<半端ないプロローグ>

韓国への留学経験もあり、韓国経済に詳しい中西教授。また前職は外資系金融機関でファンドマネージャー・アナリストをしていた経験から学生たちに実学教育を通して、お金にまつわる知識を教えている。経済を学ぶ上で大事なポイントを語ってもらった。

韓国経済と日本経済の大きな違いとは。

聞き手:先生は学生時代から金融に興味を持たれていたのですか?

中西:全くです。どちらかというと金融は後付けですね。

聞き手:後付け?

中西:大学時代、韓国への留学が先に決まっていて…。留学しながら在籍できるゼミを探していたら、たまたま見つけたのが証券論の先生だったのです。

聞き手:たまたま(笑)

中西:それがね、今では仕事ですから不思議ですよね(笑)

聞き手:留学をきっかけに韓国の経済を研究されるようになったと?

中西:そういうことです。

聞き手そんな韓国に身近な先生から見て、韓国企業と日本企業の違いはどこですか?

中西一番の違いはスピード感ですね。

聞き手:スピード感?

中西:今や世界No.1のサムスン電子がなぜトップを取れたのか、それはスピード感以外の何物でもないと私は考えています。韓国では財閥が生き残り、トップダウン型の経営方針が続くからこそ、意志決定してから製品を生み出すまでのスピードが凄まじく早いです。

聞き手:そんなに早いのですか?

中西:日本とは桁違いですよ。商品開発をすることが決まるでしょ、じゃあ明日製品を持ってこい、開発しながら売り出していくぞ!となるわけです。

聞き手:日本じゃ考えられない早さですね。

中西:その行動の早さが世界の席巻にもつながっています。例えばインドや中国、ベトナムなどへ韓国の自動車メーカーはどの国よりも早く進出することでシェアを独占しています。

聞き手:知りませんでした。ゼミではそういった経済の学びを教えられているのですか?

中西:私のゼミでは経済のみならず、お金にまつわることを幅広く教えていますね。

聞き手:お金にまつわること気になります!教えてください!

中西:仕方ありませんね(笑)


中西ゼミでは、模擬経営ができる?

聞き手:ゼミではお金にまつわることを教えられているとお聞きしましたが、具体的にどういったことですか?

中西:経済を学ぶ上で「お金」はとても重要なキーワードです。例えば、ある1つのケーキ屋さんがあるとして、ケーキ1個の原価はいくらで、毎日どれくらいのお客さんが訪れて、毎月の売り上げはいくらなのか、経済の裏には必ずお金が関わっています。そのことを学生たちには知って欲しいと思っています。だからこそ、私のゼミでは地元の商店街などとコラボし、実際にお店を出店させています。

聞き手:どんなお店ですか?

中西:最近だと韓国で話題のスイーツ、クロッフル屋さんを出店しました。クロワッサンの生地をベルギーワッフルのように焼くスイーツのことです。

聞き手:おいしそう!

中西:いつもそうなのですが、お金の管理は全て学生に任せています。

聞き手:全てですか!!!?

中西:はい、生地などの材料費がいくらで儲けを出すためには何円で販売して、何人のお客さんが購入してくれたら黒字になるのか、本当に全てを考えさせます。

聞き手:模擬経営のようですね。

中西:まさしくその通りです。お店を経営するくらいの気持ちで挑んでもらわないと、ただの遊びになり、経済やお金の学びにつながらないですからね。

聞き手:たしかに。

中西:ただ、最終売上を計算し、5,000円でも違った場合は「誰の責任?」「5,000円の儲けを出すには、何個売る必要があると思っているの?」などと学生たちを叱りますね。利益をきちんと出してこそ経営ですから。学生たちには経営者の視点も身につけてもらえたらと思い、厳しく指導しています。
 

リアルに学ぶ、人を集客する秘訣。

聞き手:クロッフル以外にも古着回収・販売もゼミでされているとか?

中西:ある学生がおしゃれな古着屋さんを立ち上げたいと。それならゼミでサポートしようじゃないかと動き出しました。あと、本来捨てられるはずだった衣服を回収し、販売することで、学生たちが環境に対する意識を持つきっかけにもなるのではないかと考えました。

聞き手:学生がきっかけだったのですね。

中西:そうです。その後、北助松商店街さんが古着を回収する「フクチェン」というものをされていたのですが「一緒にやりませんか?」と声がかかり、約2トンの古着を引き受けることになったのです(笑)

聞き手え、2トン???半端ない。

中西:半端ないでしょ(笑)。古着2トンもどこに保管するの?の課題から諸々…けれどそこは、韓国企業並みのスピード感と交渉力でどうにかしました!

聞き手:韓国企業並みのスピード感…さすがです(笑)

中西:古着もクロッフル同様にどうすれば人が集まるのか、売れるのかを考えることが大事です。学生たちは集客するためのチラシ作りから、販売会実施を知らせる看板作成など試行錯誤しながら取り組んでくれています。実学教育を通して、実際にやってみて失敗する、古着を売るにはどうしたらいいのかと必死に考えるからこそ身につく学びがあると学生たちを見て感じています。