浅井金型株式会社を訪問しました(経済学部三木ゼミ 3年生)

 2015年4月15日(水)、経済学部の三木ゼミ3年生は、羽曳野市にある浅井金型株式会社を訪問し、代表取締役社長の浅井理男(あさいまさお)さんにお話をうかがいました。
 浅井金型(株)は、平成24年度に大阪中小企業顕彰事業実行委員会(注1)が実施する「大阪ものづくり優良企業賞」を受賞、また2015年3月には、中小企業庁が革新的な製品開発、創造的なサービスの提供等を通じて、地域経済の活性化や海外での積極的な販路展開に取り組む中小企業の取組み事例として選定する「がんばる中小企業・小規模事業者300社」の1社に選ばれるなど、大阪を代表するものづくり企業です。
 三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。

(注1) 大阪中小企業顕彰事業実行委員会:
大阪府、大阪府商工会議所連合会、大阪府商工会連合会、公益財団法人大阪産業振興機構、地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所で構成

浅井金型株式会社 会社概要

 1987 年設立・創業。家電用商品の部品用金型の作成でスタートし、現在は 金型製作だけでなく、弱電・医療関係等広プラスチック製品の企画サポート、さらに少ロット成形加工まで行っており、完成品の供給も可能。特に1000個くらいの少量プラスチック部品制作においては、金型のモールドベースを共有することによりコストを削減できる「チェンジシステム金型」の技術を持っていることが強みの会社である。

社会に順応することの大切さを学びました 3年生 松本 光司

 今回私たちは浅井金型株式会社を訪問しました。訪問前の私の勝手なイメージとしては、金型事業というものは、町工場でかなり厳格な監督指導の元、職人がきびきびと機械の前に立ち手動で切削等の作業を行っている姿でした。しかし、実際に訪問してお話を伺ってみると、浅井社長は朗らかで発想がユニークな上、自分の考えをしっかりと持った方でした。
 浅井社長は、世の中がインターネット社会に移り変わると共に、昔の学び方と現代の学び方が大きく違うことに気づき、現代人が学びやすい環境を作るためのマニュアル作成を行っていました。時代と共に、様々な考え方や様式が変わるのは当たり前のことだ、と思うかもしれませんが、実際に順応することは、自分が培ってきた価値観や発想を転換することなので非常に難しいことだと思います。それをきちんと実行している浅井社長の社長としての器や行動力に尊敬の念を抱きました。
 金型の作業自体もコンピュータ技術の導入により、ほとんどが機械にデータを入力する形がとられていて、自動で作業を行う工程が多いと感じました。そのため、機械の一つ一つが大きめで中には2000〜2500万円もする機械もありました。しかし最後の仕上げとなる細かい作業は、職人の技術が必要なため、かなり緻密な作業が行われているとのことです。
 今回の訪問の際に心に残ったことが2点あります。1点目は入荷しているプラスチックの原料が米粒程の大きさで大量に袋詰めにされていたことです。私の勝手な思い込みで、プラスチックは板状の原料が運ばれてきて、それぞれの用途に合った形に姿を変えているのだと思っていたので、この事実は衝撃的でした。2点目は浅井社長が話されていた「余裕をもって8割の力で仕事をこなすことでゆとりが生まれ、気付けなかったことに気付くことができる」といった内容です。私の場合、まず余裕をもって8割の力で物事をこなす力がないので、その部分から自分を変えていけるように意識していきたいと感じました。
 私の将来の目標はグローバルな企業を起業することですが、実際のところ将来的にどのような業種で事業展開するのかなど、詳しいビジネスモデルは決まっていません。だからこそ、自分の武器となる部分を持つためにも大学生活の間にたくさんの経験と失敗を積んで、自分が起業する頃には、浅井社長のような確固たる考えを持った社長になろうと決心しました。

金型がいかに私たちの生活において役に立っているかを肌で感じました 3年生 李章徳

 今回、私たちは大阪府羽曳野市にある浅井金型株式会社におうかがいしました。事業内容は社名でもわかるとおり金型を製造・販売することです。金型とは同じ商品を安く大量生産するために使われるものです(例えればたい焼を焼く鉄板のようなもの)。従業員数は5人と少人数の企業ではありますが、元気あふれる浅井理男代表取締役社長を筆頭に従業員に笑顔がみられました。
 私は金型という言葉を聴いただけで当初はよくわからないものだと思っていました。しかし、今回の訪問でいかに金型が私たちの生活に欠かせないものになっているかを肌で感じることが出来ました。浅井社長のお話でも「金型がなくなることはない」とおっしゃっていました。しかし、そんな金型産業がここ数年の不況と時代の変化により経営が非常に厳しい状態に立たされ、ここ数年前の間に多くの金型企業が倒産してしまいました。浅井金型株式会社はその不況にも負けず本年まで事業を切り盛りしてきました。数々の困難を乗り越えられたのは浅井金型で勤務する従業員の卓越した技術と取引先からの信用があるからであることを知り、信用がいかに大事かを教わりました。
 このような技術と積み重ねてきた信用があるため、浅井金型は仕事を継続して受注することができましたが、今後のことを考えると技術を受け継いでくれる若者が社内にはいませんでした。そこで若者を呼び込もうとしましたが、なかなか集まらず、入社してもすぐにやめてしまうケースが多いため、どうして若者が集まらないのかを考えました。社長自身や従業員の考え方に問題があるとの自責の念で検討した結果、平成生まれの若者と昭和生まれのベテランとの間で技術を修得する方法や考え方に大きな違いがあったことや私たち若者との接点が全くないことに気づきました。これをきっかけに浅井金型では金型の知識がまったくない若者でも技術を覚えやすいように独自のマニュアルを作る、業界誌に浅井金型を掲載してもらう、大学と積極的に組んで若者を呼び集める、などの取り組みによって若者と接する機会が少しずつ増えてきたことをお聞きしました。浅井金型のように問題が自分たちにあることに気づきそれを実際に行動に移すことが出来る企業は少ないのではないかと思います。すばらしい技術を持っていたとしてもその技術を発信することが出来なければ生き残ることが難しい時代になった今、浅井金型株式会社のように自分たちを見つめなおして問題に取り組み解決に向け行動することは必要不可欠です。しかし、このような考え方が出来る企業は先ほど書いたとおり少ないと思います。
 私自身も今回の訪問を通じて金型がいかに自分たちの日常生活に役立っているか、また金型というものはいかに優れたものであるかを感じることが出来ましたし、浅井金型のように考え方を柔軟にして物事に取り組んでいけるようこれからも頑張っていきたいと思いました。

【ご参考】