パナソニックサイクルテック株式会社を訪問しました(経済学部三木ゼミ 2年生)

 2015年5月13日(水)、経済学部の三木ゼミ2年生は、柏原市にあるパナソニックサイクルテック株式会社(以下「PCT」と略)を訪問しました。
 PCTは、総合電機メーカーであるパナソニックグループの中で一般自転車、電動アシスト自転車(以下「EB」と略)、輸出用電動ユニット、自転車用パーツ等を事業領域とする、売上高267億円(2014年3月期)、従業員数は506人(2014年4月1日現在)の会社です(データはPCT社ウェブサイトより)。
 昨年度はPCTご協力のもと、経済学部大学入門演習(1年生、三木担当)が「EBを若者に普及させるには?」というテーマで検討、経済学部の大学入門演習成果発表会で8クラス中見事優勝を果たし、またPCTでも成果発表会を行い高い評価をいただきました。今年度は昨年度からの継続課題として、三木ゼミ2年生を中心に「若者に受け入れられるEBを、大学生の目線で商品提案する」というテーマで検討推進し、学内でのアンケート調査や大学祭での試乗会等も予定しています。
 三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。今回は2015年度第2回校外学習となります。

当日の様子(文責:山田 恭歌)

 今回、私たち経済学部三木ゼミ2年生は、大阪府柏原市にあるパナソニックサイクルテック株式会社を訪問させていただきました。ご説明いただいた会社の概要や私たちがこれから需要の調査などをお手伝いさせていただく電動アシスト自転車(以下「EB」と略)について、そして実際に試乗してみたことを報告したいと思います。
 訪問してまず初めに、会議室で会社概要及びEB市場についてのご説明をいただきました。PCTのEBは、そのほとんどがメイドイン柏原です。他社は製品のほとんどを外国から輸入し、日本製のものはあまりありません。対して、パナソニックサイクルテックは逆でほとんどの製品が日本製だということです。日本製は安心だと考えている人も多くいるため、これは大きな特徴だと言えます。世界主要都市での自転車分担率(注1)は、大阪が2位、東京が6位です。そんな日本は自転車活用先進国といっても過言ではないため、街中でも意識して見ればEBはすぐに見つかります。しかし、EBが発売されている国は世界でも限定されておりごく一部の国でしか普及していないということでした。また、自転車は経済的で健康や環境によいため、市場の拡大戦略としてレンタサイクルやビジネス向けのEBも提供されています。
 概要説明を聞いた後、私たちは同じ敷地内にある工場を拝見させていただきました。工場ではフレームの組み立てから塗装、そしてほとんどの自転車の組み立てを全てここで作業しています。溶接作業などはロボットが行っていましたが、溶接の仕上げ確認などはしっかりと人の手で行われていました。塗装作業はスポーツバイクのPOS(パナソニックオーダーシステム)を除き機械塗装です。顧客は、53色の中から好きな色を選ぶことができます。POSの塗装はグラデーションや細かい模様など、機械ではうまくいかない部分が多々あるため、職人の手で一つ一つ塗装されているとのことでした。最後は組み立ての工程です。この日は新聞配達用の自転車や子供を前後に乗せることが可能なEBを組み立てていました。頭上を見れば目標台数や進捗などが誰からも一目でわかるようになっていました。
 最後に、今まで説明いただいてきたEBに試乗させていただけることになりました。急な坂道でも立って漕がなければならないようなことや、息切れをするようなことはありませんでしたし、実際にEBの乗り心地を体験した結果、「後ろから押してもらえる感じ」というのがよく理解できました。
 今やEBは様々な種類があり、折りたたみやスポーツバイクまであります。現在はリチウムイオン電池を採用し、長距離のアシストが可能になっています。値段を8万円ほどに抑えた「ene mobile」というEBも発売されていることから、これからEBはどんどん手に入りやすい、身近なものになっていくだろうと感じました。
以下に、今回の企業訪問における学生たちの「気づき」を紹介します。

人間の手でも作業していると知って驚きました 2年生 阪上優里菜

 今回、私たちはパナソニックサイクルテック株式会社を訪問しました。私の住んでいる地域は、急な坂が多く電動アシスト自転車(以下「EB」と略)のことが前から気になっていたのですごく楽しみな気持ちで訪問しました。
 初めに、EBについての説明をしていただきました。パナソニックサイクルテックではEBを、現在約40モデル展開しており、実用性の高いものから趣味性の高いものまで幅広い種類があります。また、中学生から70代くらいまで幅広い年齢層を対象に販売しています。
 次に、EBを製造している工場を見学させていただきました。大まかに工程を書くと
① フレーム組立
② 塗装工程
③ 最終製品組立
と、なります。EBは、機械で製造されている部分が多いですが、機械で製造出来ない工程もあり、また最終的には人間の目でチェックを行います。私は、今まで自転車の種類問わず全部機械で作られていて人の手なんていらないと思っていました。ですが、今回この話を聴くことによってこれまで考えていたことが覆されました。
 続いて、ショールームを見学させていただきました。一番驚いたのは、今と昔のバッテリーの違いです。初期の「電動自転車」のバッテリーは鉛蓄電池だったのですごく重かったのですが、現在のEBのバッテリーはリチウムイオン電池で、女性でも片手で持てるくらいまで軽くなりました。また、EBと違い、電動自転車はペダルを漕がなくても進んでしまうためバイク扱いになりナンバープレートが必要でした。そのため、電動自転車は普及しませんでした。
 最後にEBの試乗をさせていただきました。私は、初めて乗ったのですが最初の漕ぎだしから全く感覚が違って、少し漕いだら後ろから誰かがすごいスピードで押してくれているような感覚になりました。私の家は急坂の上にあるため、EBは以前から欲しい商品だったのですが、商品や市場について学んだ上で試乗させていただいた後は、いつもと違った新鮮な気持ちになり、欲しさが倍増しました。本学の学生は平坦な土地に済む人が多く、私のように坂道でのEBの良さを感覚的に知っている人は少ないので、そのメリットを活かして今後のゼミ課題に取り組んでいきたいと思います。

