那覇市の高齢者の現状
3年 吉田憲之

 沖縄県全体の人口は1,416,587人で、これは日本全国でみると30番目の多さです。その中で1番人口が多いのは那覇市の321,691人で、あとは沖縄市の130,664人、うるま市の116,086人、浦添市の107,272人と続きます。この数値を見ると那覇市の人口は上位2〜4位の沖縄市、うるま市、浦添市の人口を合わせた数とほぼ一緒であることがわかります。高齢者数は那覇市では60,330人、沖縄市では21,563人、うるま市では15,574人、浦添市では12,452人です。これも那覇市の高齢者数は沖縄市、うるま市、浦添市の3つの市を合わせた数とほぼ同じです。この2つのデータを見ると、いかに那覇市の人口が多いかということが明らかにわかります。
 また、沖縄県の高齢化率は全国で群を抜いて低い17.3%です。46位は東京都と愛知県の20.6%です。ちなみに1位は秋田県の29.7%、次いで島根県の29.1%です。沖縄県は高齢者が多いというイメージがあるかもしれないが、意外と全国的には高齢者は少ないほうであることがわかります。
 つぎに那覇市の高齢者の現状について、改めて述べると、那覇市の人口が321,691人、高齢者数が60,330人で、高齢化率は18.9%です。高齢者世帯数(全140,252世帯中)1人暮らし世帯が15,528世帯で、高齢者のみの世帯が8,462世帯あります。そのうち認知症高齢者日常生活自立度?(何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している状態)が2,995人、認知症高齢者日常生活自立度?(日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても、だれかが注意していれば自立できる状態)が4,047人、認知症高齢者日常生活自立度?以上(日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが見られ、介護を必要とする状態)が3,912人います。要介護認定者数(要支援、要介護1〜5に分けられる)は高齢者60,330中12,388人います。そのうち要支援の人が3,559人、要介護1の人が1,704人、要介護2の人が1,546人、要介護3の人が1,946人、要介護4の人が2,038人、要介護5の人が1,595人です。
 以上が、全国と比較して高齢化率が低い沖縄県の那覇市の現状です。今回、私たちは那覇市役所訪問で、「ちゃーがんじゅう課」の職員の方に、那覇市における高齢者介護の実情と対策についてお話ししていただきました。その内容を、以下でご紹介したいと思います。 

那覇市の少子高齢化
3年 坂東佑紀

 私たちは那覇市における介護の現状について、実際に那覇市役所でお話を聞かせていただき、少しずつではありますが、介護の現状というものについて考えるようになりました。その中でも私は少子高齢化という問題に注目して述べたいと思います。
 初めに、那覇市の全体の人口についてですが、平成25年7月31日時点で321,691人、そのうち高齢者数は60,330人おり、高齢化率は18.9%です。高齢者数、高齢化率の数字は右肩上がりに伸びており、平成12年の43,176人から平成24年では59,773人に増えており、高齢化率もそれに伴い14.3%から18.6%へと伸びています。しかしながら、この数字を平成22年時点の日本の高齢化率23.02%と比較すると、那覇市の高齢化率は日本全体の高齢化率よりかなり低いことが分かります。那覇市役所の職員の方のお話では、沖縄は日本で唯一戦争による地上戦が行われた場所であり、その時、多数の人が亡くなったことが影響して、現在の沖縄の高齢者世代が日本全体と比べ低い値で推移しているということでした。
 また、沖縄県は14歳以下の割合が全都道府県で最も高く、合計特殊出生率も全国で1位をキープしています。その理由として、他の都道府県と比較して親族や地域同士の結びつきや交流が深く、子どもを多く持つ環境にあることがあげられます。また男の子を強く望む傾向により、男の子が生まれるまで生むという人も多く、結果として子どもの数が多くなるのも理由の一つと考えられます。
 また、他県などでよくみられる光景として若い世代の人々が大都市などに働きに出たりすることで若年層が他の地域に流出し、地方の田舎などでは高齢者だけが残るようになります。そして結果として、少子高齢化に拍車がかかるといった現状があります。しかし、那覇市を含む沖縄では、島に残る人々が多く、1度は離れたとしてもまた戻ってくるといったことが多くみられます。さらに、他の地域で生まれ育った若い世代の人々が沖縄でお店をしながら生活をするといったこともあり、たくさんの若い人々が沖縄で生活することで少子化の値が抑えられているということが分かります。
 今回の沖縄訪問を通して、少子高齢化が全国で進む中、沖縄も同じように高齢者人口が増え、高齢化率の値もだんだん高くなってきているという現状を知りました。そういった現状を少しでも良くするために子どもが育ちやすく、お年寄りが安心して暮らせるような街づくりを沖縄だけではなく全国様々なところで進めていくことが必要だと強く感じました。

