法隆寺国際高等学校 歴史文化科特別講義(1月12日)
法隆寺国際高等学校は、全国的にも珍しい歴史文化科に普通科と総合英語科の3学科を擁し、奈良県内の高等学校としては唯一、ユネスコスクールに認定されています。
阪南大学では、この総合英語科を中心に教育連携事業を進めており、1月6日に開催された同校の学習成果を発信するユネスコフォーラムには、本学の職員として私もお招きいただきました。
今回の特別講義は、歴史文化科の専門科目の学習活動の一つとして実施されたもので、私が講師として2時間(大学の1コマ)を担当しました。このような講義は歴史文化科では頻繁に行われており、奈良大学や天理大学などの先生方が講師として招聘されたり、橿原考古学研究所や斑鳩町教育委員会の専門家の方々による現地学習なども実施されたりしています。
私は、2年前まで法隆寺国際高校の教員として歴史文化科の授業を担当していたことから、この3年生にも授業したであろうネタを講義内容としました。テーマは「法隆寺国際高校で歴史を学ぶ」で、1つは「聖徳太子と斑鳩」、もう1つは「法隆寺と木の文化」です。
阪南大学では、この総合英語科を中心に教育連携事業を進めており、1月6日に開催された同校の学習成果を発信するユネスコフォーラムには、本学の職員として私もお招きいただきました。
今回の特別講義は、歴史文化科の専門科目の学習活動の一つとして実施されたもので、私が講師として2時間(大学の1コマ)を担当しました。このような講義は歴史文化科では頻繁に行われており、奈良大学や天理大学などの先生方が講師として招聘されたり、橿原考古学研究所や斑鳩町教育委員会の専門家の方々による現地学習なども実施されたりしています。
私は、2年前まで法隆寺国際高校の教員として歴史文化科の授業を担当していたことから、この3年生にも授業したであろうネタを講義内容としました。テーマは「法隆寺国際高校で歴史を学ぶ」で、1つは「聖徳太子と斑鳩」、もう1つは「法隆寺と木の文化」です。
この2つは、私が法隆寺国際高校在籍当時に書いた原稿を書籍に掲載していただいたもので、特に思い入れの強い授業でもあったのです。次に、その概要を紹介します。
1.「聖徳太子と斑鳩」
この内容は、『地域から考える世界史 日本と世界を結ぶ』の「世界遺産から考える地域と世界史」で紹介したものです。法隆寺国際高校の北館からは、斑鳩三塔と呼ばれる「法隆寺五重塔」「法起寺三重塔」「法輪寺三重塔」が遠望できます。それは、法隆寺国際高校から見て、かつて聖徳太子が居住した斑鳩宮(法隆寺東院伽藍)、法華経を講じたといわれる岡本宮(法起寺)、聖徳太子が母親を弔うためその宮を寺とした中宮寺跡(法輪寺を望む方角)と関連することから、斑鳩には聖徳太子が生活された痕跡が寺院(塔)や遺跡などの文化財として見ることができることを伝えたかったのです。
2.「法隆寺と木の文化」
これは『学べる! 世界遺産の本 奈良』の「『法隆寺地域の仏教建造物(群)』でESDを考える」で紹介したものです。法隆寺が世界遺産であることは、周知のことです。しかし、法隆寺が世界遺産となることにどんな意義があったのでしょうか。そこにはオーセンティシティ(真正性)に関する世界遺産委員会の認識の変化があったのです。それまでの世界遺産では、欧米の「石の文化」を中心とした建築物の判断基準があり、部材の交換や補修が必要な木造建築物に対する疑義が生じていたのです。それを文化の多様性の観点から「木の文化」として認識させたのが法隆寺だったというものです。
私は、この2つの授業を通して、法隆寺国際高校の歴史文化科で学ぶことの意義を再確認してもらいたかったのです。以下に、生徒の皆さんの感想を紹介します。
- 法隆寺国際高校がユネスコスクールに認定される際、歴史文化科の存在が大きかったこと。自分が歴文生であることに誇りをもてました。
- 高校卒業後、神社仏閣の建築の道に進むので、貴重な話が聞けてよかったです。
- 聖徳太子の宮が寺へと変わっているのは、聖徳太子が仏教と深い関わりがあることを示しているものでもあるし、石ではなく、木の特性などを生かして、法隆寺のような世界に誇れる仏教建造物を造った当時の人々は素晴らしいなと感じた。
- 今まで木や石について深く考えたことがありませんでした。木にも寿命というものがあり、それをどうやって残していくのかということを勉強させていただきました。法国(法隆寺国際高校)から塔が見えるのは知っていたけど、どこにあるのかをいまいち分かっていなかったので、また見たいと思います。
- 宮大工の技術や伝統が残っていったとしても、それを作るための材料(樹齢1000年を超える木など)を育てる文化も残っていかないといけないという事を知り、改めて法隆寺が現存しているという事の偉大さを知った。
- 法隆寺の柱を見てみると、色の違う部分があり、補修されていると知った。私たちは建物の「今」の事しかみていないが、よく見てみると「過去」の姿が見れると知り、見方が変わった。
特に、この授業のポイントを次のように指摘した生徒の言葉は、この講義のねらいを象徴しています。
- 日本だけでなく世界中の文化、伝統を守り残さなければならない。
- 過去から現在、そして未来へとつなぐ文化財の重要性。
- 日本では、専門家が高度な技術を利用して修復されている。しかし、それは他の一般人と文化財の間に価値観の差が生まれる原因なのではないかと考えるきっかけになった。(外国では民間の人々が積極的に文化財の補修作業をしている。)
私が思った以上に、生徒の皆さんはそれぞれの観点から、講義の内容を真摯に受け止めてくれていました。改めて、私自身が歴史を学ぶことの意義を再確認させてもらう機会ともなりました。このような場を設けていただいた法隆寺国際高校の先生方、そして歴史文化科の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。
これらの感想を書いてくれた皆さんの中には、阪南大学に進学する方もいるそうです。神社仏閣に関わる建築の道に進む方や、過去から現在そして未来について考える視点(ESDの視点)を持った方など、特色ある学科の学びを極めた歴史文化科の皆さんの、これからの活躍を祈念いたします。
これらの感想を書いてくれた皆さんの中には、阪南大学に進学する方もいるそうです。神社仏閣に関わる建築の道に進む方や、過去から現在そして未来について考える視点(ESDの視点)を持った方など、特色ある学科の学びを極めた歴史文化科の皆さんの、これからの活躍を祈念いたします。