刺激的な日々でした。私は、こんなに濃く充実した日々になるとは思っていませんでした。むしろ一ヶ月が短すぎだと感じるくらいでした。物事の考え方、見方、自分の視野の狭さ、英語の重要性など、学んだことや感じたことは、たくさんあります。これをどう自分の人生にプラスにできるかが大切だと思っています。一ヶ月の体験を無駄にせず、今後の生活に活かせるよう、濃い日々を過ごしていきます。

経済学部 3年生 石原 夏帆 さん

 私は今年の夏休みを利用し、約1ヶ月間ベトナムで海外インターンシップに参加してきました。ベトナムではたくさんの日本人の方が起業しています。二回生の時にベトナムで起業した方の講義を受ける機会があり、そこで初めてベトナムのお話を聞き少し興味を持ちました。インターンシップの授業でベトナムについては聞かされていましたし、自分でも調べてはいましたが1ヶ月ベトナムで過ごしている自分はなかなか想像できないままで現地入りしたことを覚えています。
 私がインターンシップをさせていただいたのはM2 Grow Partnersという会社のホーチミン市内から車で45分ほどに位置するロンドウック工業団地にある日本食レストランです。お客様は周辺の日系工場で働く日本人の方が大半で接客すること自体には問題はありませんでした。しかし、レストランの従業員はマネージャー以外全員ベトナム人です。通訳が一人、日本で働いた経験があった一人以外はほぼ日本語も通じません。日本食レストランなので、もちろんベトナム式の接客では通用しないでしょう。私は従業員のサポートという立場でホールを見ていました。従業員の動作を見て、直したほうが良いことは身振り手振りで表現し事前にベトナム語を調べてきて直接伝え、難しいことは通訳の人に訳してもらうなど言葉が通じないという壁はなんとか乗り越えられたと思います。ベトナム人のみなさんも私の話をしっかり聞いてくれたので言いやすかったのもあります。
 ホール以外の業務では、私のインターンが始まって1週間後にあったビュッフェイベントの原価表作成を行いました。170名分の料理の食材の仕入れ量・金額をキッチンの人から聞き、その表を作成しました。1kgあたりの金額と仕入れ量、仕入れ量から170で割り一人あたりの量を計算し表を作成するのは初めてで何度も修正しましたが無事に完成したのでよかったです。
 次に、レストランメニューについてお客様にヒアリング調査をしました。各メニューの必要性の有無、金額・味・量などの改善点、新たに取り入れてほしい料理などについてです。親身になって受け答えしていただいたので意外とスムーズにヒアリング調査ができました。その結果をエクセルの表で作成し上司に提出したのでお客様の声を直接届けることができたのではないかと思います。
 他にはレストランのフェイスブックページの日本語・ベトナム語での更新です。ベトナム語はまず自分で翻訳してその内容を従業員に見せ添削してもらい更新していました。もっとお客様とコミュニケーションが取れるように従業員の名札作成もしました。日本語と英語のコミュニケーション能力を上司と話し合い、星マークで評価していたので星の数が増えるように従業員が努力してくれればと思います。
 今回このインターンシップに参加し、私は自分自身を見つめ直す良い機会になったと思います。自らが指導する立場にいるのも最初は慣れませんでした。相手に納得してもらえるように伝えることの難しさを知ることができ順をおって話すことを心がけました。ベトナム人は素直で純粋で一生懸命な部分をたくさん発見しました。私も自分に素直になり、何事にも一生懸命取り組んでいこうと見習わないといけないと実感しました。長いようで短かった1ヶ月は私にとってとても大切な物になりました。この思いを忘れずにこれからの大学生活、就職活動に励んでいきたいと思います。