公務員になるために必要なことは何か

 阪南大学経済学部のHPをご覧の皆さん、こんにちは。私は経済学部公共サービスパッケージ所属の玉腰 尚寛(3回生)と申します。今回は、中原ゼミの紹介を通じて、公務員になるためには何が必要なのかを説明させていただきます。
 私の所属する中原ゼミでは、一冊の本を読み通すことで読解力と教養を身に着けることを目標に活動しています。また、このゼミでは公務員志望者が多く、ゼミにおける活動では、公務員試験だけでなく、公務員に必要とされる公共財政に関することを学習しています。しかし、それだけで公務員試験に合格することは難しいことから、授業外の学習が必要とされます。ただ、一口に公務員といっても、その職種は様々で、国家の運営に深く関わるものや、住民と密接に関係するものなど、多岐に渡ります。中原ゼミでは、公安職員(警察官、消防士)、各自治体の事務職員を目指す学生が多く所属しています。そこでまずはそれぞれの職業がどのようなものであるかを説明いたします。
 まず、「警察官」についてですが、警察法第1条では、「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当たること」とされています。つまり市民と社会という二つの安心・安全をまもることが警察の役割となっています。また、その役割を果たすために一定の権限が与えられていますが、それらは国民の活動を広く制限するものも含まれるため、活動するのに様々な法律で制限されています。そうしたことから、採用試験では体力試験・身体検査が課され、人物像や人柄を重視し、採用後すぐに、警察学校で警察官に必要な知識、犯人逮捕のための訓練などを受けることになっています。

 ついで、「消防士」ですが、消防組織法第1条では、「消防は、その施設及び人員を活用して、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、水火災又は地震等の災害を防除し、及びこれらの災害による被害を軽減するほか、災害等による傷病者の搬送を適切に行うことを任務とする」とされています。消防の役割には消火活動のほかに、火災・災害の予防や対策、火災・災害時の救助活動や被害の軽減、救急活動などが挙げられます。こちらも警察官と同様に、体力試験・身体検査が課され、採用後すぐに、消防学校で消防官に必要な知識、消火業務や救助業務などのための訓練を受けることになっています。しかし、警察とは役割が異なることから、採用時に警察官とは別の観点で評価されます。採用試験が表面的に同じでも配点や目的が大きく異なっています。

 第三に、「自治体事務職員」ですが、この職域は、各自治体において、典型的な事務処理を行うことだけでなく、前年度の見直しをしつつ、前年度までに決定した計画の実行、さらに来年度に向けた企画・立案を同時並行に進めていくという公務を担っています。そして、これらの公務の遂行において住民から徴収した税金や手数料などが財源となるため、最小の費用で最大の効果を挙げる計画を企画・立案、実行しなければなりません。それゆえ、事務職員には多くの知識はもちろん、企画力、表現力なども必要とされます。しかし、採用試験でどの能力を重視するかは各自治体によって異なるため、専門試験(法律や経済学など)を課す自治体もあれば、エントリーシートと面接試験のみの自治体もあります。
 これらの採用試験での一般的な特徴は筆記試験と人物試験が課されることです。
 筆記試験でまず出題されるのは教養試験です。具体的には社会科学(社会、経済、政治)、人文科学(日本史、世界史、地理、思想、文学・芸術)、自然科学(数学、物理、化学、生物、地学)の一般知識分野と、文章理解(現代文、英文、古文)、論理的な思考力が試される数的処理、図表・グラフからデータを読み取る資料解釈の一般知能分野から出題されます。出題方法は多肢選択式で、社会科学を除いてすべて高校までに学習した範囲から出題されます。この教養試験のみを一次試験とするところもあれば、これに加えて論作文試験が課されることもあります。論作文試験では課題に対する思考力、表現力、文章構成などが見られます。しかし、その職種に関する事柄以外からの出題もあり、日頃から時事問題に目を向けておくことも重要です。
 人物試験では、個別面接や集団面接、集団討論などが実施されており、試験官が筆記試験で測れない人物像や人柄を総合的に評価します。
 阪南大学学内では、こうした公務員試験にむけて対策講座や学習面で気軽に相談できる学習支援室が設けられています。中原ゼミの公務員志望者の多くが対策講座を受講しており、これらを活用して筆記試験に備え、長期休暇に模試を受けて学習状況を確認しています。
 しかし、このような筆記試験の対策だけでなく、受験する自治体およびその職種に関することを調べる必要があります。それは、採用に関することはもちろん、地域が抱える問題とそれに対する取り組み、自治体が目指している将来像などは論作文試験のテーマや人物試験において必ず課されることであり、採用試験に直接関係していなくても知っておくべき重要なこともあります。例えば、自治体の財源は自主的に賄えているのか、国の補助に頼っているのかで政策の幅が大きく異なります。つまり、受験する自治体およびその職種に関して調べたことは採用試験の対策になるだけでなく、採用後にも有効であるということです。これから公務員を目指す方は漠然と取り組むだけでなく、こうしたことも必要だと理解していただければ幸いです。本学経済学部で公務員を目指したい人は是非公共サービスパッケージに入ってください。