2019年6月26日(水)、経済学部の三木ゼミ2年生は、八尾市にある錦城護謨株式会社を訪問し、代表取締役の太田泰造さん、業務統括部の藤田亜弓さんにお話をうかがいました。
 錦城護謨株式会社は昭和11年創業、白物家電・OA関連機器等に使用されるゴム部品の製造販売、ETCゲートに使われる車両センサー、軟弱地盤改良工事の設計施工、福祉関連事業を主な事業内容とする企業です。平成22年(2010年) には大阪中小企業顕彰事業実行委員会(注1)が実施する「大阪ものづくり優良企業賞」を受賞、大阪を代表するものづくり企業です。
 経済学部三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。三木ゼミ2年生は今年度も昨年度に引き続き、大阪府商工労働部の連携協定に基づく事業の1つとして「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」という課題に取組んでいます。今回はその活動の一環として訪問しました。
(注1) 大阪中小企業顕彰事業実行委員会:
大阪府、大阪府商工会議所連合会、大阪府商工会連合会、公益財団法人大阪産業振興機構、地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所で構成
 以下に今回の訪問見学で得られた、学生たちの気付き(一部)を紹介します。

経済学部2年生 下河原 旭洋 さん

 錦城護謨株式会社は暮らしの中で活躍する技術を提供しており、多くの人たちを支えています。例えば、家電製品の部品で熱さに耐えるシリコン、視覚障がい者のための誘導マットや、土木事業で地盤を改良するプラスチックを使用した建築資材などその他多くの身の回りの小さなところで錦城護謨は活躍しています。主な事業範囲は大きく「ゴム製造」「福祉」「土木」の分野に分けることができます。
 「ゴム製造」の仕事内容は、ゴムの形を形成する金型の設計から素材となる原料の配合、試作、生産、検品、出荷まで全て行なっていて、お客様の要望に応える対応力と速さを強みに顧客を得ていることがわかりました。「土木」はでは足元をしっかり固めるためにドレーン材と呼ばれるプラスチックを使用した建築資材で地盤改良を行なっています。ドレーン材を使用しどのように地盤を改良するのかというとドレーン材のプラスチックで人工排水材を作り、その排水材を地盤に打ち込み、土中の水分を排出させて地盤の強度を高めています。この排水材は河川の近くや埋立地などの地盤が弱くそのままでは土地が活用できない時に利用し、空港、道路や住宅地、商業施設などの土地活用に役立っています。「福祉」事業では、誘導マットや医療機器の部品などで活躍しています。現在の点字ブロックは黄色くてデコボコしていますがゴムの技術を使うことでつまずく心配が軽減されたり、視覚障がい者の方が使用している白杖で叩くと音も変わるので従来の点字ブロックよりもゴムでできた誘導マットの方が感覚を掴みやすいつくりとなっています。医療機器にもゴムが使われており、少子高齢化が進んでいるのでこれからニーズは高くなっていくのではないかと思いました。
 私が、この企業を訪問して良いと思ったことは、まず建物内がとても綺麗だったことです。ゴムを製造するので材料やゴミなどで汚いのかと想像していましたが全く違いました。次に、作業場を見学した際、掲示板に「気づきメモ」というのがあったこともとても良かったです。作業をしている中で改善できることや上司に言いたいことなどをすぐに掲示板に書き込むことで作業をより良いものに変えれるキッカケになる仕組みだと思いました。また、社員一人ひとりに1年間の目標を持たせて意識づけをし、給料やボーナスに影響を持たせることで仕事に対して真面目に向き合わせるという方法はとてもよく効果的だと考えます。事業の将来性もありとても良い企業でした。

