経済学部三木ゼミ 2年生夏季海外研修レポート(香港・中国華南)

  • 香港島の高層ビル群をバックに記念撮影

 2015年9月13日(日)〜18日(金)、経済学部の三木ゼミ2年生は夏季海外研修(訪問地:香港・深セン・広州・東莞)を実施しました。
 三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。

今回視察研修の実施目的

・本学協定校である広東外語外貿大学の日本語授業見学及び交流会を実施、日本語を学ぶ真摯な姿勢に触れる
・中国/香港消費市場を見学、「世界の工場」から「市場」に変貌した中国の実態を体感する
・ものづくり企業の工場を見学、実力アップがめざましい「中国のものづくり力」を実感する

全体スケジュール

■2015年9月13日(日)
 <午前> 関空→香港移動 NH873便 1055発 1345着
 <午後> 市内見学、citysuper(高級スーパー)見学
■9月14日(月)
 <午前> 香港→深セン移動、華為技術有限公司見学
 <午後> 深セン→広州移動、天河城(ショッピングモール)見学、イオン(日系スーパー)見学
■9月15日(火)
 <午前> JETRO広州ブリーフィング
 <午後> 広州購書中心見学、ユニクロ広州ビクトリー広場店(ユニクロの中国華南最大店舗)見学、
     広東外語外貿大学日本語授業見学・参加
 < 夜 > 広東外語外貿大学日本語学科学生との交流会
■9月16日(水)
 <午前> 広州→東莞移動
 <午後> 東莞橋頭中星電器有限公司(ホシデン)見学
■9月17日(木)
 <午前> 深セン東日信博科技有限公司(地場監視カメラメーカー)見学
 <午後> 深セン→香港移動、香港消費市場見学
■9月18日(金)
 <午前> 飲茶体験
 <午後> 香港→関空移動 NH874便 1520発 2005着
  • 本学協定校である広東外語外貿大学正門

