2022年5月18日(水)、経済学部の三木ゼミ2年生は、八尾市にある株式会社Ringを訪問し、営業部産業資材課課長の宮木秀幸さん他にお話をうかがいました。
 株式会社Ringは1989年創業、超精密プレス部品・樹脂部品の製作、インサート成形加工など手がけており、特にスマートフォンやゲーム機などの電子部品や車載部品、医療機器部品など、精密部品の製造を得意としています。金型製作から部品量産までの一貫生産体制を整え、金属と樹脂双方の加工に精通しているのが強みです。令和3(2021)年には大阪中小企業顕彰事業実行委員会(注1)が実施する「大阪ものづくり優良企業賞」を受賞、大阪を代表するものづくり企業です。
 経済学部三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。三木ゼミ2年生は今年度も昨年度に引き続き、大阪府商工労働部の連携協定に基づく事業の1つとして「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」という課題に取組んでいます。今回はその活動の一環として訪問しました。

(注1) 大阪中小企業顕彰事業実行委員会:
大阪府、大阪府商工会議所連合会、大阪府商工会連合会、公益財団法人大阪産業局、地方独立行政法人大阪産業技術研究所で構成

 以下に今回の訪問見学で得られた、学生たちの気付き(一部)を紹介します。

【経済学部2年生 山本 海月 さん】

 今回、「Ring」を訪問させていただいて感じたことは『社員一人一人が細かい目標設定を立てて仕事に取り組んでいる』ということだ。目標ややりがいを聞いているとき若い社員ならではの目標がありすごいなと感じた。それは、『若い社員だけで製品の設計から製造まで任せられるようになりたい』と答えていただいた。そう自信もって目標といえるのは会社としてチームや個人が伸びていけるような環境作りがされているのだと感じた。例えば、社長が社長室ではなく一日のほとんどを社員とともに現場にいることや休憩時間やたばこ休憩の時に社長や先輩社員たちと様々な意見交換をしているところだ。そのような些細な事から若い社員のやる気・自信につながっているのだと私は思う。
 「Ring」には、多種多様の分野がありそれに伴う技術や開発力を持っていると感じた。車や医療、防災、家電など私たちの身近に使っているモノの細かい部品から命を守るモノまでつくられている。それぞれの製品ごとに製造工場を変えており、その製品に特化している。日本だけでなく海外に展開しているため事業の将来性を見据えることが出来ると感じた。いろいろな分野にチャレンジしていることで取引先も多い。しかし、「Ring」として小さい取引きから大きい取引きまで何一つ取りこぼさないよう仕事に取り組んでいると皆さんおっしゃっていた。さまざまな製品を作っていく上で『自社独自の製品を作って商品化していきたい』と新たな目標ができたとおっしゃっていた。
 そのひとつの例として、「マスク」について教えていただいた。コロナウイルスが流行りマスク着用が義務付けられるようになった。社員さんたちは作業を一日中する中で、マスクを長い時間つけているため「耳が痛い」という意見が多く出たという。そこで「Ring」としてなにか出来ないかと考えアイデアを出し合い耳が痛くならないマスクを作り、八尾市に寄贈しているという話を聞いた。社員の「痛い」という声から耳が痛くなりにくいマスクを作るなど社員の意見を聞き入れ製品化してくれる良い会社だと感じた。あるひとりの社員さんの目標のひとつとして『自分が生活していてあればいいな、これがあると役立つなというモノをアイデアとして出し、Ringとして製品化したい』と教えていただいた。より良い会社作りにするために一人一人が努力していることがとても感じられた。
 私はずっと「製造業」に興味をもてなかった。しかし、新人社員さんの入社理由を聞いてそういう見方で職場を決めるのもありなんだと知ることが出来た。その社員さんは以前コロナウイルスで大きく打撃を受けた職場で働いていて、出勤回数や勤務時間、収益などが不安定だったと教えていただいた。そして、その社員さんはコロナウイルスなどの影響があっても製造業はある程度の経済が安定していて、不安定な生活から抜け出せると考え製造業に就職したときいた。私はその社員さんの話を聞いて、新たな見方を教えていただけたように感じ良い経験になった。また、今は細かい目標を立てられなくても今後目標を立てられるようになり堂々と話せる人になりたいと感じた。

