<半端ないプロローグ>
多くの学生から相談を受け、的確なアドバイスを送る神尾教授は、学生たちからの信頼も厚い。しかし、かつては、一夜にして金髪に染め、飲み屋では借金を作ったこともある「破天荒」であったとか。その一方で学生時代は牧師に憧れ、「神様とは何か?」という疑問を追い求めた結果、日本文化の研究者へ。
好奇心のまま歩んできた過去を振り返り、人が気にも留めないことを追求する力が、今を生き抜く力になると教えてくれた。
好奇心とともに突っ走ってきた過去。
聞き手:元々は牧師を目指されていたとお聞きしました。
神尾:そうです。高校時代はクリスチャンスクールに通い、毎朝15分の礼拝と聖書を読み続ける日々を送っていました。
その中で私にとって衝撃の事件が起こったのです。
聞き手:衝撃の事件?
神尾:イラン・イラク戦争です。
どうして同じ宗教同士の人々が銃を持ち、戦争を始めないといけないのか、責任感の強かった私はすごく落ち込むわけです。そして、戦争を起こさないために自分ができることは何だろうと壮大なことを考え始めます。その答えが「牧師」だったのです。
聞き手:そこからどういう経緯で日本文化を研究されるに至るのですか?
神尾:大学時代に沸き上がった、1つの疑問がきっかけです。
聞き手:1つの疑問?
神尾:それは「神様って何だろう」「どこにいるのだろう」という問いです。
考え出したら止まらなくなり、聖書を読み漁りました。けれど私が求める答えは一向に見つかりません。それで日本文化を研究してみようと神学部から文学部へと転部しました。
聞き手:神様が日本文化にのめり込むきっかけだったのですね。
神尾:そうです。日本文化を研究するまで、こんなにも様々な神様が日本にいるとは思いもしませんでした。
今思えば、日本文化を知りたい、学びたいと好奇心とともに突っ走ってきた人生のように感じますね。
神尾:そうです。高校時代はクリスチャンスクールに通い、毎朝15分の礼拝と聖書を読み続ける日々を送っていました。
その中で私にとって衝撃の事件が起こったのです。
聞き手:衝撃の事件?
神尾:イラン・イラク戦争です。
どうして同じ宗教同士の人々が銃を持ち、戦争を始めないといけないのか、責任感の強かった私はすごく落ち込むわけです。そして、戦争を起こさないために自分ができることは何だろうと壮大なことを考え始めます。その答えが「牧師」だったのです。
聞き手:そこからどういう経緯で日本文化を研究されるに至るのですか?
神尾:大学時代に沸き上がった、1つの疑問がきっかけです。
聞き手:1つの疑問?
神尾:それは「神様って何だろう」「どこにいるのだろう」という問いです。
考え出したら止まらなくなり、聖書を読み漁りました。けれど私が求める答えは一向に見つかりません。それで日本文化を研究してみようと神学部から文学部へと転部しました。
聞き手:神様が日本文化にのめり込むきっかけだったのですね。
神尾:そうです。日本文化を研究するまで、こんなにも様々な神様が日本にいるとは思いもしませんでした。
今思えば、日本文化を知りたい、学びたいと好奇心とともに突っ走ってきた人生のように感じますね。
日本に馴染む、海外文化とは?
聞き手:日本文化を研究されている先生だからこそ感じる、日本の面白い部分はどこですか?
神尾:面白いとこだらけですよ。
聞き手:気になります!
神尾:まずね、こんなにも宗教が乱立している国は日本以外では考えられないですよ。身近な例で言うと、子どもが生まれると神社(神道)にお参りするでしょ。けれど、お葬式はお寺(仏教)で行う人が多い。他にもクリスマス(キリスト教)を祝った1週間後には神社(神道)で初詣をする。海外の人からすると「なぜ?」と首を傾げたくなる習慣ばかりです。でも、私はこれが日本の良さだと思っています。
決して日本の心は忘れず、上手く海外文化を取り入れ発展させてきたことで、新しい国が築けたのだと感じますね。
聞き手:他にも、実はこれ海外から入ってきた文化!などあれば教えてください。
神尾:そうですね。大阪人なら誰もが知っているビリケンさん、あれは日本の神様ではありません。
聞き手:えぇ?そうなのですか?
神尾:アメリカ生まれ、大阪育ちといったところでしょうか(笑)。
聞き手:知りませんでした。
神尾:あと、七福神も日本・インド・中国と異なる国の神様の集まりですし、中之島の煉瓦造りの建物も日本発祥のものではありません。
明治時代になり、煉瓦が入ってくるようになり建てられたものです。いろいろなところにアンテナを張ってみるだけで、面白く感じられるのが日本だと思います。
神尾:面白いとこだらけですよ。
聞き手:気になります!
