ビジネス経済学パッケージでは、2年生から4年生までの「専門演習」での学習と研究の成果を共有する機会として、学生による研究の発表会を実施しております。本年度は1月17日から19日に開催し、2年生から4年生まで合計33件の研究報告がありました。発表会は学年ごとに分かれて行いましたが、それぞれの会に参加していた学生と教員の投票によって最優秀賞と優秀賞各1名ずつを決定して表彰いたしました。今年度表彰されたのは、以下の6名になります。
4年生:最優秀賞 岡﨑司 優秀賞 河原加奈
3年生:最優秀賞 秋山龍斗 優秀賞 金山仁
2年生:最優秀賞 高須雅史 優秀賞 藤澤銀次
3年生:最優秀賞 秋山龍斗 優秀賞 金山仁
2年生:最優秀賞 高須雅史 優秀賞 藤澤銀次
すべての研究内容をここでご紹介することはできませんので、4年生の報告の一部をごく簡単にご紹介できればと思います。
最優秀賞となった岡﨑さんの研究は、喫煙習慣と消費者としての行動の傾向との関係に関する調査と分析でした。アルバイトの際、喫煙所で接した人々に一定の行動の傾向があるように感じられたことから着想を得た岡﨑さんは、彼ら/彼女らに共通する行動の傾向を検証しました。喫煙習慣の有無や程度は(たとえばリンゴを食べる習慣の有無や程度とは異なり)単にタバコが好きというだけでなく、健康等への影響を通じてその人の時間選好(遠い将来の収入を近い時点での収入に比べてどれくらい低く評価するか)やリスクに対する態度(どのような結果になるかわからないものをどれくらい回避しようとするか)などとも関係していると考えられます。そして、それらは他の様々な場面での彼ら/彼女らの行動の傾向に結び付くと考えられますので、これらの関係の有無と程度を特定できれば、喫煙習慣自体がたとえばある商品を売る相手として有望である/ないことのシグナルになるとも考えられます。岡﨑さんは、そうした考えを背景に、喫煙習慣を持つ人と持たない人の諸々の行動の傾向の有無を検証しました。
なお、この岡﨑さんの研究のように、ある人の特定の特徴からその人のより一般的な行動の傾向を得ようとした研究には、他に、藤田さんによるギャンブルに関する行動からの研究、峯北さんによる育った家庭環境からの研究などがありました。また、逆に、人々の持つ一般的な行動の傾向を利用して特定の行動を促した研究としては、高津さんによるボランティア、前野さんによる献血への意欲を促進した研究などがありました。
人々が特定の行動を取ることを増やす試みは、商業的な場面でもしばしば実践されています。今年度報告された研究では、優秀賞を受賞した河原さんの研究もその一例です。河原さんは、人々の行動パターンを利用してコンビニの会員アプリをインストールしてくれるお客さんの数を増やす方法を複数考案して実施し、それらの短期的な効果を比較・検証するだけでなく、それぞれの施策でアプリをインストールした人々が数か月後にどうしているかも継続調査することで、それらの長期的な効果も検証しました。河原さんの研究では期待した行動をとるお客さんを増やす方法を検証した実験に対し、働く人々の行動を期待する方向に変化させようとした研究もありました。たとえば、商店のレジでのミスを減らす方法を検証した生田さんの研究、飲食店スタッフのチームワークの効果を高める方法を検証した和田さんの研究、物流業の各所で生じるミスの可能性を減らす方法を網羅的に検証した西脇さんの研究などです。また、寺岡さんの研究では、塾の生徒により積極的に宿題をさせる方法などが検証されました。
より効果的な学習の実現は我々教員も常に頭を悩ませているところですが、大学生を取り巻く様々な問題を対象に研究を進めてくれたものもありました。授業の出席率に他の学生が与える影響を検証した宮領さんの研究、授業で積極的に質問するようになる方法を検証した安井さんの研究、コロナ禍でリモート授業が増えたことが学外での人間関係にどのような影響を与えたかを検証した長榮さんの研究などです。また、神原さんは、こうした様々な研究など様々な場面で必要になるアンケート調査について、どのような方法を取れば回答率を上げることができるか、また、それは回答内容に影響を与えないのか、といったことを検証しました。
学生の身近なフィールドでの研究ですと上述したような大学やアルバイト先が多くなりますが、もう一つ、よく対象となるのがゲームです。近年はそれ自体が競技となっていますし、また、研究では、ゲームを通して人々の戦略的な行動などへの影響を実験することがよくあります。今回の研究報告では、プレイヤー自身に働きかけることでその人が勝てる確率を上げることができる方法を検証した小嶋さんの研究、ゲーム内で対戦相手に働きかけることで自分の勝率を上げる様々な方法を検証した沖田さんの研究などがありました。また、佐藤さんは、ゲームを通して得られる可能性があると言われている能力や失われる可能性があると言われているものについて、その審議や効果の大きさを検証しました。また、ここではまとめきれなかった研究にも、興味深いものがたくさんありました。
