グローバルキャリアプロジェクトゼミ
執筆者:三木 隆弘

1.グローバルキャリアプロジェクトゼミの狙い

 阪南大学経済学部で三木が担当する、阪南大学経済学部の特色ある教育の1つである「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」での学びの内容について説明します。
 「グローバル」という名前がついていますが、普段のゼミは当然日本国内で実施しており、そんなに頻繁に海外に行くわけにはいきません(特にコロナ禍により、約2年間海外研修は実施できていません)。また、このゼミは「英語学習」を行うゼミでもありません。このゼミの狙いを簡単にまとめると以下のようになります。
①企業・行政などのお困りごと(国内・海外)を
②学生目線で解決・提言し
③課題解決能力向上を図るゼミ
 では以下に、このゼミがなぜ「特色ある教育」とされているのか、その特徴について説明します。

2.「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」の特徴

 日本の中学・高校では「教えられたことをペーパーテストで再現する」能力が高ければ成績が良い優秀な生徒と言われ、偏差値上位校に進学します。もちろんペーパーテストの成績が高いことは立派なことであり、それを否定するものではありません。しかし社会に出てみると、成績の良かった人がそのまま仕事のできる社会人になっているかというと、必ずしもそうではないということがよくあります。
 上のような状況を踏まえて、グローバルキャリアプロジェクトゼミでは、大学生のうちにできるだけ「社会に求められる人材」に近づくため、次に挙げるような特色ある学びを実践しています。
①「就業力」の向上を目指す
②教員はほぼ教えない
③とにかく現場に行く(国内・海外)

3.教員が教えないゼミ?

 「教員が教えないゼミ」と聞くとびっくりされる方もいらっしゃるかもしれません。特に高校までの授業においては、教員が一方的に教え生徒は受身的に学ぶのが普通だったはずです。しかしこのゼミでは「課題解決」が活動の中心となりますので、教員は「この事業を実施する背景と目的」「提供されている情報とリソース」「課題解決のためのヒント」などを最初に説明しますが、そこからはゼミ生たちが「能動的に・自分で考え・自分で動く」ことが中心のゼミ運営となります。もちろん教員が気付いたことについて多少のコメントやアドバイスを加えることはありますが、ほとんどしゃべりません。少人数ゼミ(10名)ですから、全員が参加しないと課題解決に近付かないため、いわゆる「フリーライダー」(何も貢献しない人)はほぼいません。

4.とにかく現場に行くゼミ

 もう一つ大切にしている教育方針は「現場主義」です。特に今のネット時代、何でもネットで検索すれば分かったような気になりますが、その情報は「本当」なのかという疑問を持つことが重要だと考えています。下調べは重要です。しかし本当のことは、現場に行ってみないとわからないと考えます。自分の眼で見て、肌で感じて、真実を見極めることを大切にすることが「現場主義」です。
 これら「教員はほぼ教えない」「能動的に自分で考えて自分で動く」「とにかく現場に行く」「自ら体感・実感する」をベースとした「経験学習」「課題解決」中心のゼミ運営により「社会に求められる人材」の育成を行います。

5.グローバル人材の輩出

 先ほども述べましたが、コロナ禍により約2年間ゼミ生の海外研修が実施できていません。コロナ禍が収まったら「社会に求められる人材」と同時に「グローバル人材」の育成・輩出を再開したいと考えています。ここで言うグローバル人材とは、もちろん英語ができるに越したことはありませんが、必ずしも英語が堪能であるということを必要としておらず、「海外で稼げる人材」(現地で働く・現地に出張する)や「海外を相手に稼げる人材」(日本で働いているが、取引相手が海外や外国人)を想定しています。
 日本(市場)は残念ながら、今後少子高齢化がますます進行し、人口が減り需要が縮小していきます。そんな日本にしがみつくことなく「世界のどんな場所でも働ける人材」「世界中を相手に仕事ができる人材」こそが、これからの不安定・不確実な時代の中で最も「安定」に近い人材だと信じています。
 皆さんもぜひ阪南大学経済学部で「グローバル人材」を目指してみませんか。

もっと深く知りたい方は…

今年のオープンキャンパスのプログラム一つにて本記事のをテーマにした模擬授業を行いますので、是非お越しください。スケジュール等の詳細については以下ページをご確認ください。