共栄製茶株式会社を訪問しました(経済学部三木ゼミ 3年生)

 2015年5月13日(水)、経済学部の三木ゼミ3年生は、京都府宇治市にある共栄製茶株式会社を訪問し、常務取締役の萩原彰さん及び海外営業ご担当若手社員の皆さんよりお話をうかがいました。
 共栄製茶株式会社は1836年(天保7年)に宇治小倉にて「森半製茶所」として創業、以来よき日本茶の伝統を守りつつ常に時代に合った質の高い日本茶を提供してきました。茶師により厳選された良質の茶葉を、最新の技術や検査装置の導入により、高品質かつ安全・安心な日本茶として提供し続けています。また、国内市場はもちろんのこと、海外市場のニーズにも対応し、特に工業用抹茶(飲料やスイーツなどに利用される加工用の抹茶)の分野では大口顧客より高い信頼を得ています。
 三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。今回は2015年度第2回校外学習となります。

日本の物を海外へと発信することの面白さを知りました3年生 松本 光司

 私たちは今回、共栄製茶を訪問しました。訪問前に「世界に抹茶を輸出している会社」と聞いていたことと、お茶を専門的に扱っている企業を訪問するのは初めてだったので、かなり楽しみにしていました。
 お茶は、回転ずしやファミリーレストラン等でもほとんど無料で提供されており、また最近はペットボトル入りを手軽に購入して飲めることから、世間の意識として高いお金を払い急須を使って楽しむものではなくなってきています。共栄製茶はこのような時代の変化に対応し、百貨店で茶葉の売れ行きがだんだん悪くなってきたタイミングで海外との取引に目を向けられたとのことでした。まさに先見の明があったと思います。また私の中でお茶は、野菜や果物のように残留農薬や放射能濃度の検査を厳しく行っているという印象がなかったため、それらの機械や検査の過程のご説明を聞いて非常に驚かされました。
 お茶の葉の大きさの違いにより味の深みが増すことや色彩もきちんと計測していることなど、知らなかったことがたくさんありました。その中でも、海外営業ご担当の若手社員にお話いただいた、共栄製茶への入社理由が最も心に響きました。それは「日本の物を深く知らなかったため、それらに関わることで自分の強みである英語力を活かして海外に普及させたいという気持ちで入社した」とのことでした。私自身も海外に目は向けていますが、日本の発祥のものでとは考えていなかったので、人生設計を見直すきっかけになりました。
 就職したい企業や業種について、私はまだほとんど計画できていないのが現状ですが、少しでも海外に関係する仕事をしたいと考えています。その時に日本に深く関わる物に着目してみるのも非常に面白いなと思いました。企業訪問を含め、今後予定しているゼミの活動と夏休みに参加予定のベトナムインターンシップで更に具体化させて、自分の将来を確立させていきたいです。

徹底した品質管理が宇治茶のおいしさを支えていることに気づきました 3年生 李章徳

 私たちは京都府宇治市にある共栄製茶株式会社宇治東山工場を訪問し、常務取締役の萩原彰さんや海外営業担当の方々から宇治茶に関する詳しいお話をお聞きし、検査室なども見学させていただきました。
 私はこの訪問を通じて、いかに宇治茶というものが奥の深いものであるのかがよく理解できました。また、ここまで製品を徹底管理するのかと驚かされるほどの宇治茶に対するこだわりを強く感じて、感銘を受けました。特にそのこだわりを強く感じたのが品質保証管理部の検査室を見学した時です。ここではお客様に、より安全でおいしいお茶をお届けするための細菌検査やさまざまな設備・技術を利用した理化学検査を実施しており、茶葉は、形や色、香りなどを検査機器を通して、例えば茶葉の成分に含まれるカテキン(苦味)やテアニン(甘み)を詳しく分析た上で、商品を出荷しています。台湾などでは残留農薬検査で一定以下の数値でなければ茶葉を輸出することが出来ないため徹底した検査を行っています。マレーシアなどに茶葉を輸出する際はハラール認証(対象の始まりから終わりまで、製品で言えばその原料から完成品に至るまで、禁忌物質が一切含まれていないこと、また禁忌物質との混在の可能性も一切ないことを証明し、ムスリム消費者に製品のイスラーム法上の合法性を宣言するもの)を所持していることが信用の証になることを知りました。徹底した品質管理が世界でも宇治茶のおいしさを支えているのだと感じることが出来ました。
 しかし、今若者は急須を使ってお茶を飲む人たちが少なくペットボトルのお茶やティーパックでお茶を飲む人が増えています。つまり、いいお茶ほど飲まれなくなってきているといます。どのようすればもっと若い人たちが急須を使ってお茶を飲んでくれるのか? ということに萩原さんや従業員の方も試行錯誤をしています。私もこの問題に対して深く考えさせられました。また問題はほかにもあります。日本国内ではすでに人口が減少傾向にあるため新たな国(市場)を新規開拓していますが、外国に輸出する際前述の通り、台湾などでは残留農薬の検査が年々厳しくなり、コストが重くなっているということを知りました。ただ、香港ではそのような規制はなく今、宇治茶がブームということもあり人気がすごいということを海外営業部の方からお話を聞きし、香港では宇治茶の評価が高いことを知りました。これから困難なこともありますが、さらに新規開拓を進めて宇治茶を世界に広めるとおっしゃっていました。
 共栄製茶宇治東山工場を訪問し、ここまで製品を徹底管理している同業の会社はあまり見られないのではないかと思いました。徹底した製品管理やおいしさを追求するための検査を目の当たりにし、日本のブランド茶である「共栄製茶の宇治茶」はこれからも国内外で多くの人に親しまれると思いました。

ご参考