阪南大学経済学部では、所属教員による研究報告会を定期的に実施しています。お互いの分野について議論し知見を深めることで、教員個人および学部全体の研究・教育の質の向上をはかっています。
2024年度第2回経済学部研究会
執筆者 経済学部 瀬野 陸見
経済学部研究会について
今年度の第2回経済学部研究会では、瀬野陸見准教授より「公的医療保険における排除と包摂」をテーマとした報告がなされました。
瀬野准教授は、「社会的排除」の問題、より具体的には、本来は社会保障から外れる人々を意味していた「社会的排除」が現在はどのような人々まで含まれるべきなのか、これらの人々にいかなる問題が生じているのかについて、社会保障制度の境界・周辺部を分析することで明らかにするという研究を進めており、本報告では、その一環として、公的医療保険における排除の問題の分析がおこなわれました。
瀬野准教授は、「社会的排除」の問題、より具体的には、本来は社会保障から外れる人々を意味していた「社会的排除」が現在はどのような人々まで含まれるべきなのか、これらの人々にいかなる問題が生じているのかについて、社会保障制度の境界・周辺部を分析することで明らかにするという研究を進めており、本報告では、その一環として、公的医療保険における排除の問題の分析がおこなわれました。
2024年度第2回経済学部研究会の報告内容
日本の公的医療保険制度は国民皆保険制度が採られており強制加入であります。このことから、他の保険に入れない人が加入する、市町村の国民健康保険においては、保険料を滞納した場合でも、加入資格が剥奪されるわけではなく、有効期間が短い短期被保険者証あるいは10割負担の資格証明書が交付されることになります。ただし、資格証明書は通常の加入者より窓口での負担が高くなることから、滞納者を事実上社会的に排除しており、制度の谷間に「漏れている」ともいえます。では、このような排除に対してどのような解決策が考えられるでしょうか。考えられる策としては、①社会保険(防貧)の内側に引き込むか、②生活保護医療扶助(救貧)に押し出すかの2つが挙げられます。より具体的には、①保険料の軽減・減免策を講じて通常の保険加入者に近い支援をおこなうこと、②保険料の納付相談の機会などにおいてほかの支援(生活保護など)へとつなげることなどです。しかし、①については現実には新型コロナ対応など強い理由があるときに限定されており、財政の問題からもなかなか軽減・減免が緩和されることない、②については受給者側の能動的な行動が必要であり、行政による正確な所得把握も現実には未だ困難であるため、いずれも課題があるとのことでした。
今後も、経済学部では研究会等を通じて所属教員の研究力・教育力の向上をはかっていきたいと思います。
今後も、経済学部では研究会等を通じて所属教員の研究力・教育力の向上をはかっていきたいと思います。