神尾:まずね、こんなにも宗教が乱立している国は日本以外では考えられないですよ。身近な例で言うと、子どもが生まれると神社(神道)にお参りするでしょ。けれど、お葬式はお寺(仏教)で行う人が多い。他にもクリスマス(キリスト教)を祝った1週間後には神社(神道)で初詣をする。海外の人からすると「なぜ?」と首を傾げたくなる習慣ばかりです。でも、私はこれが日本の良さだと思っています。
決して日本の心は忘れず、上手く海外文化を取り入れ発展させてきたことで、新しい国が築けたのだと感じますね。
聞き手:他にも、実はこれ海外から入ってきた文化!などあれば教えてください。
神尾:そうですね。大阪人なら誰もが知っているビリケンさん、あれは日本の神様ではありません。
聞き手:えぇ?そうなのですか?
神尾:アメリカ生まれ、大阪育ちといったところでしょうか(笑)。
聞き手:知りませんでした。
神尾:あと、七福神も日本・インド・中国と異なる国の神様の集まりですし、中之島の煉瓦造りの建物も日本発祥のものではありません。
明治時代になり、煉瓦が入ってくるようになり建てられたものです。いろいろなところにアンテナを張ってみるだけで、面白く感じられるのが日本だと思います。
疑問を持つことが、社会を生き抜く突破口になる?
聞き手:先生はゼミ活動にも力を注がれていると思いますが、学生たちに何を伝えることを大事にされていますか?
神尾:「とにかく疑問を持とうね」ということです。
生きていて素通りしてしまう事ってたくさんあると思います。
アメリカの大統領が当選した理由や物価上昇の真相など考えなくても生活に支障はありません。けれど、ふと疑問に思うことが大事です。深掘りすることで知識の幅は想像以上に広がるはずです。
いつも学生たちには「どうしてそうなったのか、まずは一度考えてみようか」と問いかけるようにしていますね。
聞き手:問いかけることで、学生たちの気づく感度も高まっていく?
神尾:本当にそうです。
一度考えるきっかけを与えることで、学生たちは当たり前のように気づき始めます。
これまでは前からしか見られていなかったものが後ろから、右から、左から眺められるようになるわけです。
聞き手:視野が広くなるのですね。
神尾:その通り。
一つ面白い話があるのですが、法隆寺には聖徳太子の坐像があります。
実はその坐像、前からでは気づけないのですが、背面から見ると聖徳太子の身長が書かれているのです。
これだって「後ろはどうなっているのだろう」と気づけた人だけが得られる特権だと思いませんか。
聞き手:確かに。
神尾:あと、ことわざで「幽霊の正体は枯れ尾花」という言葉があります。
幽霊に見えるものが遠くにあるけれど、近づいてよく見ると単なる枯れ尾花だったという話です。これは学びも同じだと思います。
幽霊かもしれないと先入観で後ずさりしてしまうのと、本当に幽霊かなと突き進み確認するのとでは見える未来は確実に変わってきます。
ゼミの学生たちには後者であって欲しいと願っています。
そして私の役目は「見えているあれは幽霊じゃないよ」と背中を押してあげられる存在でありたいと思っています。
神尾:「とにかく疑問を持とうね」ということです。
生きていて素通りしてしまう事ってたくさんあると思います。
アメリカの大統領が当選した理由や物価上昇の真相など考えなくても生活に支障はありません。けれど、ふと疑問に思うことが大事です。深掘りすることで知識の幅は想像以上に広がるはずです。
いつも学生たちには「どうしてそうなったのか、まずは一度考えてみようか」と問いかけるようにしていますね。
聞き手:問いかけることで、学生たちの気づく感度も高まっていく?
神尾:本当にそうです。
一度考えるきっかけを与えることで、学生たちは当たり前のように気づき始めます。
これまでは前からしか見られていなかったものが後ろから、右から、左から眺められるようになるわけです。
聞き手:視野が広くなるのですね。
神尾:その通り。
一つ面白い話があるのですが、法隆寺には聖徳太子の坐像があります。
実はその坐像、前からでは気づけないのですが、背面から見ると聖徳太子の身長が書かれているのです。
これだって「後ろはどうなっているのだろう」と気づけた人だけが得られる特権だと思いませんか。
聞き手:確かに。
神尾:あと、ことわざで「幽霊の正体は枯れ尾花」という言葉があります。
幽霊に見えるものが遠くにあるけれど、近づいてよく見ると単なる枯れ尾花だったという話です。これは学びも同じだと思います。
幽霊かもしれないと先入観で後ずさりしてしまうのと、本当に幽霊かなと突き進み確認するのとでは見える未来は確実に変わってきます。
ゼミの学生たちには後者であって欲しいと願っています。
そして私の役目は「見えているあれは幽霊じゃないよ」と背中を押してあげられる存在でありたいと思っています。