彼らの研究指導に携わる教員として、今後も大学で勉強を続ける学生にも、また、卒業して就職先や大学院に進む学生にも、研究室での活動などを通して培った能力を今後の人生に活かしていただけることを願っております。
なお、表彰された研究報告を行った学生には、副賞として図書カードを贈呈いたしました。彼らの今後の研鑽に活かされることを願っております。この副賞の贈呈は、阪南大学学会2022年度学部教育研究活動助成事業補助を受けて実施いたしました。ご支援を頂けたことに心より感謝いたします。
最優秀賞となった岡﨑さんの研究は、喫煙習慣と消費者としての行動の傾向との関係に関する調査と分析でした。アルバイトの際、喫煙所で接した人々に一定の行動の傾向があるように感じられたことから着想を得た岡﨑さんは、彼ら/彼女らに共通する行動の傾向を検証しました。喫煙習慣の有無や程度は(たとえばリンゴを食べる習慣の有無や程度とは異なり)単にタバコが好きというだけでなく、健康等への影響を通じてその人の時間選好(遠い将来の収入を近い時点での収入に比べてどれくらい低く評価するか)やリスクに対する態度(どのような結果になるかわからないものをどれくらい回避しようとするか)などとも関係していると考えられます。そして、それらは他の様々な場面での彼ら/彼女らの行動の傾向に結び付くと考えられますので、これらの関係の有無と程度を特定できれば、喫煙習慣自体がたとえばある商品を売る相手として有望である/ないことのシグナルになるとも考えられます。岡﨑さんは、そうした考えを背景に、喫煙習慣を持つ人と持たない人の諸々の行動の傾向の有無を検証しました。
なお、この岡﨑さんの研究のように、ある人の特定の特徴からその人のより一般的な行動の傾向を得ようとした研究には、他に、藤田さんによるギャンブルに関する行動からの研究、峯北さんによる育った家庭環境からの研究などがありました。また、逆に、人々の持つ一般的な行動の傾向を利用して特定の行動を促した研究としては、高津さんによるボランティア、前野さんによる献血への意欲を促進した研究などがありました。
人々が特定の行動を取ることを増やす試みは、商業的な場面でもしばしば実践されています。今年度報告された研究では、優秀賞を受賞した河原さんの研究もその一例です。河原さんは、人々の行動パターンを利用してコンビニの会員アプリをインストールしてくれるお客さんの数を増やす方法を複数考案して実施し、それらの短期的な効果を比較・検証するだけでなく、それぞれの施策でアプリをインストールした人々が数か月後にどうしているかも継続調査することで、それらの長期的な効果も検証しました。河原さんの研究では期待した行動をとるお客さんを増やす方法を検証した実験に対し、働く人々の行動を期待する方向に変化させようとした研究もありました。たとえば、商店のレジでのミスを減らす方法を検証した生田さんの研究、飲食店スタッフのチームワークの効果を高める方法を検証した和田さんの研究、物流業の各所で生じるミスの可能性を減らす方法を網羅的に検証した西脇さんの研究などです。また、寺岡さんの研究では、塾の生徒により積極的に宿題をさせる方法などが検証されました。
より効果的な学習の実現は我々教員も常に頭を悩ませているところですが、大学生を取り巻く様々な問題を対象に研究を進めてくれたものもありました。授業の出席率に他の学生が与える影響を検証した宮領さんの研究、授業で積極的に質問するようになる方法を検証した安井さんの研究、コロナ禍でリモート授業が増えたことが学外での人間関係にどのような影響を与えたかを検証した長榮さんの研究などです。また、神原さんは、こうした様々な研究など様々な場面で必要になるアンケート調査について、どのような方法を取れば回答率を上げることができるか、また、それは回答内容に影響を与えないのか、といったことを検証しました。
学生の身近なフィールドでの研究ですと上述したような大学やアルバイト先が多くなりますが、もう一つ、よく対象となるのがゲームです。近年はそれ自体が競技となっていますし、また、研究では、ゲームを通して人々の戦略的な行動などへの影響を実験することがよくあります。今回の研究報告では、プレイヤー自身に働きかけることでその人が勝てる確率を上げることができる方法を検証した小嶋さんの研究、ゲーム内で対戦相手に働きかけることで自分の勝率を上げる様々な方法を検証した沖田さんの研究などがありました。また、佐藤さんは、ゲームを通して得られる可能性があると言われている能力や失われる可能性があると言われているものについて、その審議や効果の大きさを検証しました。また、ここではまとめきれなかった研究にも、興味深いものがたくさんありました。
彼らの研究指導に携わる教員として、今後も大学で勉強を続ける学生にも、また、卒業して就職先や大学院に進む学生にも、研究室での活動などを通して培った能力を今後の人生に活かしていただけることを願っております。
なお、表彰された研究報告を行った学生には、副賞として図書カードを贈呈いたしました。彼らの今後の研鑽に活かされることを願っております。この副賞の贈呈は、阪南大学学会2022年度学部教育研究活動助成事業補助を受けて実施いたしました。ご支援を頂けたことに心より感謝いたします。