2019年10月2日(水)、経済学部の三木ゼミ2年生は、大阪市大正区にある株式会社木幡計器製作所を訪問し、代表取締役の木幡巌さんにお話をうかがいました。
 株式会社木幡計器製作所は明治42年創業。圧力計・温度計・液面計など計測制御機器を造船・プラント・ボイラー・化学装置などの業界に納入しています。平成26年(2014年) には大阪中小企業顕彰事業実行委員会(注1)が実施する「大阪ものづくり優良企業賞」を受賞、大阪を代表するものづくり企業です。
 経済学部三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。三木ゼミ2年生は今年度も昨年度に引き続き、大阪府商工労働部の連携協定に基づく事業の1つとして「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」という課題に取組んでいます。今回はその活動の一環として訪問しました。
大阪中小企業顕彰事業実行委員会:
大阪府、大阪府商工会議所連合会、大阪府商工会連合会、公益財団法人大阪産業局、地方独立行政法人大阪産業技術研究所で構成
 以下に今回の訪問見学で得られた、学生たちの気付き(一部)を紹介します。

経済学部2年生 今井 咲利佳 さん

 今回、木幡計器製作所へ見学に行き100年以上も変わらず作られている圧力計について教えていただきました。
 木幡計器製作所は、圧力計を作っている会社です。圧力計は中高生の時に理科の授業で習った事を覚えています。しかし、どのような時に使われるかは知りませんでした。鉄道や船舶・クレーン車・ポンプ・工作機械・シールド装置(トンネルを掘る機械)など産業分野では色々な所で使われています。その中でも木幡計器製作所では、3~4割は船舶向けであり、その他は、ポンプ・工作機械・シールド装置などで使われる圧力計が看板商品です。
 木幡計器製作所で、100年以上も続く圧力計のすごさに驚きました。この100年でインターネットが普及して時代は変わったのに、ずっと見た目も変わらず必要とされています。また、老舗中小企業なのにベンチャー企業としての新たに取り組んでいる所も良いなと思いました。正直、圧力計の事は何も知りませんでしたが色々と工夫されていて、どうしたら出来ていないことを出来るようにするかに注目して考えており向上心がある会社だなと感じました。また、自社の事だけでなく他の中小企業と連帯で事業に取り組んでいる所も良いと思いました。中小企業だけではできない事も、他の中小企業と一緒にすることでそれぞれの得意分野を生かせてより良い物が出来ると思います。それぞれの分野のプロをそろえるのは大企業でも難しいみたいなので、これは中小企業の良いところだなと感じました。他にも、社内にベンチャー企業の手助けをするスペースがあるのも驚きました。会議ができる所や、耐久性を見る機械や3Dスキャンなどもあり、他のベンチャー企業にも貸すそうです。自分の会社の事だけではなく、他社のベンチャー企業と共に成長しようと言う気持ちがとても素敵だと思います。
 木幡計器製作所では、中小企業にしかない魅力が分かりました。沢山の会社と共に頑張る姿勢や、他の会社にも機械を貸したり場を設けたり社長さんの大阪らしい暖かい人柄が伝わっていました。デザイン系の大学にPR動画を作ってもらったり、医大と共に研究したり、私たちにも会社見学をさせてくれたりと学生の私たちとも関わる所も良いと思います。これからも老舗ベンチャー企業として、ものづくりの街を盛り上げていって欲しいです。

