教員研修の背景
阪南大学は、教育内容の一層の充実・発展を図ることを目的として、奈良県立法隆寺国際高等学校(小橋康之校長)と高大連携協定を締結しています。
法隆寺国際高等学校では、「総合的な探究の時間」を3年間通して実施する学校独自のカリキュラムとして「創生」を編成し、2年生は12月のユネスコフォーラムで発表することを目指した探究活動に取り組もうとされています。私は1・2年生をご担当の先生方に向けて、「探究のノウハウ」を主題とした講演を令和6(2024)年4月5日(金)に実施しました。
法隆寺国際高等学校では、「総合的な探究の時間」を3年間通して実施する学校独自のカリキュラムとして「創生」を編成し、2年生は12月のユネスコフォーラムで発表することを目指した探究活動に取り組もうとされています。私は1・2年生をご担当の先生方に向けて、「探究のノウハウ」を主題とした講演を令和6(2024)年4月5日(金)に実施しました。
教員研修の概要
この教員研修では、探究が何かを先生方自身が考えを深め、指導案を具体化して生徒の探究活動を進めていくための参考となることを目的として、次の4つの問いに沿ってお話をしました。これは、昨年9月に当時の総合英語科2年生に向けて行った特別講義をもとに、教員向けに発展させたものです。
1.探究とはどういう活動か。
2.何のために探究をするのか。
3.探究ではどういうプロセスを踏むのか。
4.探究では何を身に付けることができるのか。
特に、法隆寺国際高校がユネスコスクールであることから、ESD(持続可能な開発のための教育)を推進することが目指されており、ESDは総合的な探究の時間が目指す「よりよい社会を実現しよう」とすることと重なるため、ESDを具体化するSDGsを探究の視点として活用することが学校の特色ある探究活動となることを先生方と確認しました。
そして、本年度2年生が扱う7つのテーマをSDGsと関連付け、探究のプロセスを繰り返すことを強調しました。探究活動では、生徒が主体的により望ましい解決策(最適解)に近づけるよう、先生方と生徒の皆さんの対話(報告・意見交換)が大切なことを伝えました。その一つの方法として、私の講演で「気になったこと」や「もっと知りたいと思ったこと」などのメモをとり、そのメモをもとにしたグループワークを先生方に体験していただきました。
グループワークの振り返りでは、探究活動を40名の生徒に対して行うことやメモの取り方の具体的な方法について質問がありました。また、教員研修についてのアンケートでは、先生方から感想や質問をいただきました。全てのご質問にお答えできないことが残念ですが、一部を抜粋してコメントします。
・探究活動に取り組もうという気持ちになりましたが、メモの取り方を生徒に教えるのを難しく感じます。
⇒「メモの取り方」は、相手の発言(講義の内容)に自分の考えを関連付けることを目指します。SNSで「いいね!」をつけたり、分からないことは「?」をつけるイメージで良いと考えています。何度かやってみることで、メモを取るスキルも高まるはずです。
・探究活動のノウハウは、簡潔で分かりやすく、言語化されることで、実践できそうだと感じました。特に、本の読み方や「数字・ファクト・ロジックで考える」など具体的で、探究活動の中で生徒への指導にも役立てることができると思いました。
⇒探究活動の方法を具体的に理解していただけてよかったです。生徒が活動を「言語化(アウトプット)」することで探究のプロセスを重ねることができると思います。
・印象に残ったのは、問いはかわっていくものということです。探究活動を進めていくと新たな疑問がでたり、最初何を調べていたのかわからなくなることが予想されますが、それでいいということが知ることができて良かったです。
⇒生徒はもちろん、先生方も「問い」をたてることで悩み、時間を費やします。「何を調べていたのかわからなくなる」のは困りますが、問いの本質は見失わず「問いはかわっていくもの」と考え、探究活動を進める中で問いを更新していくことは、探究のプロセスを重ねることになるはずです。
・仮のテーマで掘り下げ方を示して頂けると生徒がわかりやすいと思いました。
⇒講演の時間内で7つのテーマをどのように展開できそうか、具体的な話ができなかったことは残念に思っています。また機会があれば、テーマを深めていく方策をお話したいと考えています。
私の講演から、先生方が探究活動に取り組まれるイメージが膨らんだ様子がうかがえます。また、アンケートにご回答いただいた先生方の大半が、講演に満足されていることに安心しました。ただ、最後のご指摘にあるように、探究をテーマに沿って進めていく際の経過をどのように見とるのかは、これからの課題であり、私も関心があります。法隆寺国際高等学校の探究活動がさらに深まるよう、引き続き関わっていきたいと考えています。