  • 広東外語外貿大学の学生寮。ほとんどの学生が寮生活を送っている

  • 日本語会話の授業に参加しました

  • 広東外語外貿大学と阪南大学の違いについて話し合い中

  • 話し合った内容をみんなで発表

  • 授業の後の交流会

経済学部2年生 椎葉昌也さん

 9月13日から18日に5泊6日の中国研修へ三木先生とゼミ生3人で行ってきました。
 関西空港から3〜4時間かけて香港の空港に到着したのですが、着いてすぐはまだ日本にいる感覚で、税関や手荷物検査でようやく自分は外国にやってきたのだと薄々実感してきました。大きい荷物をホテルに置いたら夜まで香港の市内視察へ向かいました。街並みは中国やイギリスに近いものが所々あり日本と違う文化だらけだったので周囲を何度も観察しました。はじめての香港の地下鉄は吊革が少ない代わりに柱が何本も並んでいて印象的でした。夜景の有名なビクトリア湾を昼間と夜にみたのですが昼と夜とで受ける印象が全く違いました。スターフェリーにも乗ってみたのですが揺れが思っていたより大きくて一度グラっと頭にきましたがとても楽しかったです。初日のこの市内視察を終えて、香港は狭いのに人が余るほど密集していて所得格差が大きく、様々な物品が集まって売られている国際的な貿易地域であることを改めて感じました。
 二日目は国境を越えて中国へと渡りシンセンへ移動しました。施設から外に出た途端に香港とは違う雰囲気を感じ全体的に黄色がかった印象を受けました。この日はパナソニックに立ち寄った後HUAWEI(華為)を訪問しました。車での移動時、窓からみえる景観ははじめ山や丘が多いなと思ったら徐々にビル群が増え、競うように上へと伸びている高層ビルが立ち並んでいたのであまりの変わりように驚きました。HUAWEIはビル群から離れた場所にあったのですが迷子になるのではないかと思うほど敷地が非常に広大で中国の大企業凄過ぎると感じました。見学させていただいた企業向けのショールームにはテラバイトではなくペタバイトを単位としたサーバーやシンクライアント端末、IPTVのソリューションなどが展示・案内されていました。自分がここにいることが場違いなんじゃないかと思える程とても偉い役職だとしか思えない方々も多くいらっしゃっていました。今回HUAWEIのことを初めて知ったのですが通信設備売上高世界一の凄い会社だとは思いもしませんでした。社員も20〜30代の方がほとんどのエリート集団なのですが一年に一割は人が入れ替わる人事制度だと聞いたときは自分が社員だったら絶対に生き残れないし、生き残った方々はどれほど会社に貢献してきた猛者達なのだろうかと戦慄しました。
 三日目の午前はJETRO広州事務所に、午後からは広東外語外貿大学に訪問しました。JETROでは企業支援部の河野部長から、中国人は勤勉だがメリットよりデメリットが上回るとスグにやめてしまう、北に行くほど面子を気にする人が多く南にいる人は実用性を重視する、中国は賃金が高いがサプライチェーンができておりモノ(部材)が揃いやすい等中国で仕事を進めていく上での情報をたくさんお聴きしました。企業が中国に展開することの利益や困難がどのようなものなのか知ることができて良かったです。広東外語外貿大学では日本語を学んでいる学生の方々と交流しました。案内していただいた大学はHUAWEI程ではありませんでしたが広大で寮や食堂、売店、郵便局など敷地内に様々な建物が詰め込んでありました。講義に参加させて貰ったのですが初めから終わりまでずっと日本語でレベルが高かったです。学生の方も皆、日本語が丁寧で学ぼうという姿勢がよくわかるのでむしろこっちが雑な日本語を喋ってしまい間違ったことを教えてしまうのではないかと内心ハラハラでした。僕が中国語を少しでも学び話せるようになっていればもっとこの人たちと話ができ、仲を深められたのではと今でも後悔しています。
 四日目は東莞へ移動し午後からホシデン橋頭を訪問しました。ここでは従業員が3000人いる中で日本人は20人しかおられないらしく財務や生産管理などの担当をされているそうです。中国にやってきた87年代当初は生活のために仕事を欲しがっていた意欲の高い人が多かったらしいのですが今では娯楽や生活維持をするくらいのために働く、できるだけ楽をしたいという人が増えたそうです。また、工場のある東莞についても教えてくださいました。軽工業を営む関西の会社が東莞に多く、平均所得は高めだが格差が激しく、ここ最近はゴーストタウン化が進み去年だけで4000件の工場が倒産したらしいです。
 五日目は監視カメラメーカーの深セン東日信博科技有限公司に訪問しました。社長の鄭森さんは元々別の監視カメラメーカーで働いていたのですが独立したという、まだ歳も30歳代後半なのに凄腕の方でした。工場の中を見せてもらったのですが監視カメラの製造現場を見るのは初めてで人の手による作業もあることに驚きました。人件費コスト削減のために機械導入されるそうでこれからもより会社は大きくなられると思います。最後の六日目はお昼に飲茶体験をしてから日本行きの便に乗って帰りました。
 今回の約一週間の中国研修、行く前は不安でしかたなかったのですが行ってみるととてもメディアでの印象と違って居心地が良かったです。外国にいってみて日本語以外の言葉をまともに喋ることができないことがとても不便だということを実感し、もっと国外に出て色んな文化や人のことを知りたいと思いました。日本との文化の違っている部分も多くありましたが似通った部分もあり日本でもこのようにしたらいいのにと感じる部分もありました。日本人は国内にこのまま居続けることをやめて積極的に外国へ飛び出していくべきだと強く感じました。

