株式会社関西インフライトケイタリングを訪問見学しました

 2015年10月21日(水)、経済学部の三木ゼミ2年生は、関西空港・空港島内にある「株式会社関西インフライトケイタリング」(以下「KIC」と略)を訪問見学しました。
 三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。

KICとは

 KICは、ファミリーレストランの「ロイヤルホスト」等で馴染みの深いロイヤルホールディングス株式会社の100%子会社で、関西空港を拠点にピーク時1日約1.4万食の機内食を提供する、関西空港における機内食シェア約50%強の会社です。現在全日空、日本航空、シンガポール航空、キャセイパシフィック航空などから機内食を受託しています。
 ロイヤルホールディングスの機内食との関わりは戦後1951年の国内民間機運航再開時にさかのぼり、福岡空港で国内線に機内食納入を開始しています。これがロイヤルグループの創業の事業であり、ロイヤル株式会社設立が1956年、ロイヤルホスト1号店オープンが1971年であることからも、ロイヤル創業者の江頭匡一さんの機内食事業に対する思い入れの深さを推し量ることができます。関空においては開港の1994年にKICの前身であるロイヤルインターナショナルエアーケイタリングが機内食事業を開始しました。
 ロイヤルホールディングスは現在関空(KIC)、福岡空港・那覇空港(福岡インフライトケイタリング)、成田空港(ジャルロイヤルケータリング(持分法適用会社、持ち株比率49%))、羽田空港(同)、計5拠点の機内食会社を運営しています。また、関空を拠点にする機内食会社は、関空開港当時は4社あったのが、関空特有の固定費の高さと過当競争により、現在はKICと、グルメ杵屋系列の「エイエイエスケータリング(AASC)」の2社となっています。
 KICの経営理念の中に「私どもは世界で一番信頼される機内食会社を目指します」という一文があり、それを裏付けるように様々な認証や表彰を獲得しています。2009年には、大阪府が推進する「食の安全安心」に対し、社団法人大阪食品衛生協会が認証する「大阪版食の安全安心認証制度」認証第1号施設として認められました。また2011年には、機内食業界では日本国内初となる 食品安全に特化した国際標準化機構規格ISO22000:2005を取得しました。また表彰では、各航空会社の最優秀ケイタラー賞はもちろんのこと、国際的な機内食会社監査プログラムQSAI(Quality & Safety Alliance Inflight Services)において、食品取り扱いの安全および品質について世界で優秀な機内食会社に贈られる「アジア太平洋地域・金賞」を、2012年度、13年度、14年度の3年連続で受賞しました。これは、KICの従業員一人一人が、日々、衛生管理・品質向上に努め、顧客航空会社の搭乗客・乗務員に対して安全で高品質な機内食の提供を継続していることが評価されたものです。