経済学部2年生 山本 航平 さん

 錦城護謨株式会社に訪れてまず驚いたのは会社の大きさだ。受付に行って会議室まで連れていってもらうときはそんなに大きくないと思っていたが、いざ工場見学をしてみると作る工程ごとに建物や部屋が分かれており広かった。また、働いている人たちの私たちに対する態度がとてもすばらしく、説明も丁寧で頭に入ってきやすかった。挨拶をするときもわざわざ被っているヘルメットを取ってまで頭を下げて挨拶してくれてこちらも気分が良くなった。やはり第一印象は大事であると改めて感じることができ、自分もあのように明るく挨拶していこうと思った。
 また、ボーナスが評価制のところが良いなと思った。もし自分が同僚より何倍も頑張っていてその同僚は全然頑張っていないとする。給料日がきて同僚に金額を聞いて自分と一緒の金額だったらあなたはどう思うだろうか。もしこれが評価制だったら上の人が自分の頑張りをしっかり見てくれていてそれなりの給料をもらうことができるのだ。また、この悔しさがバネになり仕事を頑張ることができる。これはほかのことにも言えることだ。例えばテストの点数で友達に負けたとする。次のテストで絶対見返してやると思うように競争心は人を強くするのだ。
 また、工場見学の時に人が行っていた作業をロボットが行っていたのだが丁寧さやスピードもそんなに変わっていなかったことにびっくりした。普通はロボットがやるほうが作業のスピードも早いし、正確なのだがそんなに差が無かったのだ。人の手で作業を行うよりロボットが行ったほうが事故の危険性が低いが、働いている人たちの手つきを見ていると無駄な動きがなく正確なのだ。また、目標を持って働くことができるのはいいなと思った。若手社員と話す場面で目標を持って働けているかという質問にすぐに答えることができていて、その目標を達成することがやりがいを感じる瞬間だと教えてくれた。何も目標を持たずに働くより、小さな目標でもいいのでそれを持って働くことでゴールがあるのでそれに向かって頑張ることができるのだ。
 今回の企業訪問ではゴムでどのようなものを作っているのかということのほかに挨拶の大切さ・目標を持つことの大切さを改めて知ることができた。福祉事業で東京オリンピックに導入することが目標だと聞いたときは大きい目標を持つことは素晴らしいと感じた。前回の企業訪問を体調不良で休んだ私にとっては今回が初めての企業訪問だったが、とても有意義な時間を過ごすことができた。

経済学部2年生 今井 咲利佳 さん

 今回、錦城護謨株式会社さんに会社見学に行きゴムは色々なところで活躍していることが分かりました。
 錦城護謨さんに行く前のゴムの印象は、輪ゴムとパッキンしか思い浮かびませんでした。なので、私の生活にあまり関わりのないものだと思いました。しかし伺って作っているサンプルを見せていただくと、普段から見慣れた物が沢山ありました。200℃まで耐えられる炊飯器のパッキンや、堅すぎず柔らかすぎないマッサージ機の揉み玉・歯間ブラシ、プラスチックが溶けない温度でゴムが固められたガラパゴスケータイの裏の蓋、脱げず破れにくいように工夫された水泳キャップ、ETCのセンサーなどがありました。このようなゴム製品のみならず、土木事業や福祉関連の事業、nocilisと言う子供のおもちゃも作っています。土木事業ではキャッスルボードと言う地盤沈下を防ぐボードを作っています。福祉関連の事業ではよりよいバリアフリーを目指すために視覚障がい者歩行誘導マットを作っています。nocilisのおもちゃは、ゴムで作られているので怪我をしにくいし、マンションで住んでいる方が遊んでも音が出ません。
  このような錦城護謨さんの商品を見て、ゴムは色々形を変える事が出来て工夫1つで何にでもなることが出来るのだなと思いました。お話を聞いているときに、色々サンプルを見たり触ったりして非常に良いなと思いました。特に良いと思ったのが福祉関連についてです。今、町中でよく見る視覚障がい者歩行誘導マットは、車いすの方やベビーカーのタイヤが引っかかります。私もつまずいた事があるし、高齢者の方や足が悪い方には少し危ないなと感じていました。ゴムで出来た誘導マットは、このような心配がなく皆がより便利になるなと思いました。また、工場の中を見学したときにゴムを作る工程を見せていただきました。金属の型にはめられたゴムをとった後すごく丁寧に掃除をしていました。少しでもゴミや残りのカスが付いていると後の製品に支障が出ます。ちょっとの事でも油断をすると、その製品が使えなくなったりするのでとても大変な事だなと思いました。
 錦城護謨さんで見学をさせていただき、ゴムは私の生活にとても関わっていることが分かりました。ゴムは色々形を変化させることが出来ます。錦城護謨さんも言っていましたが、スマートフォンの画面がゴムになったら割れないのですごくいいなと思います。これからも、八尾から色々な分野に関わってよりよく便利に暮らせる商品を開発して欲しいです。