届かせたいEBの魅力 2年生 椎葉昌也

 5月13日、パナソニックサイクルテック株式会社に二時間ほど訪問見学をさせて頂きました。
 私は去年の大学入門演習から引き継いでいる「電動アシスト自転車(以下「EB」と略)をもっと普及させるには」というプロジェクトで1度訪問させて頂いていたので先月訪問したNECさん訪問時よりリラックスできていました。しかし引き継いだプロジェクトのリーダーとなったのでしっかりしなければならないとプレッシャーに弱い私は心が少し穏やかではありませんでした。
 去年の冬に大学入門演習で前回訪問させて頂いた際も案内していただいた会議室でパナソニックサイクルテックがどういう会社なのか、自転車産業の現状などを説明していただきました。EBは主婦層を中心に売れており自転車市場全体の5%程でした。もっとEBを世間に普及させるために法人向けにEBを利用してもらう活動などを行っていると聞いてなるほど、凄いなと思いました。シニア、若者、趣味、仕事など様々な方面に合ったEBの開発、新たな提案を出そうと努力なさっていることを改めて理解しました。EBの普及率を高めるには、少子高齢化で減ってきているとはいえ若い年齢層の需要を獲得することが重要で、そのために当の若者である私たちの目線での調査をしっかり行ってパナソニックサイクルテックの助けになりたいと思いました。
 ご説明が終わった後は工場見学させていただきました。工場内はそれぞれのパーツ・製造方法によって専門のスタッフが配置されていたりロボットを導入した製造、手作業による細かい製造、すべての作業場に目標生産台数などがわかるモニターが設置されていたりと驚くことがたくさんありました。工場を見回った後、外でEBの試乗もさせていただきました。EBが5台あった中で私はJETTERというクロスバイクスタイルのEBにとても関心を持ちました。とても魅力を感じたのがほんの二漕ぎで坂をゆうゆうと越えた際の軽い力で漕ぐことができたときの爽快感、その先まですぅーっと進んだ際のスピードです。これで16万円前後なら安いなぁ、買いたいなぁとすぐ思いました。この魅力を他の若者などに知ってもらえばすぐ普及するのではないかとも思いました。
 そして最後に会議室へと戻って最近発売されたというパナソニックのロボット掃除機「ルーロ」CM向け自転車(車輪の形状が「ルーローの三角形」)製作のメイキング映像を見せていただきました。あのCMの自転車はCGで作成されているのだと思っていましたが、まさか本当にあのような自転車を製作していたとは想像もつきませんでした。
 今回パナソニックサイクルテックに訪問してみてEBの良さをより実感しました、EBは確かに高齢の方や子ども連れの婦人向けといった印象がありますがいざ乗ってみたら印象が変わるのでぜひ学内の試乗会で多くの若者に乗ってもらいEBの良さを理解してもらいたいです。

需要を伸ばすためには何が必要か考える良い機会になりました 2年生 松井大輔

 今回、私たちはパナソニックサイクルテック株式会社を訪問し、自転車市場の現状や自転車工場見学、また電動アシスト自転車(以下「EB」と略)の魅力について学びました。
 最初に、日本の自転車市場の実態について様々な話を伺いました。実は大阪は自転車分担率(注1)がとても高いとのことでした。これは自転車を使用することにより経済的また時間の短縮へ繋がるといったメリットが沢山あるために起きた現象だと思います。そんな中、日本市場ではEBの普及が進んでおり、出荷数が年平均8%(2008〜2013年)の増加となっています。これは、総自転車出荷数が年平均2.5%の減少(同)と比べるとEBがいかに普及し需要を増やしているかが分かります。
 しかし、PCTの市場調査によれば、EBに乗ったことがない人が80%もいることも明らかとなっています。これにより、EBの利便性を知らない人、体験したことがない人が相当数いることが分かります。実際に私自身も今回の訪問以前はEBに乗ったことがなく、EBの利便性を知りませんでした。工場でEBが作られる過程を見学した後に実際にEBに体験試乗しましたが、EBの便利さ、使いやすさに驚きました。最初の漕ぎはじめが小さな力で前に進み、坂道においても、普通の自転車においては上るにつれて速度が落ち、疲労が溜りますが、EBでは双方の悩みが解消されました。坂や丘陵地域の多い日本ではとても実用的だと感じ、また、EBに乗ったことのない人が80%のいることから様々な人に宣伝したり体験してもらったりすることにより、より多くの人々に普及するのではないかと感じました。
 今回の訪問で私はEBに試乗し、EBの魅力を知ることができました。また、まだまだ普及率を高めることが出来る商品だということも知り、お客さんのニーズにあわせて、性能やデザインを考えることが大切なのだと分かりました。今後演習の中で、スポーツタイプや、スタイリッシュな形にするなど外見の魅力から、スマートフォン充電機能などの性能的な部分についても検討し、若者目線からの商品提案につなげていきたいと思います。また、大学祭で実施する予定の試乗会では、様々な人に興味を持っていただけるよう、若い年代の方にもEBの魅力をしっかり伝えたいです。

(注1) 自転車分担率:代表交通手段として、自転車を利用している人の割合

【ご参考】