2023年5月24日(水)、経済学部の三木ゼミ3年生は、寝屋川市にあるカンケンフローシステム株式会社を訪問し、代表取締役の飯野勝久さん、取締役総務部長の飯野知栄美さん他にお話をうかがいました。
 カンケンフローシステム株式会社は1971年創業、建設機械や工作機械等に使用されている油圧ホースを製作、さらに継手(アダプター)やカプラーなどを販売しています。住友理工ホーステックス株式会社の販売代理店及び油圧ホース製作認定工場で、現在は油圧ホースだけでなく、加締機や自社開発の設備機器も販売しています。令和4(2022)年には大阪中小企業顕彰事業実行委員会(注1)が実施する「大阪ものづくり優良企業賞」を受賞、大阪を代表するものづくり企業です。
 経済学部三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。三木ゼミ2・3年生は今年度も昨年度に引き続き、大阪府商工労働部の連携協定に基づく事業の1つとして「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」という課題に取組んでいます。今回はその活動の一環として訪問しました。

(注1) 大阪中小企業顕彰事業実行委員会:
大阪府、大阪府商工会議所連合会、大阪府商工会連合会、公益財団法人大阪産業局、地方独立行政法人大阪産業技術研究所で構成

 以下に今回の訪問見学で得られた、学生たちの気付き(一部)を紹介します。

経済学部3年生 田中 大智 さん

1.はじめに
 今回の企業訪問は寝屋川市にあるカンケンフロー株式会社様に訪問させていただきました。
油圧ホースを主力製品として取り扱う企業です。企業訪問で見えてきた技術力などを本レポートでまとめていきます。

2.カンケンフロー株式会社で感じたこと
 はじめにでも述べた通り、カンケンフロー株式会社では油圧ホース主力製品としていて、主に油圧を動力とする土木建設機械や特装車輛、杭打機、フォークリフトや農業機械に使用されています。この企業を訪問させていただいた際に感じたことが3つあります。
 まず1つ目は工場で働く人たちが和やかな空気の中で仕事をしているという印象を受けた点です。複数の人たちが製品の事に関して様々な意見を出し合いながらそれぞれの意見をくみ取りながら仕事をしているように見えました。誰でも意見がしやすいような環境にとても好印象を受けました。
 そして2つ目が在庫管理の画期的な方法です。今まで数多くの企業を訪問させていただきましたが、どの企業も在庫を一つの部屋を使って管理しているという印象がありました。それでは貴重なスペースが潰れてしまうのではないかと以前から考えていました。しかし、この企業では機械を導入して高さで在庫管理をすることによって貴重なスペースを最小限に収めていて画期的であると思いました。
 最後に3つ目が福利厚生の充実度です。産休や育休など基本的なものはもちろん、その他に高級ぶどうの配布やコーヒーメーカーの完備、提携のリゾートホテルに会員価格で宿泊することのできる制度というのは新しくて面白いと感じました。

3.最後に
 今回の企業訪問では今までの企業とは少し主力製品の違う企業を訪問させていただきました。油圧ホースという耳なじみのない物でしたが、実際には我々の身近に溢れている製品の製造工程などを見学することができました。その他にも福利厚生などの面から従業員を大切にしている企業であることがうかがえました。