経済学部2年生 杉本 侑也 さん

 私たちは10月2日に、木幡計器製作所さんに企業訪問に行きました。
木幡計器製作所は明治42年に創業され今年で創業110年目になり国内で3番目に古い老舗圧力計メーカーです。木幡計器製作所では主に圧力計が製造されており、「計測・制御機器開発事業」そしてさらに新しい取り組みの「医療機器・医療周辺機器開発事業」「IoT関連機器開発事業」の3つの事業を行っています。
 計測・制御機器開発事業では、私たちが普段生活していて見ることのないボイラーやプレス等工作機械・シールド装置(トンネルを掘る機械)そして船舶や鉄道などいろいろなところにある圧力計が主に製造されています。圧力計は、数字に誤差があると機械の安全・人命の安全が保障されません。そのため、正確な手作業生産・品質管理を行い、安心・安全を提供していきます。工場を見学していると、社員さんが手作業でメモリの位置を変えたりしていました。しかし実際圧力計が使用されている現場では、管理が不十分で正確に目盛りが数字を指していない時もあるそうです。そこで新しい取り組みの一つの「IoT関連機器開発事業」が始まり、これは木幡計器製作所と他14社の連携で行われていて、PDAという情報端末と圧力計を接続し、データベース上で数値を確認できるというシステムです。これをすることにより、病院の酸素ガスボンベなどの残量を離れた場所から確認することが可能になり、日常設備点検など手間や人手がかかる仕事も、とても楽にできるようになります。
 今回、企業訪問・工場見学をしていて最も印象に残ったことは、「ファブラボ」と呼ばれる施設でベンチャー企業さんの仕事をサポートできるエリアがあったことです。木幡計器製作所には、毎日稼働させていない機械・施設があり、使っていないときはそのスペースを貸し出して、他のベンチャー企業さんの支援を行い、医療の分野やIoTの分野に役立ててもらうというものです。様々な企業さんに企業訪問してきましたが、このような取り組みは初めて見ました。同時に、機械を持っていない企業は機械を利用でき、木幡計器製作所さんはスペースを貸し出すだけなので、とてもコストパフォーマンスの良いシステムだなと感じました。このような取り組みは、様々な企業でも活用できると思うので、企業同士が連携し行っていけばよいと思いました。

経済学部2年生 下河原 旭洋 さん

 木幡計器製作所は、産業分野では重宝されている圧力計を作っている会社です。圧力計は近代産業の起源にも深く関わったものであり、木幡計器製作所は明治42年に創業されてから110年続いているとても歴史がある老舗の中小企業です。
 圧力計がどのようなところで使用されているかというと鉄道のブレーキ圧やクレーン車やボイラーなどで、木幡計器製作所は船舶の圧力計をメインとして作っています。私たちが生活している中ではあまり見かけないところに圧力計は使用されています。現在は既存の圧力計に加えてIoTと医療機器にフォーカスをして事業を進めています。IOTの面では、設備点検の現場で紙とペンでしていた点検作業を、PDA(携帯情報端末)を開発することにより利便性を高めることに成功しています。また、従来の圧力計をベースとして圧力値をデジタル化し無線転送を可能にしました。測定をするのに電源は不要で必要時にだけ低消費電力でデータを送信するといったハイブリッドIoT圧力計も開発されました。これは簡単にネットワーク化でき、直接、圧力計の数値を見なくても良いので危険な場所でとても有効に使えます。また停電した際もバックアップがあるので問題ないといったメリットがあります。次に医療機器の面です。医療機器は呼吸計測器の開発に取り組んでおり現在、社会問題である肺がんや肺炎の早期発見、予防するために使用され「呼吸の見える化」を実現できた製品です。肺がんは自分では気づきにくく、気づいた頃には深刻な状態なので呼吸計測器を定期的に使用することでガンを防ぐことができます。また、タバコを吸っている人もどれだけ肺に負担がかかっているのかを数字で見れるので禁煙する人が増えるかもしれないと考えました。呼吸計測器は医療面だけでなくスポーツや音楽関連の分野にも展開できるのでとても魅力的な商品だと思いました。これらの事業は様々な企業と提携して開発されているので各分野の突出した技術(ソフト、無線、セキュリティなど)を合わせており無駄な部分がなく、かつ効率的だと思いました。
 私が、木幡計器製作所を訪問して思ったことは、社長の仕事に対する向上心が高いことです。社長が企業説明してくださった際、社長自身の見解を多く述べられており、しっかりとした考えを持っているのだなという印象を受けました。老舗の企業だからといって成長を止めるのではなく、課題を見つける能力をつけて問題解決をして成長につなげているのが良いところです。これらのことから医療分野にも進出できたのではないかと思いました。しかし、若手社員が少ないので活気がないイメージで、社長だけが張り切っているように見えました。若手社員を増やすことで若い発想や元気なエネルギーが生まれもっと良いものが作れるのではないかと思いました。