高齢者に対する市役所のサービス
3年 中村風海

 今回、那覇市役所を訪れ、同市役所が行っている高齢者へのサービスを職員の方に説明していただいたので、いくつか紹介したいと思います。
 まず、サービスを受けるにあたっての条件があり、第一号被保険者(65歳以上の人)で原因を問わず、日常生活を送るために介護や支援が必要な人や、第二号被保険者(40歳以上65歳未満の人)で老化に伴う病気が原因で、日常生活を送るために介護や支援が必要な人が介護サービスを利用できる人となります。その人たちも介護サービスをうけるにあたって申請が必要になります。そして、申請によって、介護が必要な状態か市の職員等が自宅等を訪問する訪問調査が行われます。また、同時に心身の状況について主治医に意見書を作成してもらう必要があります。その訪問調査に基づいた結果と特記事項、主治医の意見書をもとに審査会で審査し、要介護状態区分の判定が行われます。認定結果にもとづいて、要介護状態区分が認定、通知されます。介護サービスを受けるには、こういった作業が必要となります。
 しかし、申請をしたけれど、非該当と認定された人も当然、でてきます。そうした人は介護予防サービス、または、市が行う介護予防事業を利用することができます。これらは、那覇市地域包括支援センターが窓口になって、介護予防ケアプランを作成し、今の健康状態が維持・改善できるように、また、介護状態にできるだけならないようにケアプラン作成します。ケアプランは、介護保険によるサービスや、その他の公的なサービス、地域の催し、家族の手助け、そして本人の力を組み合わせて作ります。
 次に利用できるサービスについてですが、介護保険で利用できるサービスは、自宅などの生活の場で利用できる在宅サービスと、施設へ入所して利用する施設サービスがあります。どのような時に利用できるのかというと、自宅での家事や介護の手助けがほしいときには、訪問介護や、訪問入浴介護。外に出てみんなと交流がしたい、介護する人が介護を離れて自分の時間がほしいというときには、通所介護、通所リハビリテーション。介護者が冠婚葬祭や急用などで家を空けなければならないので一時的に預かってほしいというときには、ショートステイ。自立した生活のために退院した後もリハビリを続けたいというときには、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション。医療のチェックや療養についてのアドバイスが受けたいというときには、訪問看護、居宅療養管理指導。家庭で介護するために環境を整えたいというときには、福祉用具貸与、特定福祉用具販売、住宅改修費支給。このように、利用する人の心身の状況などに合ったサービスを選んで有効に活用できるようになっています。

「緊急通報システム事業」と「食の自立支援事業」
3年 林大史郎

 今回の那覇市役所の訪問で、市が行う高齢者介護の対策について、いろいろと教えていただきました。そのうち、印象に残った対策を2つ(緊急通報システム事業、食の自立支援事業)紹介したいと思います。
 まず、緊急通報システム事業ですが、これは一人暮らしをしている満65歳以上の高齢者で慢性疾患の方などが緊急時にボタン一つで管理会社に通報できるシステムです。これを聞いた時、本当に素晴らしいものだと思いました。よくニュースで、誰にも気づいてもらえず、死んでから何日も日にちが立ってしまう、いわゆる「孤独死」などが取り上げているのをみかけます。慢性疾患の方は、いつ病状が悪くなるかわからないので、少しでも体調が悪くなったらボタン一つで、管理センターにつながる、これで命が助かることが多いのではないかと思いました。
 そして、週に1回の定期的なコールや台風等災害時コールで安否の確認を行っており、このことでボタンの作動故障を防ぐこともできます。確認を行うことは実際使うときの練習行動になり、役に立つと思います。我が国は、どんどん少子高齢化社会が進んでいます。緊急通報システムがあれば、電話番号を押さなければかからない電話ではなく、ボタン一つの操作で繋がり、緊急事態を防げるというところに魅力を感じました。孤独死を防げ、もしかしたら命も助かるかもしれません。このような緊急通報システムがたくさんの地域に普及することにより多くの方の安否確認ができると思いました。
 また、那覇市では食の自立支援事業を行っています。これは、満65歳以上の一人暮らしまたは高齢者のみの市民税非課税世帯に対して月〜土曜日のうち最大4回まで昼食を配達し、配達を必ず手渡しで行うことで安否確認もできるという、優れたシステムです。少子高齢化社会で高齢者の一人暮らしが多くなってきています。週に4回昼食の手渡しで会うことにより、安否確認もできますし、毎日会えばその人の体調の様子もわかると思います。コミュニケーションをとることにより、精神状態の確認もできます。そして、1食あたりは食材費が200円または300円、調理費が利用者の年収により、0円、30円、100円に区分されており、年収が少ない高齢者に対して低価格になっているところも魅力の一つでと思いました。
 高齢者が一人で暮らしているところは全国各地たくさんいると思います。このようなシステムが広がっていけば、たくさんの方々が心地よく住んでいけると思うし、少子高齢化社会においてもいろんなところで安全の確認ができると思います。日本は地震が多い国です。このようなシステムが全国にあれば、どこに高齢者の一人暮らし住宅があるかなどについても確認することができます。多くの方に利用してもらい、日本全国に広がってほしいと思いました。