「三木ゼミ生が魅力ある就職先と考える大阪のものづくり中小企業」

 2024年10月16日(水)、経済学部の三木ゼミ2年生は、東大阪市にある株式会社繁原製作所を訪問し、代表取締役の繁原秀和さんにお話をうかがいました。
 株式会社繁原製作所は1968年創業。高精度な歯車加工技術と最新鋭設備を備え、レース用サーキットパーツや、自動車のエンジンやミッションの歯車部品を、試作・単品受注をベースに短納期で提供しています。またEV(電気自動車)向け減速機を開発するなど、高付加価値化を追求する技術開発型企業です。平成27年(2015年)には大阪中小企業顕彰事業実行委員会(注1)が実施する「大阪ものづくり優良企業賞」を受賞、大阪を代表するものづくり企業です。
 経済学部三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。三木ゼミ2年生は今年度も昨年度に引き続き、大阪府商工労働部の連携協定に基づく事業の1つとして「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」という課題に取組んでいます。今回はその活動の一環として訪問しました。

(注1) 大阪中小企業顕彰事業実行委員会:
大阪府、大阪府商工会議所連合会、大阪府商工会連合会、公益財団法人大阪産業局、地方独立行政法人大阪産業技術研究所で構成
 以下に今回の訪問見学で得られた、学生たちの気付き(一部)を紹介します。

経済学部2年生  瀧本 愛 さん

1.はじめに
 私は、「株式会社繁原製作所」を訪問しました。ここで学んだことを以下に述べます。
2.会社概要
 株式会社繁原製作所は、「支える仕事」を大切にしており、高性能歯車加工技術・3D加工技術・検査、測定技術を駆使して、歯車部品を中心に製作している会社です。
3.見学内容
 私は、株式会社繁原製作所を見学させていただきました。
 最初に、歯車の設備が置いてある所から見学を開始しました。ここでは『歯車研削盤』や『5軸加工機』など、最新の機械を使用して作業が行われていました。『歯車研削盤』は、高速回転する砥石で歯車(ワーク)の歯面を研削仕上げする機械で、精密な加工が求められる工程です。この機械は、製品の耐久性や性能に大きな影響を与えるため、職人の技術が重要です。『5軸加工機』は、5つの軸を持つ加工機を使用した切削加工機で、従来の3軸加工に比べてより複雑な形状の切削が必要な加工や、段取り替えによって生じるつなぎ目が許容されない高品質が求められる製品の加工に使用されます。この加工機では、スヌーピーやドラえもんの形をしたテストワークも作られていました。
 次に、研磨加工エリアに移動しました。ここでは『複合加工機』を使用して作業していました。『複合加工機』は、旋盤・マシニング加工など複数の機能を1台の機械でこなすことができる高度な工作機械です。この機械の導入により、生産ラインの効率化が図られ、作業時間の短縮やコスト削減に寄与しています。これらの機械が一体となって動くことで、製造のスピードと精度が向上していました。
 最後に、品質管理グループと設計開発エリアを見学させていただきました。設計開発エリアは限られた人しか入れず、入る際には専用のカードで開けるようになっていました。ここでは、トヨタなど大手企業の製品の設計や試作が行われており、情報管理が非常に厳格でした。
4.まとめ
 今回の株式会社繁原製作所の見学を通じて、高度な技術と徹底した品質管理の重要性を強く感じました。特に、歯車製造における研削盤や5軸加工機の使用、複合加工機の活用による効率的な生産技術が印象的でした。また、設計開発エリアでの厳重な情報管理から、機密性の高い製品開発に対する姿勢も学ぶことができました。
 この見学を通じて、製造業の現場で「支える仕事」の責任の大きさや技術革新の重要性を実感し、今後の学びにおいて大いに生かしていきたいと考えます。

経済学部2年生  高野 ちひろ さん

1.はじめに
 創業以来、「支える」を企業価値に掲げる繁原製作所は、モータースポーツに関連する製品開発を通じて、国内外で数少ない開発型製造の企業です。
 繁原製作所への企業訪問を通じて、ものづくりに対する強い思いと高い技術力を実感しました。特に、歯車の製造から始まり、現在はトランスミッションや減速機などを設計から製造まで一貫して行っていることが印象的でした。
2.ものづくりへのこだわり
 繁原製作所の特徴は、単に製品を製造するだけでなく、設計まで行う点です。
 特に、船や電気バスなどを設計から関わって部品を製造していたり、ドグミッションを含む歯車部品の製作が8割を占めていたりと、ものづくりに深く関わっていることがわかります。
 また、トヨタなどの大手企業からスポーツカーのエンジン部品を受注し、減速機やギアボックスの設計までを担当していることからも、技術力の高さと信頼性の高さを感じました。
 さらに、日本にも世界にもないような製品を目指し、顧客の要望に応じた一品ものの製品を手掛けていることからも、ものづくりへの強いこだわりを感じました。
3.社員の育成と労働環境
 繁原製作所は、社員の育成に力を入れており、営業、品質管理、製造、開発といったさまざまな分野で高いレベルの技術者を育てています。社内外での研修や6か月間のジョブローテーションを通じて、社員が自分に合った部署に就き、幅広い知識とスキルを習得できる点が魅力的でした。
 労働環境に関しては、若手社員によると、アットホームな雰囲気とやりがいを感じられる働きやすい環境にあることから、非常に働きがいのある労働環境であることがわかりました。その他にも、福利厚生が充実しており、社員やその家族までサポートしている点や、社長の社員に対する思いに感心しました。
4.まとめ
 工場見学の際には、多くの資格を持った社員がいて、社員が自分の担当以外の工程についても学び、資格を取得したと聞き、社員一人ひとりが高い技術力を持つために努力を惜しまない姿に感心しました。
 このような環境であるからこそ、繁原製作所は高精度な製品を作り続けることができるのだと考えました。
 繁原製作所の常に新しいことに挑戦し、成長し続けている姿勢を見て、私もこのような企業で働きたいと考えました。

ご参考