阪南大学経済学部のHPをご覧の皆様、こんにちは。私は公共サービスパッケージの中原ゼミに所属する3年生の森田晃代と申します。
 私たちの大学は大阪府南部にある松原市に位置しています。そして最寄り駅の近鉄「河内天美」駅の近くには昔ながらの商店街が複数存在しています。しかしながら、どの町の商店街もそうであるように、これらの商店街も大規模店舗に押されて、だんだんと寂しくなってきています。
 こうした商店街の現状を何とか改善できればと思い、中原ゼミでは、過去にいくつかの試みを行ってきました(過去の取り組みについてはバックナンバー2017年7月を参照ください)。
 今回私たちは、松原市主催の「未来の商店街をつくるワークショップ」というものに参加しました。これは、松原市(およびその近郊に)住まいする人々それぞれが考える「理想の暮らし」と何かという観点から、まちの商店街の役割や機能、必要とされる商店街はどういうものであるかを互いに議論しながら考え、それらを実現するということを目的としたものです。  
 本ゼミに所属し、公務員を目指して活動している3年生のうち6名(および4年生8名)がこのワークショップの第一回目に参加しましたので、私が代表して以下にその詳細を報告いたします。
 すでに述べたように、この取り組みが目指しているのは、松原市におけるもろもろの商店街を様々な手段を用いて活性化することで、この地域が抱える課題を、本学の学生と松原市の商店街店主の方々や市民の方々が一緒になって考え、「来て・見て・楽しい商店街」を作ることによって、解決してゆこうという試みです。
 具体的には、ワークショップの参加者たちが、「あったらいいな」、「やってみたいな」と考えたことを企画し、そののち実際に実施することになります。その目標に向けて、私たちはまずはアイデアの立て方や広報の仕方、デザイン・スキルを、講師の方から学びつつ、この企画の参加者の方々や商店街の皆さんと、和やかな雰囲気の中で、真剣に討議して最終的な実践に結び付けてゆくことになります。
 さて、このワークショップのプログラムは、以下のようなものです。まずコーディネーターの方からの誘導に従いつつ、合計3回のワークショップを開催します。また時間の許す限り、私たち学生と市民の方々、また商店街の皆さん方とが、入り混じった複数のチームに分かれて、ミーティングを繰り返し、実践する企画の準備を行います。次に、これらのワークショップからもたらされた企画を実践する段階に入ります。これは12月から2月に実施する予定です。より詳細には以下のような手順を踏むこととなります。

第1回:理想の暮らしから「あったらいいな」を考える

 5年後の私たちが誰と、どんな風に過ごし、どんな働き方をしたいのかをイメージする。そして、いくつかのアイデアの発想法を学びながら、商店街に「こんなことがあったらいいな」をアイデアとして考え、似た感覚を持った人とチーム作りをする。今回はこのパートの実施でした。

第2回:アイデアから企画を考える

 事前に調べた松原市のすべての商店街とそこでのお客さんのアンケートを元に、人、モノ、情報など商店街の資源を整理し、たくさんのアイデアの中から実現の可能性を考えながら必要なものをピックアップする。

第3回:実施に向けての準備をする

 アイデアを実施するに当たって、それを理論的かつ情緒的に捉え、商店街にかかわる利害関係者にとって最善の方法とは何かを検討する。ついで、実施したいことをグループメンバー間で共有・確認した上で、実施に必要な、人やモノを想定して、企画実施に向けた具体的な作業手順を考える。

企画の実施

 上記3回のワークショップの成果として、12月から2月にチームで出てきた企画を元に、商店街の協力を得て実際に実施する。そして、そこで得られる体験、反省点を記録し、最終的に参加者全員で振り返る。
 まず、第1回のワークショップが、2018年11月21日(水)午後7時から本キャンパス50周年記念館2階のスチューデントコモンズで、本学の学生を含む40名の参加者が集まり開催されました。ガイダンスと参加者の自己紹介の後、コーディネーターの方から全国の商店街が抱える課題を教えていただきました。その後、個人毎に5年後の理想の暮らしの想像をし、それを元に商店街に「こんなことがあったらいいな」と思うアイデアを即席のチーム毎に意見を発表し合いました。その結果、会場全体の意見は次の6つにまとめられました。
  1. 商店街の価値を発信する
  2. 働く人のサポートをする
  3. 家族ですごす時間を大切にできる環境をつくる
  4. 子育てのサポートをする
  5. 健康なからだづくりのサポートをする
  6. その他
 この中で、自分の考えに最も近いものを選択し、次回には同じ考えの方が集まるチームが出来上がります。徐々にですが、アイデアから企画へ、そしてまたその実施に向けて、という段階を経て進んでいく予定です。様々な職業の方や幅広い年齢の方と一緒に取り組むので、新たな価値観を知ることができる絶好の機会となりそうです。
 最後に、今回のワークショップで得られた、学生たちの感想を紹介します。