ご参考

学生レポート

2年生 椎葉昌也さん

 10月21日、関西国際空港内にある「株式会社関西インフライトケイタリング(KIC)」に訪問見学いたしました。これまで何度も訪れている関西空港ですが普通は入れない奥の区域まで入ったのは今回が初めてでしたので、空港の裏側といった施設と光景が目新しかったです。
 KICはロイヤルホールディングス株式会社の子会社で、関西空港を中心に機内食を提供しています。外から見た建物には機内食を運搬するトラックの荷室が2階の壁の高さにまで持ち上げられていました。建物内に入ると思っていたよりも厳重な警備をされており、様々な国の人が空を飛んでいる飛行機で食べる食品を扱っているからなのだと後でお話を聞いてわかりました。まず会議室へ移動してKICの歴史、概要と機内食についてのご説明をしていただきました。空港開設時は機内食をつくっていたのは4社あったが今現在は合併や撤退などにより2社が残ったこと、KICの工場は24時間操業で1日1万食以上もの機内食を生産していること、飛行機を利用される多くの乗客が満足できるように様々な種類の料理をつくりメニューの品評会を行い1ヵ月や3ヶ月毎に変えるなど工夫をされていること、中でも特に驚いたのはイスラム教の方の為に「HALAL」専用キッチンで厳重に調理されていることです。原材料や調理方法にとても気を使われている徹底した管理がなされており、乗客のことを第一に考えていることがよくわかりました。
 この後実際に調理・管理などされている現場を1時間程見学させてもらいました。入室前に規定服に着替えたら手洗い、髪の毛や埃払いなどキチンとした衛生管理をされていました。いろいろなところから購入した食品の品質管理、調理工程や食品別に分けられたキッチン、ちゃんと調理されているのか監視されていたり、食器などの包装の仕方をクラス毎に変えていたり、乗客が食べられた後の食器を回収し管理されていたり、機内で売る免税品も扱っていたりと想像していたよりも多くのことをされていて普通の食品を扱っている企業とは違うのだということを感じました。特に実際の乗客の数に合わせて機内食の数を臨機応変に調整、フライトの時間を把握・対応しているところは機内食を扱っている企業だからこその仕事だと感じました。
 私が機内食を食べたのは今年のゼミの海外研修が初めてで、その行きと帰りだけなのですがいつも食べているものと変わらない食感でおいしく食べることができました。あの機内食にこれだけの労力が費やされているのだと知っていたならばCAさんに機内食美味しかったですと少しでも伝えておけば良かったな、と後悔しました。
 KICは空港での職場だということもあってか社員の教育がしっかりしていて国外に目が向けられているとても良い会社だと思います。こういう企業がもっと国内に増えればもっとグローバルな国へと変わるのではないかなと感じました。

2年生 阪上 優里菜 さん

 今回の校外学習では、関西空港島内にある関西インフライトケイタリング様(KIC)を訪問しました。私は、将来空港関係の職に就きたいと考えているので、飛行機に乗った時に私たちが口にしている機内食はどんな風に作られているのか、楽しみな気持ちで訪問しました。
 関西空港にはもともと4つの機内食会社がありました。しかし、今は統合をして2社になっています。従業員は全体で約600人。正社員が約170人で約20人は外国人(13カ国)を採用しています。それは、海外の航空会社に提供する機内食をその国の味にするためです。さらに、1か月や3カ月でメニューが変わったり、お店とのコラボをして提供したりとよく飛行機を利用する方に飽きさせないような工夫がなされています。現在工場では、24時間で約1万食もの機内食を作っています。また、その作った機内食をハイリフトフードトラックで飛行機に運びます。そして、運ばれた機内食をKICの係りの方が決められた順番通りに入れていきます。この作業も機械と人の手でするので、時間と労力が使われる大変な作業だと感じました。
 説明の中で印象に残っている場面はセキュリティです。施設内にも去年までは約30台しかなかった防犯カメラが約70台まで増えたとのことです。訪問終了後制限区域を出る時のセキュリティゲートも厳重でも警備員さんが私たちの名札番号を確認しないと通してもらえませんでした。勤めている方もセキュリティは年々厳しくなっているとおっしゃっていました。
 次に、機内食工場の中を特別に見学させていただきました。私が行く前に想像していたのは、ほとんど機械で作業していて1つのフロアで全て管理していると思っていました。しかし、見学してみるとほぼ全てが手作業。機械で行われているのはフォーク・ナイフ類に封をするところと、一部の洗浄工程だけです。また、私たちが食べる機内食とは別にイスラム教徒用の機内食を作る場所もありました。区別が見た目ですぐに分かるよう、緑の箱に野菜等が入れられており扱う人も緑の服を着ています。見学の中でもっとも印象に残っているのが、一つ一つのグラスを手作業で拭いていたことです。ただ単に拭くだけじゃなく、ガラスを光に当てながら他に汚れている個所はないか確認しながら拭いていました。私にとってはすごく衝撃的でこんなにも丁寧に作業しているのだと驚きました。
 今回KICに行って将来の就職先に対する見方が変わりました。今まで空港の場しか頭になかったけれど、直接ではなくてもお客さんとの関わりを持てて喜んでいただけるだけで嬉しいだろうなと感じました。また、手作業なので機械でするよりもやりがいがある仕事だと思います。今後、飛行機に乗って機内食を食べる時は製造過程を思い出して心から感謝しながら食べたいと思います。