経済学部2年生 山田恭歌さん

 私たち三木ゼミは企業訪問や市場調査、及び本学の協定校である広東外語外貿大学との交流を研修目的に、この夏季休暇中に香港・中国を訪問しました。私自身物心ついてから海外へ行った経験がなく、入国審査などに対する不安や緊張、海外に対する期待でいっぱいでした。しかし、香港に着いたとき外国に来たという強い感動は特にありませんでした。日本人も香港人・中国人もアジア系で顔が似ていることが原因かもしれません。それでも、香港から中国に移動して「やっぱり日本じゃないな」と一番初めに感じたのが中国人の車の運転です。いきなり無理矢理割り込んでくる車は日常茶飯事でしたし、前の車がいきなり故障したことも(これは珍しいことらしいのですが)衝撃的でした。さらに向こうでは歩行者より車が優先で、青信号で横断歩道を渡っているのに右折で突っ込んでくる車が多くてひやひやしました。日本の教習所では歩行者優先を第一にしているのでかなりカルチャーショックを受けました。
 消費市場調査では、香港の高級スーパーやUNIQLOなどを見学しました。香港のスーパーでは日本のメロンが一つ7000円相当で売られていたり、日本製のシャンプーや化粧品、お菓子までもが倍以上の値段で売られていたりしました。香港のUNIQLOも広州のUNIQLOも訪れてみましたが、どの商品も日本で売られている倍くらいの高値で販売されていて、中国人が日本で爆買いして帰ることに納得がいきましたし、私自身日本に帰ってから化粧品などの安さにしみじみとしてしまいました。逆に、中国で安くて驚いたのが洋書でした。日本でとても高くて手を出しにくい洋書がかなりの安値で売られていたため、思わず一冊買って帰ってきてしまいました。
 市場調査以外では、JETROやHUAWEI(華為)、ホシデン、Keeperといった企業を訪問させて頂きました。その方々のお話によると、日本のニュースなどではバブルは崩壊して中国のビジネスはもうダメだ、東南アジアに移った方がいいなどと言われているが、必ずしもそうではないということでした。サプライチェーンやインフラなどはまだまだ中国のほうが優れている上、ASEANはストライキなどをよく起こすのですぐに給料があがってしまう。さらに、中国ではまだ景気が緩やかに伸びているので、今後はサービス業が次々と進出していくだろうとのことでした。実際、日本のサイゼリアや味千ラーメンなどは人気のようで、現地でよく見かけました。しかし製造業など、工場系はかなり厳しい状況にあるようです。ある日系企業の方によると、今年に入って近辺でも工場閉鎖が続いているそうです。やはり中国全体の経済が良くなったことで、進出当初は朝から晩まで働いてもらっても月給300元程度だった給料が今では一人4000元に上がり、人件費が高くなっているという影響が大きいようです。HUAWEIという中国系の通信機器メーカーの展示場も訪問させていただきました。ここが、私の最も印象に残っている企業です。2014年の国際特許出願件数が最も多い企業がこのHUAWEIという、2013年に通信設備売上高ではじめてスウェーデン通信機器大手のエリクソンを上回り世界第一位となった企業です。HUAWEIの従業員は1年で1割が入れ替わり、社員たちは結果を出さなければクビになる厳しい環境で仕事をしています。そのような雇用の仕方は日系企業の人事では考えられないことですが、だからこそ世界ナンバー1の座に輝いたのだと得心しました。実際、展示場では様々な国籍の方々が多数訪れて技術説明を真剣に聞いていましたし、離れた場所にいてもリアルタイムで会議ができるカメラのスピードや画質の良さに世界1の実力を垣間見た気がして私も驚嘆の念を禁じ得ませんでした。
 広東外語外貿大学で日本語を学んでいる学生との交流はとても新鮮で、勉強になりました。3回生の方々とお話させていただいたのですが、日本語は大学に入ってから勉強を始めたという学生が大半にもかかわらず、全員が一定の語学力を持ち合わせておりとても驚きました。大学生活の話を聞くと、ほとんど全員が大学敷地内にある寮に住んでおり朝から晩まで勉強尽くしの生活を送っているようです。大学の図書館も夜遅くまで開いているため勉強する環境はかなり整っていると聞いてとても羨ましくなったと同時に、私たち日本の学生はアルバイトに精を出して勉学をおろそかにしていることに恥ずかしさを覚えました。勉強に対する姿勢、文法を気にせず発言する勇気は本当に私に足りないものです。私の周りにも、ここまで努力している生徒は見ることがありません。私は彼女たちの何人かと連絡先を交換し、日本に帰ってきてからも連絡を取り合っています。言葉も食べ物も文化も違う人に文章で理解してもらうこと・向こうからの文章を完全に理解することは難易度が高く悩むこともあったのですが、今はどうすればよりわかりやすい文章を送れるか試行錯誤することも楽しんで、お互いの文化を教えあっています。そうすることで日本の文化もより深く理解することができ、少しずつ中国の文化も理解できているのではないかと思います。最近、異文化理解というのはこのようなことを言うのではないかと思うようになりました。
 今回の海外研修を通じて痛感したのが、自分の語学力の低さです。私は中学生の頃から大学に入ってからも英語を勉強していますが、ほとんど喋ることができません。広東外大の学生たちと話して、やはりやる気と勉強に割く時間が少なすぎると感じました。これはこれから努力していかなければならない私の課題です。そして、印象に強く残っているのが中国は「日本人が想像している中国」よりも国際化が進み、都会だということです。百聞は一見に如かずで、日本のニュースで報道されているのは中国のほんの一部の姿だということが身に染みてよくわかりましたし、現地に駐在している日本人の方に聞いた、報道を鵜呑みにせず自分で調べてデータの裏付けを取ることも重要だとおっしゃっていたことを忘れずに意識してニュースを見たいと思いました。今後、間違いなく中国が世界の経済の中心になっていくと思います。中小企業がどんどんアジア展開をしていますし、どんな会社に就職したとしてもアジアとのビジネスはほぼ確実に関わってきます。グローバル人材の需要はさらに高まっていくだろうと予想されます。優秀な中国の、世界の人々に負けないよう、頑張らなければならないと思いました。