経済学部3年生 坂本昂輝

 私は普段から社会人の方々や他学部の学生の方と話す機会があまり無いので、このワークショップの経験がとても充実したものだと感じました。第一回のワークショップでは、全国の商店街で起こっている様々な問題を詳しく知ることが出来ました。今後はワークショップ参加者の皆様と一緒にコミュニケーションを取ることで、松原市の商店街を活性化させる案を見つけることが出来るように積極的に参加して行きたいと思います。

経済学部3年生 吉田誠

 今回は第一回ということもありガイダンスが中心だったという印象です。
 序盤は、これから議論を進めていく上で必要な商店街について改めて説明していただきました。ジェームズ・ウェブ・ヤングの名言「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」を使ったアイデアの説明は私的には印象に深く残っています。
 後半で印象的なのは商店街を子供や家族の為に使おうというアイデアが出てきたことです。私たち学生には考えにくい発想で多様な人が集まって議論することの重要性を学びました。
 第二回から本格的な議論になっていく予定なので、私も多様な人の中で学生らしい意見を出せるよう心掛けて行きます。

経済学部3年生 森田晃代

 このワークショップでコーディネーターの方の話から、新たに学んだことが2つあります。第一に、地域の課題を解決するには住民の積極的な参加が必要であるということ、第二に、アイデアの引き出しは自分の知識と経験の数でつくられるということです。
 より詳細には、以下のようなことを学びました。今回のワークで私は、社会学者のシェリー・アーンスタインの「住民参加の梯子」の考え方を知りました。それによれば、住民が目標とする暮らしを実現するためには、住民がまち作りに参加出来るようにしなければならないのです。私は阪南大学の入学を機に松原市へ来ました。まちを歩く中で、友人たちとこんなものや、場所がへあったらいいなと話すことがあります。学生と商店街の利害関係者の方々の両方の立場から見て暮らしやすいまちの実現のために少しでも貢献できれば思っています。
 次いで、先の学生も指摘していた実業家のジェームス・ウェブ・ヤング氏の言葉からも多くを学びましたヤングの言う「既存の要素」とは知識や経験です。つまり、自分の持つ知識や経験の量とそれらの組み合わせでアイデアはいくつも生み出すことができるのです。こうしたことから、私はこのワークショップを一つの契機として、自らの頭で企画を考え、実施する経験を積みながら、自分が成長する糧にしてゆくつもりです。また、様々な職業の方々や人生における先輩の方々が多く参加されていますので、多くの多様な考えに触れる経験もしていきたいです。

経済学部3年生 匿名希望

 このワークショップに参加して「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」という言葉が印象に残りました。
 このワークショップは、様々な世代や職業の方々が参加しており、様々な角度から意見を出し合うとにより、新しいアイデアを生み出すいい機会になります。またこれにより、自分を成長させるいい機会になるので、積極的に意見を出していきたいと考えました。

経済学部3年生 匿名希望

 1回目のワークショップでは、2、3回目の活動に向けての準備をするというものでした。
 具体的な活動は、それぞれ集まったグループの中で、自己紹介、さらに5年後の自分を想像して発表するというもので、どちらも、自分と向き合わないと考え出せないことだと気づき、改めて自分の視野がいかに狭いかを気付かされた気がします。
 2回目のワークショップでは、ここからチーム分けをして、話し合うというステップに入っていくので、いまから楽しみにしています。

経済学部3年生 匿名希望

 今回初めてのグループワークでかなり緊張しましたが、普段そういう機会が少ないのでとても貴重な勉強になりました。今回は、4回生の方達とのグループで5年後の未来と言う課題をしたのですが、4回生の方は自分の意見を伝えるのがとても上手く1年しか変わらない筈なのに自分と全然違うことを発想し、発言する4回生方々を見て、本当に驚きました。今回の4回生の方を見習って、私ももっと自分の意見を言えるように頑張りたいです。

今回のワークショップのレポートは下記記事にも掲載されています