経済学部3年生 山本 海月 さん

 私たちは、「カンケンフローシステム株式会社」に訪問しました。カンケンフローシステム株式会社は、大阪(寝屋川市)に本社があり、高知・神奈川に支店を持ち、油圧ホースや設備機器の製作や出張サービスを行っておられます。私が、カンケンフローシステム株式会社を訪れて印象に残ったことをレポートにまとめていきます。
 一つ目は、企業説明をしていただいた際に、会社案内や勤務体系が記された資料が用意されていたことです。パワーポイントの資料が用意されていたのはいろいろな企業を訪問してきて初めての出来事だでした。その資料が用意されていたことで、企業説明をより理解することが出来ました。また、工場案内の際に実際に作業体験をさせていただきました。これも、いろいろな企業を回ってきた中で初めての出来事でした。
 二つ目は、企業理念を会社全体で共有されていることです。難しい言葉でなく分かりやすい言葉で、企業全体の従業員が心がける信条や行動指針を記載された「CREDO」を社員全員に配布し、いつでも企業理念を再確認できる環境に私は驚きました。この取り組みは、お客様第一に考えていることが伝わりました。また、従業員の士気を高めるということにも繋がっているのではないかと私は考えます。
 三つ目は、従業員想いであることがすごく伝わってきたことです。私は、カンケンフローシステム株式会社の労働環境からこう感じました。まず、福利厚生です。カンケンフローシステムさんでは、インフレによる手当があることや男女共に取得できる産休育休、ガン検査をオプションで付けることの出来る健康診断など時代や社会情勢に見合った福利厚生があります。このような手当や福利厚生があることは、円安や新型コロナウイルス感染症の影響で働きにくい状況でも安心して働くことが出来ると私は感じることが出来ました。
 そして、工場には自動倉庫が導入されていました。いろいろな中小企業を訪問してきましたが、実際にAmazonにあるような自動倉庫が導入されている企業は初めてでした。
 また、若手社員さんのお話を伺っている際に「意見が言いやすい、通りやすい環境である」と皆さん口を揃えて言っておられました。社員さんの意見一つ一つを大切にしている事が伝わってきました。
 以上から、カンケンフローシステム株式会社さんがお客様や社員一人一人を大切にしていることがとても伝わってきました。また、初めて体験することが多くとても刺激になりました。

経済学部3年生 安田 花音 さん

1. はじめに
 「なぜこの企業に入ったのか。働く上での目標、やりがいは何か。」私たちゼミ生はいくつもの企業でこの質問を行ってきました。上記の質問を行った際、お答えいただく内容は三者三様。様々な角度から、勤めている企業についての考えをお話してくださいました。一方で、私がもし中学生、高校生の方々から「大学生の目標、やりがいは何ですか。」と尋ねられたら、どう答えているのだろうと考えるようになりました。
 本レポートでは、置かれた状況で何を考え、何を思い、行動していくのか。私たちが未来になりゆく“労働者”という姿を間近で体感した考えを論じたいと思います。

2. ありがとう
 「当たり前で平凡な答えかもしれないけど、人からの“ありがとう”は励みになる。だから、私もちゃんとありがとうの連鎖をつなげていきたい。」今回お伺いした中で、この言葉が大変強く印象に残っています。また、「最近の人はなかなか“ありがとう”と言わない」というお話も伺いました。他人に小さな事柄でも感謝の意を伝える。このことが働く上での基礎的な環境作りの要因であり、社会で生きていく上での基盤になるのだと感じます。私も人に感謝の意を伝えることが出来ているか。改めて自分の行動を見直す座談会になりました。

3. 見える化
 また、今回の訪問で印象に残っていることは自己管理シートの点数化です。社員の出来栄えを点数化し、できる社員はどんどん昇格していく。この“出来栄えの見える化”を取り入れている企業様式に斬新さを感じました。昇格や昇給は、人から見えにくい社会人の位付けであると私は感じています。「なぜあの人が。」「あの人のどんな行動で。」など、人々は自身を肯定してくれる要因に非常に敏感です。だからこそ他人から「なぜ」の追求をされた際、理由を明確に説明できる媒体が必要であると感じています。カンケンフローシステム株式会社様は、この具体的内容を視覚的に説明できる環境づくりが整っていることで、社員に対しての正統性を感じました。他人から見ていて簡単に分かることの難しい、“人の良さ”を証明できる制度は学校教育でも取り入れていくべきであると感じます。

4. おわり
 場作りと制度。感謝を言葉に表すことの大切さを今回の訪問で学びました。私たちが普段意識していることや感じていることは“労働者”という立場にたっても変わることのない普遍的な思考であると再認識させられます。その、当たり前に行っている自身を昇格させ得る行動やありがとうの気持ちを失うことなく、社会の一員になる基盤力を大学生活で固めていきたいです。

ご参考