ビジネス法プロジェクトゼミとは

 阪南大学経済学部では、3つのゼミナールが「プロジェクトゼミ」として実施されています。「プロジェクトゼミ」とは学業成績や学習意欲を評価され選ばれた学生が特定の職業や分野について重点的に勉強するゼミです。その中で、わたしが担当しているビジネス法プロジェクトゼミは公務員(主に都道府県庁や市町村の一般事務など)になることを目標とした活動に取り組んでいます。

日常のゼミ活動

 まず、公務員になるためには公務員試験に合格しなければなりません。そこで、ゼミの日常の活動としては主に公務員試験対策の勉強になっています。なお、公務員試験は一般的に「教養試験」、「専門試験」、「論文試験」、「面接試験」で構成されています。「教養試験」では数学や歴史など高校までに学ぶ科目について、「専門試験」では経済学や法学など大学で学ぶ科目について、選択式で出題されます。したがって、両試験で出題される科目はとても多く、いずれも10~20科目を勉強する必要がありますが、ゼミでは「教養試験」で出題される「数的推理」、「判断推理」、「文章理解」を重点的に勉強しています。これらの科目は試験で最も出題数が多いからです。「数的推理」・「判断推理」とは数学的な論理力や判断能力を問う科目であり、たとえば以下のような問題が挙げられます。

 Aさん、Bさん、Cさんがあるとき競争しました。その結果、Aさんは1位でゴール、Cさんは3位でゴールしました。Bさんは何位でゴールしたでしょうか。

 この問題を難しくしたのが公務員試験では出題されることになります。また、「文章理解」とは要するに国語や英語のことで、ある程度の長さの文章を読んでその内容を正しく説明した選択肢を解答するという形式で出題されます。これらの科目については勉強の積み重ねが特に必要ですので、ゼミでは演習形式、具体的には教科書の問題をまず答えを見ずにテスト形式で解答し、その後に担当教員とともに答えをチェックするという流れで勉強しており、とにかく問題を多くこなすようにしています。

合宿

 前述のとおり、公務員試験の出題範囲はとても広く、日常のゼミ活動のみですべてを勉強することはできません。そのため、ゼミではサブゼミや勉強合宿など授業時間外に皆で勉強する機会を設けるように努めています。また、公務員試験では「面接試験」もありますので、単に出題科目を解答できるだけではなく、行政に関する全般的な知識なども求められます。
 そこで、昨年度の夏は福井県で春は岡山県で勉強合宿を実施するとともに、福井県では福井県庁、岡山県では岡山県南部水道企業団を見学しました。福井県は待機児童ゼロを達成しており、また有効求人倍率が高く安定しているなど、社会福祉政策や雇用政策など様々な面で非常に優れた結果を出し、都道府県の幸福度ランキングで1位を達成しているため、行政の実態を学ぶうえでも大いに参考になりました。また、水道事業は都道府県や市町村が運営主体でありながら、一般予算(行政予算)から切り離された特別会計での運営がなされており、岡山県南部水道企業団も岡山県とは独立した運営や職員採用が実施されていたため、そのような一般的な行政事務とは異なる事業の実態を見学することは行政全体の構造を理解するうえで有意義でした。

ボランティア活動

 また、公務員は自分や一部の国民住民の利益だけを考えず、すべての国民住民が幸せになるように振る舞わなければならないことが強く求められています。憲法でも公務員は「全体の奉仕者」でなければならないと規定しているほどです。そのため、ゼミでは他人のために働く意味を理解してもらうために、毎年、阪南大学の最寄り駅に隣接する商店街の「夜店祭り」の運営に携わっています。「夜店祭り」とは毎年7月に天美商店街連合会が中心となって開催する地域イベントであり、町の小さな公園にコイン落としや金魚すくいなどの様々な屋台を設営し、地域住民間の交流が図られています。
 祭りの当日、ゼミ生は「ボール入れ」の屋台を運営しました。この屋台では特に子どもをターゲットにしたため、早い時間帯から長蛇の列となりました。また、商店街の方々の店の運営も手伝うことになりました。どの店も長蛇の列でしたので学生にとってはハードな時間が続きましたが、客を待たせずにゲームをさせたり食べ物を提供したりするために学生全員が一生懸命に工夫していたのが印象的でした。

昨年度の試験結果

 岡根ゼミは創立されて現在4年目であり、昨年度に初めてゼミ生が公務員試験に挑戦し、1名が地方上級試験(奈良県庁)、2名が警察官採用選考(大阪府、奈良県)に合格しました。彼らは日頃のゼミ活動にも真摯に取り組んでいましたので、ゼミ担当者としては無事に合格を果たしたことにホッとしています。

今後のゼミ活動

 ビジネス法プロジェクトゼミは創立されて間もないため、昨年度の公務員試験ではゼミ生がすばらしい結果を出してくれましたが、これまでのゼミ活動がはたして試験を受けるときや公務員として働くときに役に立っているのかはまだはっきりとしているわけではありません。しかしながら、公務員になるためのゼミとして、今後も積極的に活動していきたいと考えています。