【経済学部2年生 吉川 美優 さん】

 今回、私たちは株式会社Ringさん大阪営業所を訪問させていただき、更に工場を見学させていただきました。「金型製作現場」と呼ばれるその工場は、樹脂と金属部品の金型を1つの現場で同時に作成している工場で、今までの部品製作施設のイメージとは全く違うものでした。
 まず、工場施設に対するマイナスイメージです。私が工場に対するイメージは、「匂いが非常に臭くて、うるさい。施設内は汚く整備されていない」というものでした。しかし、こちらの工場では用意して下さったスリッパと私服で見学できるくらい工場の現場が非常に綺麗で、全く匂いも気にならず、整理整頓されていました。部品を製作する工場内は、けが、特に部品の紛失防止のため、常に整理整頓を徹底する必要があるということを学びました。また見学の前に「金型製作現場 見取り図」をいただき工場見学の際も、工場見学後もインプットしやすく非常に助かりました。工場内には大きいホワイトボードがあり1ヶ月間の納期の進行状況がびっしりと記されていました。従業員が把握しやすく、納期をスケジュール化することにより「納期を守る」という目標に繋がるという企業努力を感じました。
 次に、経営理念が素敵だと感じました。株式会社Ringさんの3つの丸が組み合わさったロゴがあります。それは「3つの理念」が込められたロゴでした。1つめは「配慮」お客様のことを考え行動する精神。2つ目は「情熱」人・輪(チーム)の繋がりが作り出すエネルギーを信じ行動する精神。3つ目は「感謝」人・輪(チーム)で繋がることに感謝する精神。この3つのポリシーが株式会社Ringさんの精神であり、普段からのお客様や従業員の喜びを実現している素敵な企業という事がうかがえました。インタビューでは急に「目標とやりがい」を質問したのに対し、社員さん一人一人が明確に話して下さり、会社に対する思い、若手の従業員でも夢が持てる仕事というのが分かりました。
 今までは技術的な部分にばかり目が行きがちでしたが、全体を改めて振り返ると、企業としての経営力、挑戦力の強さを感じました。企業にとっても、従業員にとっても働きやすい環境である施設でありました。しかし、簡単につくることができる施設ではありません。複合的なものづくりの対応が可能とする拠点は日本だけではなくアジアと中国にも展開しています。知れば知るほど、完成までにはかなりの苦労があったことを感じました。株式会社Ringさんを訪問し、技術の素晴らしさを感じることができたこと、挑戦を続ける若手社員さん初め、職歴が長い総務や営業部の方にお話を聞けたことは、とても貴重な経験です。将来の自分に役立てていきたいと思います。

【経済学部2年生 稲次 海斗 さん】

 今回の企業訪問では、Ringにお邪魔した。Ringでは、高品質・高効率生産が可能な金型と生産方法を同時に提案し、設計・試作から量産まで対応可能な、完全一貫生産システムを導入している会社である。そこで私は、このRingで学べることがあった。
 他社の工場などでは、一つのものを作っている会社が多い。しかし、Ringでは、部品製造から組み立てまでを行っている。そこから取引先のお客様に届けるのだ。金属だけではなく、樹脂の商品も製造している。その技術で、電子部品や、防災部品、家電部品さらには、医療部品まで製造している。一つに特化しているのではなく、総合的に特化しているのがこの会社の特徴だと感じた。総合的に特化しているので必然的に機械等が多い。そこで作業者を多能工化し、一つの仕事だけに集中しないようにしている。そうすることで、仮に誰かが退職してしまっても、その穴を埋めることができる。
 Ringでは、目標がある。それは、Ring独自のブランドを制作することだ。他の会社では、厳しいかもしれないが、この会社では可能だと私は強く感じた。そう思うと同時に面白そうだなという感情にもなった。このコロナ期間でマスクは必需品となった。しかしマスクを長時間使用すると耳が痛くなる。そこでRingは耳が痛くならない改良マスクを社内で作った。このようにこれからRingでは、たくさんの商品をこの世に出していくだろう。
 Ringはグローバル進出をしていて、日本の他に中国、東南アジアに工場を展開している。そうすることで、作業効率は大幅に上がり、幅広い業界からの要望に対しても、量が多い取引にも対応することができる。しかし少ない商品でも、金額が少量であっても取引をするという。取引先を大事にしているのが伝わった。しかしコロナウイルスの影響で飛び込み営業が減っている。そのため最近では、ホームページからのお客様の依頼が増えている。
 Ringの工場は他の工場と比べ、若い社員が多い。若い社員は、納期を守れたとき、自分の書いた設計が実物になるときに、やりがいを感じるそうだ。社員同士も先輩後輩関係なく仲がよい。なぜならイベント事が多くBBQやボーリング大会などをおこなっているからだ。仕事をする上で、社員仲間とは、仲良くなるべきだ。先輩後輩関係なく質問もでき効率向上につながると私は考える。さらに社長と距離が近いというのもRingの特徴だ。社長は常に社長室に籠もるのではなく、作業現場に行き、社長自ら指導することもあるそうだ。そのため社員は社長に質問をしやすい。大きな取引の依頼が来た際、社長はわざと若い社員に任せるそうだ。そうすることで若い社員の成長に繋がると考えているからだ。
 Ringでは、利益だけを考えているのではなく、取引先のお客様を大切にしているのだと感じた。他社の工場ではあまり見ない一貫生産システムサービスを提供し、グローバル進出もしている今後の活躍にも期待が持てる会社だ。金属、樹脂を巧みに操り商品を作り取引しているなんでもできる会社だと私は感じた。