「食文化(とくに米料理)」を手がかりとして他文化理解への理解を深めることを目指す。具体的には、日本の米食文化(自文化)と他の米食文化(他文化)の比較を通して他文化への理解はもちろん、自文化への理解も深める。」という方向性は決まったものの、正直、日本の米料理以外はあまり十分な知識を持ち合わせていませんでした。
そこで、実際に日本以外の国へ行き、現地の米料理を食べてみよう、ということになり、私たちが選んだのがフィリピン・マニラ。海外へ行くのは初めてというゼミ生も多く、不安と期待とが複雑に入り乱れる旅となりました。
到着当初は、乗り慣れない飛行機内での気圧の変化、3月の日本とは異なる湿り気を帯びた空気感、日本とは異なる交通事情などに戸惑いを隠せませんでした。ただ、徐々に接する人々の優しさが伝わるにつれ、緊張がほぐれていきました。
都市と下町が混在する町並み
フィリピン・マニラで私たちが調査したのは、フィリピンの食文化のなかに米がどれほど根付いているのか、という点でした。マニラを訪れる前にフィリピンには多くの米料理があることを調べて知識としては持っていましたが、実際に現地でその姿(コメ)を目撃したことで、当初持っていた認識は大きくアップデートされることになりました。
多彩なコメ料理
どこのレストラン、ファストフード店に行っても、必ずライスのメニューがありました。レストランでライスメニューを頼んでいないと、オーダーの確認をするときにウェイターが「ライス頼まなくていいの?」と最後に確認してきます。また、レストランで周りのテーブル卓をみてみると、どのテーブルにも必ずと言っていいほどライスが注文されていました。今まで、米といえば「日本」というイメージがありましたが、世界にはまだ、コメ食文化がたくさんあることを実感した瞬間でした。
ファストフード店にて
フィリピンで提供されるコメは日本の米(ジャポニカ種)とは違いインディカ米であったため、ゼミ生の中でも、パサパサしてうまみが少ない、という意見がある一方で、水分が少なく主張の弱い味は汁気や香辛料の多い料理との相性が良い、との意見もありました。
マニラ市内のスーパーにも多くの米が並ぶ
品種の違いはあるものの、マニラの日本食レストランでも多くの米料理が提供されていました。ここにフィリピンの食文化を理解する手がかりがある、すなわち「米/コメ」という手がかりをもとにフィリピンの食文化を深く理解することができるのではないかと感じました。
(左)スーパーで売られていたジャポニカ米/(中・右)和食レストランで提供されていた寿司
フィリピンではジャポニカ米も提供されており、今後は、フィリピンの米料理と日本米の相性、日本の米料理とインディカ米の相性についても検討してみたい、と考えています。