経済学部2年生 松井大輔さん

  • 世界最大の通信設備メーカー華為技術有限公司の展示場を見学

  • 華為技術有限公司には世界各国から見学者が多数訪れていました

 今回私たちは香港・中国へ海外研修に行き、異文化体験や海外進出している企業などを訪問しました。
 今回の研修は海外ということもあり、生活様式、身の周りのモノ、言語などあらゆる日常的なことが日本と違い、国内で生活する上で体験できないことが体験でき、強い刺激を受けました。特に印象に残ったことが中国人の外国語への意識です。2日目のホテルの中で中国人従業員と会話する機会がありました。私は当然中国語を話せないので英語で会話をしました。すると相手の中国人はとても流暢な英語で話してきました。また、私は英語を言葉として発する時とても時間が掛かり、もっと英語を勉強しなければと強く感じました。また、広州にある本学協定校(広東外語外貿大学)の日本語を専攻している中国人学生と交流をした際、日本語をここまで理解しているのか、と感じ、グローバル社会となっている現在、競争する相手は日本人だけではないので、協定校の生徒に負けないぐらい外国語について取り組まなければならないと感じました。日本は良い国だと私自身感じますが、日本国内で日本人同士だけで生活することが可能な環境なだけに、外国語を必要と感じる機会が少なくそのため日本は先進国の中でも英語が話せない方なのだと感じ、それだけに今回の海外研修はとても良い経験となったと感じています。
 また、今回の企業訪問においてホシデンさん、JETRO(日本貿易振興機構)さんへの訪問もとても印象に残りました。ホシデンさんは大阪府八尾市に本社を置く電気接続部品を扱う企業であり、今回お話しをお聞きした日本人の方は初めての海外赴任で初めは中国語をほぼ話せなかったと聞き、また現在は経理(財務)を担当していることも聞き、挑戦することの大切さを改めて感じました。他にも中国の経済の状況などのお話を聞き、関西の企業や人が中国へ沢山進出している事や中国経済の減速による工場の倒産などのお話を聞きました。実際に日本企業の進出の話を聞き、またこれからのグローバル化、日本経済における国内市場の縮小を考えると、自分自身も海外で働くことを視野に入れるべきだと考えさせられました。例え国内の就職であったとしても、中国と取引する企業は多いと思うので中国に対する理解をより深めたいと思いました。また、中国経済の減速における工場の倒産については、経済の成長は減速しているが、緩やかでありながらも経済成長しているということだと感じ、経済成長が減速しているからといって、一概にマイナスに意味をとってはいけないと思いました。日本が経済活動をする上で中国という存在は最大の貿易相手国であり、これからも中国の影響は強いと考えられるので、今回の企業訪問で中国への学びをより一層強めてくれたものとなりました。次にJETROさんでは、中国で企業活動を行うにあたってのメリットの話をお聞きしました。日本でもMADE IN CHINAをよく目にしますが、やはり中国には工場が沢山あり製造における部品の製造も進んでいます。そのため製造業が中国にあることにより部品調達といったサプライチェーンが中国ではスムーズに行え、また、現在の中国はインフラも大変充実しているためコストも抑えることが出来ます。実際に私も香港・中国で地下鉄を利用しましたが、路線の多さに驚きました。JETROさんへの訪問で日本では出来ないことが中国では出来るのだと実感し、私自身中国への関心がより強くなりました。
 今回の海外研修で中国という国のスケールの大きさを肌で感じ、これまでに無い強い刺激を受けました。これまで、ほぼ日本人としか関わりを持たず生活してきた私にとって、これから社会に出ようとするこの時期に海外への視野をことは良い機会となりました。今なお成長を続ける中国経済と進むインフラ整備を考えると私は中国の成長、日本へ及ぼす影響力の強さは数年単位で弱まるものでないと感じました。私たちが就職して仕事をしている時何らかの形で関わると思い、これからの中国の動きに注目していきたいと思います。
  • 深セン東日信博科技有限公司の旧ライン

  • 深セン東日信博科技有限公司の自動化ラインを見学

  • ビクトリアピークから百万ドルの夜景をバックに記念写真

【ご参考】

華為技術有限公司 ウェブサイト:(中国語)(日本語)
広東外語外貿大学 ウェブサイト:(中国語)(日本語)
ホシデン株式会社 ウェブサイト:
深セン東日信博科技有限公司 ウェブサイト:(中国語、英語)