ビジネス経済学パッケージでは、2年生から4年生までの「専門演習」での学習と研究の成果を共有する機会として、学生による研究の発表会を実施しております。本年度は1月19日から21日に開催し、2年生から4年生まで合計47件の研究報告がありました。発表会は学年ごとに分かれて行いましたが、それぞれの会に参加していた学生と教員の投票によって最優秀賞と優秀賞各1名ずつを決定して表彰いたしました。
今年度表彰されたのは、以下の6名になります:
今年度表彰されたのは、以下の6名になります:
4年生:最優秀賞 迫田直樹 優秀賞 松田樹
3年生:最優秀賞 北田有輝 優秀賞 井上暁泰
2年生:最優秀賞 河原加奈 優秀賞 岡﨑司
3年生:最優秀賞 北田有輝 優秀賞 井上暁泰
2年生:最優秀賞 河原加奈 優秀賞 岡﨑司
すべての研究内容をここでご紹介することはできませんので、4年生の報告の一部をごく簡単にご紹介できればと思います。
迫田さんは、ショッピングモール等の出入口に設置されている消毒液の利用状況を調査して比較し、どのような設置の仕方や状況で人々が自ら消毒する可能性がより高まるかをゲーム理論や行動経済学的な視点から検証しました。その調査結果によれば、しばしば指摘されるような同調圧力により周りの人がしているから、あるいは、周りの人が見ているから自分もするといった傾向は見られず、他方、設置場所への案内の仕方の非常に細かな違いで消毒率が大きく変わる、ということがわかりました。
なお、同じく感染症対策を題材とした研究として、浅場さんが体調管理アプリの利用促進効果を検証したものがありました。こちらの実験でも同調性を利用した利用促進には効果は見られず、より素朴な促進策の方が効果を上げるという結果が得られております。
感染症対策は本人だけでなく周囲の人間にも利益になるものですが、理論的には本人の利益になる行動の促進と他者の利益になる行動の促進とは分けて考えることが普通です。松田さんの発表した研究は後者であり、やはり行動経済学などの知見を利用して居酒屋での喫煙マナーを守らせることができるかを検証しました。こちらの実験では、罰金や商品のサービスなどの誘因にも効果はありましたが、同調性や他者の視線への意識を喚起するようなポスターはそれ以上にマナーを守らせる効果がある、という結果が得られております。
やはり他者の利益になるような行動の促進効果を検証した研究としては、徳山さんによるごみのポイ捨てを設置するごみ箱のタイプを変えることで減らすことができるかという実験、宮地さんによる自宅というプライベートな場で出るごみでも類似の手法で減らすことができるかという実験、杉本さんによる街頭募金をしてくれる人数と金額は集める側の外見を変えることで別々の方向に変化するという実験などが発表されました。他方、自分のためになるような行動、たとえば、自分のためなるとわかっていてもなかなかできない行動の促進や止めた方が良いとわかっていても止められない行動の抑制についての研究としては、青木さんによる電気の無駄遣いを通常のインセンティブの付与以外の方法でも減らすことができるかという実験、森下さんによるアルバイトの遅刻抑制効果を常習犯とそれ以外とで分けて検証した実験、森本さんによる飲酒量を一定期間にわたって削減できるかを継続して調査した実験、Zhuさんによるゲームへの課金を減らすために説教や確率を教えて諭すことよりも効果がある方法を検証した実験、渡邉さんによる飲食店でより健康に悪い注文を減らすことができるかという実験などの結果が発表されました。また、より「経済」らしい課題としては、高井さんと塩見さんがそれぞれ、同じ商品であっても情報の示し方や店舗のあり方によって売れる個数や価格にどのような違いが生じるかを検証した実験結果が発表されました。また、ここではまとめきれなかった研究にも、興味深いものがたくさんありました。
彼らの研究指導に携わる教員として、今後も大学で勉強を続ける学生にも、また、卒業して就職先や大学院に進む学生にも、研究室での活動などを通して培った能力を今後の人生に活かしていただけることを願っております。
なお、表彰された研究報告を行った学生には、副賞として図書カードを贈呈いたしました。彼らの今後の研鑽に活かされることを願っております。この副賞の贈呈は、阪南大学学会2020年度学部教育研究活動助成事業補助を受けて実施いたしました。ご支援を頂けたことに心より感謝いたします。
迫田さんは、ショッピングモール等の出入口に設置されている消毒液の利用状況を調査して比較し、どのような設置の仕方や状況で人々が自ら消毒する可能性がより高まるかをゲーム理論や行動経済学的な視点から検証しました。その調査結果によれば、しばしば指摘されるような同調圧力により周りの人がしているから、あるいは、周りの人が見ているから自分もするといった傾向は見られず、他方、設置場所への案内の仕方の非常に細かな違いで消毒率が大きく変わる、ということがわかりました。
なお、同じく感染症対策を題材とした研究として、浅場さんが体調管理アプリの利用促進効果を検証したものがありました。こちらの実験でも同調性を利用した利用促進には効果は見られず、より素朴な促進策の方が効果を上げるという結果が得られております。
感染症対策は本人だけでなく周囲の人間にも利益になるものですが、理論的には本人の利益になる行動の促進と他者の利益になる行動の促進とは分けて考えることが普通です。松田さんの発表した研究は後者であり、やはり行動経済学などの知見を利用して居酒屋での喫煙マナーを守らせることができるかを検証しました。こちらの実験では、罰金や商品のサービスなどの誘因にも効果はありましたが、同調性や他者の視線への意識を喚起するようなポスターはそれ以上にマナーを守らせる効果がある、という結果が得られております。
やはり他者の利益になるような行動の促進効果を検証した研究としては、徳山さんによるごみのポイ捨てを設置するごみ箱のタイプを変えることで減らすことができるかという実験、宮地さんによる自宅というプライベートな場で出るごみでも類似の手法で減らすことができるかという実験、杉本さんによる街頭募金をしてくれる人数と金額は集める側の外見を変えることで別々の方向に変化するという実験などが発表されました。他方、自分のためになるような行動、たとえば、自分のためなるとわかっていてもなかなかできない行動の促進や止めた方が良いとわかっていても止められない行動の抑制についての研究としては、青木さんによる電気の無駄遣いを通常のインセンティブの付与以外の方法でも減らすことができるかという実験、森下さんによるアルバイトの遅刻抑制効果を常習犯とそれ以外とで分けて検証した実験、森本さんによる飲酒量を一定期間にわたって削減できるかを継続して調査した実験、Zhuさんによるゲームへの課金を減らすために説教や確率を教えて諭すことよりも効果がある方法を検証した実験、渡邉さんによる飲食店でより健康に悪い注文を減らすことができるかという実験などの結果が発表されました。また、より「経済」らしい課題としては、高井さんと塩見さんがそれぞれ、同じ商品であっても情報の示し方や店舗のあり方によって売れる個数や価格にどのような違いが生じるかを検証した実験結果が発表されました。また、ここではまとめきれなかった研究にも、興味深いものがたくさんありました。
彼らの研究指導に携わる教員として、今後も大学で勉強を続ける学生にも、また、卒業して就職先や大学院に進む学生にも、研究室での活動などを通して培った能力を今後の人生に活かしていただけることを願っております。
なお、表彰された研究報告を行った学生には、副賞として図書カードを贈呈いたしました。彼らの今後の研鑽に活かされることを願っております。この副賞の贈呈は、阪南大学学会2020年度学部教育研究活動助成事業補助を受けて実施いたしました。ご支援を頂けたことに心より感謝いたします。