2018年度海外インターンシップ ベトナムクラスの8名が、9月12日(水)、13日(木)に分かれて、ホーチミンから香港経由で成田空港あるいは福岡空港に安着しました。関西空港が台風21号で被災したため関西空港に到着できず、振替便での帰国となりました(なおこれとは別に2名が9月3日(月)に関西空港に安着しております)。
 日本では得難い様々な経験を積むことにより、一回り大きな人間となって帰国したと思います。今後、何回かに分けて参加学生の感想・気付きを紹介します。今回はその第1回となります。この2名は9月3日(月)に帰国しました。

流通学部3年 松尾 明日香 さん

 私が約3週間お世話になったのは、福岡県を基盤に鉄道、バスなどの路線網を持つ大手私鉄、西日本鉄道株式会社の、国際物流事業のベトナム事業所であるNNR Global Logistics Vietnam Co., Ltd.です。NNRは26カ国・地域、108都市に事業所を設けており、ベトナム内にオフィスは6つもあります。NNR VNは通関のサポートを得意としていて、主にベトナムに工場を持つ日系企業を担当しています。
 私にはもともと貿易や通関に関する知識がなかったため、勉強をすることから始めました。勉強してみて分かったことですが、通関に関する手続きは非常に煩雑で、手続きを怠ったり、虚偽の申告を行ったりして輸出入をした場合それは密輸にあたります。法律等の専門的知識が必要であることから業者に手数料を支払い通関業務を委託する場合が多いそうです。
 ベトナムにはいくつもの通関業者がありますが、NNR VNが多くの企業に支持されるのは、他社のローカルフォワーダーでは立ち入ることのない業務までサポートしている点です。何度か営業についていかせていただきましたが、どの企業も通関業務を自社で行うことに不安を抱いていました。そんなとき、NNR VNではまず企業側から輸出入のデータを預かり数値にズレがないか確認を行います。そして気に入っていただけたら企業にNNRの社員を派遣し本格的に業務を始めていきます。他社ではまずこのような作業は行っていません。NNR VNはコンサル業としてとても特化しており、だからこそ企業から求められていると分かりました。同じ値段で通関業務を委託するのなら、サービスが良いところにしようと思うはずです。目先の売上に直結しなくても質の良いサービスは会社の成果に繋がると思うので、私も働く際にはできる範囲のサービスを心がけていきたいと思いました。
 そして私はこのインターンシップを通して、適応能力を高めることができました。新しい環境にも素早く慣れることができ、ローカルの社員さんと距離を縮めることができました。社内でのボーリング大会がきっかけで仲良くなれましたが、出勤初日から自分から挨拶をしたり、話しかけたりと積極的に関わろうとしたことが上記の結果に繋がったと思います。おかげで、春に日本で会う約束をした大切な友人もできました。
 3週間という短い期間の中で、初めてのベトナム、慣れない現地での生活の中で日系企業がどのように日々の業務をローカルのスタッフとともに進めていくのか大変勉強になりました。今後ともこの積極的な姿勢を忘れることなく色々なことに興味を持ち、関わり、見識を深めることで学業並びに就職活動にこの経験を活かしていきたいです。

流通学部 3年生 小畑 勇斗 さん

 今回、ベトナムのインターンに参加した目的は二つあった。一つは、ベトナムのスポーツ市場はどうなっているのか知りたかった。もう一つは海外インターンに行き一か月経験を積むことができれば、就活の際に役立つだろうという安易な目的だった。
 当初の予定では、ある日系の居酒屋にインターンシップ生としてお世話になる予定だったが、提示された一か月のプログラム内容が当初聞かされていた内容から大幅に変更になりアルバイトと変わらない内容になっていたため、三木先生が配属先を急きょ変更し、人材紹介会社「平衡舎」にお世話になることになった。
 その日系居酒屋では、短い時間だったが統括マネージャーのNさんから様々なことを教わった。社会人の基礎知識、人との信頼関係の築き方など、Nさんの行動からも学ぶことが多かった。特に、人との信頼関係はとても大事にされていて、常に謙虚な姿勢と素直な気持ちを持ち合わせて交流をされていた。
 それが露骨にうかがえた事件があった。その居酒屋でベトナム人のキッチンスタッフの方がある理由でボイコットを起こし、店をしばらく閉めざるを得ない状況に陥った。その後、そのベトナム人スタッフ達はビンチェという田舎へ旅行に行ったという衝撃の事実が判明した。そのアフターケアという名目で、Nさんとビンチェに行った。そして、Nさんがそのベトナム人スタッフの方達と川に飛びこみ、目線を同じにして楽しんでおられる姿を見て、スタッフ一人一人を大事にされているのだなと感じた。人の上に立つ人間は、会社を支えてくれている社員こそ大事にし、気持ちを通わせることが重要なのではないかと感じた瞬間だった。また、会食にご一緒させていただいた時には、私の良くない性格をすべて言い当てられた。今まで自分の性格について率直に意見を言ってくださる人がいなかったので、大変心に響いた。この20年間生きてきた中で、初めて尊敬できる方と出会えた。自分の持っている大事な芯だけは動かさずに、色んな人の良いところは吸収するべきだと日系居酒屋のインターンシップでは学ぶことができた。
 しかし、これ以上その日系居酒屋では働くことができないということになり、2週目からは平衡舎という人材紹介業の会社で広告業務として主にブログの更新を担当させていただいた。
 ワードプレスを使用し、ベトナムに関する記事を投稿する。そして、多くの方に見ていただきベトナムで働きたいと思っている日本人の顧客を増やすという目的で取り組んだ。結論から言うと、平衡舎ではエンジニアと言語の重要性について学んだ。人材紹介の会社だったので、どんな人が、どんな業種の会社を希望し、どのようなスキルを持っている人が仕事を探しているのかを知ることができた。まず、ベトナム人が日系の企業を志望する時は、日本語(一般的に、N2~N1取得)、英語、パソコンのスキルがある人が重宝されていた。エンジニアスキルを身に付けているベトナム人は、海外のサイトを多く利用するため、人によりばらつきはあるものの英語力は日本よりも長けている。さらに、エンジニアやプログラマーはどこの企業でも重宝される時代だと改めて感じることができた。室井さんと共に、建築会社で働かれている方の話をお聞きした時には、ベトナム人の方は、日本で漁業、農業、介護の分野まで重宝されて働いているという事実を知った。確かに日本は、それら3つの仕事は人手不足が大きな問題となっている。なので、日本語が話せる外国人に頼らざるをえないのが現状である。なので、世界的に見た時に英語、パソコンスキルの無い日本人の需要が無くなっていくのではないかという不安も同時に芽生えた。
 ベトナムのインターンシップを通して、まず自分がやらなければならないことは、日本の未来を想定した動き方をするべきだろうと感じた。そのためには、語学はもちろん、パソコンのスキルなど日本だけでなく世界的に標準を合わせたスキルが必要ではないかと考えた。
言語以外の武器が必要不可欠の時代に近づきつつあるということを、この年で知ることができたのは大きな価値になった。なので、今の私の課題は世界の働き方の考えや、何が求められているのを分析し、自分の市場価値を高めることが重要だと思っている。
 その中でも、Nさんに教えていただいた、謙虚な姿勢、素直であること、人との信頼関係らを大事に自分の芯だけはしっかりと保ちながら、これから精進していきたい。