阪南大学経済学部では、公務員試験対策に特化した専門パッケージ（公務キャリアパッケージ）が設けられており、同学部の特徴の１つになっています。昨年も多くの受験者・学生が公務員になることを志望し、公務キャリアパッケージへの関心も持っていました。しかし、いざ公務員や公務キャリアパッケージに関心を持っている受験者や学生の話しを聞いてみると、彼らの多くは窓口業務に携わりたいとは答えるものの、具体的にどのような窓口業務をおこないたいのか、公務員が普段どのような仕事をおこなっているのかよくわかっていない様子でした。
　そこで、今回の記事では、公務員がどのような仕事をおこなっているか、少し説明したいと思いますが、参考になるのがいわゆる都市開発シミュレーションゲームです。都市開発シミュレーションゲームというと、昔はElectronic Arts社の「シムシティ」、今はParadox Interactive社の「シティーズ:スカイライン」が代表的です。今回は「シティーズ:スカイライン」を参考にしながら説明します。

　まず、この種のゲームを始めたときに最初におこなうのが、都市区画の設定です。図のように、住宅を建てたい地区には緑色、商業施設を建てたい地区には青色、工場を建てたい地区には黄色を塗ります。なお、この種のゲームをしたことがあれば一度は疑問に思うのがなぜ住宅や工場を直接建てることができないのかです。これは、直接建てるのはあくまでその地域の住民であり、公務員の仕事ではないからです。つまり、公務員はどのような町を創っていくのかを計画し、その計画を住民に提示し実行してもらうことが主な仕事になるのです。

　もっとも、町の施設の中には、住民に完全に任せてしまうことが望ましくないものもあります。病院、学校、発電施設、水道施設、ゴミ処理施設、道路などはもし誰も管理運営してくれなければ住民の生活は成り立たなくなってしまいます。そのため、これらインフラ施設等の管理運営については行政組織が公営事業として直接担当することもあり、ゲーム中でも直接建設することが可能になっています。また、ゲーム中では公園も建設することができますが、公園のような、住民全員に利用してもらうべきものについても、行政組織が管理運営するのが望ましいからです。

　都市区画を設定し、各区画に住宅や工場などが建てられていくと、ゲームでは泥棒や火事が各地で発生します。これらの問題に対処するために警察署や消防署を建てることができます。治安維持活動や消防活動も公務員の仕事の１つです。

　なお、ゲームで以上の活動をおこなっていくとどんどんお金がなくなり、最悪の場合、破産してゲームオーバーになってしまいます。そのような事態を回避するために、ゲームでは税率を上げて住民から税金をたくさん取ることで資金源を補充する必要があります。現実世界も同様で、行政活動をおこなうにはお金が必要であり、そのお金は住民からの税金で基本的には成り立っています（借金という手もありますが）。もちろん、ゲームでも現実世界でも、住民からたくさん税金を取ろうとすれば猛反発を受けることになります。

　以上のように、公務員の仕事は単に住民からの書類を受け付け処理することだけではなく、都市計画、社会福祉、教育、インフラ運営、公園管理、税金手続きなど多岐にわたります。公務員というのがどういうものかイメージできないという方は、まずは「シティーズ:スカイライン」等の都市開発シミュレーションゲームをやってみてはいかがでしょうか。