<半端ないプロローグ>
幼少期からサッカーを始め、「大塚製薬サッカー部(現・徳島ヴォルティス)」に所属し、プロサッカー選手としてキャリアを積んでいた。
2018年に西日本大学選抜U-19の監督として世界大会に参加した際、指導者としてのやりがいを感じるとともに、偉大なサッカー指導者たちとの出会いから自らの未熟さに気づいたことが、研究者の道へ進むきっかけとなった。
現在は総合情報学部でデータ分析のスペシャリストとして活躍する上赤坂准教授。「データ分析がもたらす、新たなサッカー戦略」について語ってくれた。その真相とは…。
2500本調べてわかった。
ゴールキックは、ゲームを優位に進めるための戦略になる。
聞き手:上赤坂先生は教員になるまで、ずっとサッカーを続けてこられたのですよね?
上赤坂:そうですね。小学校1年生からサッカーを始め、大学卒業後には「大塚製薬サッカー部」に入りました。今でいうJリーグ「徳島ヴォルティス」の前身となったチームです。そこから約10年間、プロサッカー選手として、気合いと根性を胸に戦い続けていましたね。
聞き手:まるでスポ根アニメのようじゃないですか。
上赤坂:サッカーは何よりも気持ちのスポーツ。ピッチでは「自分が1番だ!」くらいの心意気を持つことが大事なのです。
上赤坂:そうですね。小学校1年生からサッカーを始め、大学卒業後には「大塚製薬サッカー部」に入りました。今でいうJリーグ「徳島ヴォルティス」の前身となったチームです。そこから約10年間、プロサッカー選手として、気合いと根性を胸に戦い続けていましたね。
聞き手:まるでスポ根アニメのようじゃないですか。
上赤坂:サッカーは何よりも気持ちのスポーツ。ピッチでは「自分が1番だ!」くらいの心意気を持つことが大事なのです。
聞き手:そんな気持ちを重要視されている先生が、真逆の「データ分析」を研究するきっかけは何だったのですか?
上赤坂:それは、2018年のゴールキックのルール改正です。
これまでゴール前に広がる「ペナルティエリア」には味方も入れなかったのですが、改正後には入れるようになりました。
その時、ふと思ったのです。
相手にゴールを決められた後、キーパーは当たり前のようにロングボールを出すけれど、もしかしたらペナルティエリアにいる味方に向かって、細かくパスを出し、ボールをつないでいった方が有効なのじゃないかって。
聞き手:でも、ロングボールを出した方が自チームのゴールに近づきますよね?
上赤坂:想像してみてください。
ロングボールを蹴った後、味方と敵で空中戦になるでしょ。
つまりはボールを支配できる確率は50%。
けれど、近くにいる味方にパスを出したら支配率は100%。
その後、敵に取られて反撃にあう可能性もありますが。
聞き手:たしかに!支配率は100%ですね!
上赤坂:細かくつなぐパスが有効なのか、はたまた、それは空論なのか気になって。
実際に2年間で2500本のゴールキックの映像を見て、データ分析しました。
聞き手:2500本?半端ないですね!
上赤坂:結論としては、ロングボールを出すよりも、パスをつなぐ方がゴールに結びつく可能性が高いという結果が見えました。
現在、阪南大学サッカー部の副顧問として学生たちにサッカーを教えていますが、試合ではロングパスを蹴らないように指導しています。その方が、チームの勝ちに近づくとデータが教えてくれているからです。
上赤坂:それは、2018年のゴールキックのルール改正です。
これまでゴール前に広がる「ペナルティエリア」には味方も入れなかったのですが、改正後には入れるようになりました。
その時、ふと思ったのです。
相手にゴールを決められた後、キーパーは当たり前のようにロングボールを出すけれど、もしかしたらペナルティエリアにいる味方に向かって、細かくパスを出し、ボールをつないでいった方が有効なのじゃないかって。
聞き手:でも、ロングボールを出した方が自チームのゴールに近づきますよね?
上赤坂:想像してみてください。
ロングボールを蹴った後、味方と敵で空中戦になるでしょ。
つまりはボールを支配できる確率は50%。
けれど、近くにいる味方にパスを出したら支配率は100%。
その後、敵に取られて反撃にあう可能性もありますが。
聞き手:たしかに!支配率は100%ですね!
上赤坂:細かくつなぐパスが有効なのか、はたまた、それは空論なのか気になって。
実際に2年間で2500本のゴールキックの映像を見て、データ分析しました。
聞き手:2500本?半端ないですね!
上赤坂:結論としては、ロングボールを出すよりも、パスをつなぐ方がゴールに結びつく可能性が高いという結果が見えました。
現在、阪南大学サッカー部の副顧問として学生たちにサッカーを教えていますが、試合ではロングパスを蹴らないように指導しています。その方が、チームの勝ちに近づくとデータが教えてくれているからです。
約7割の確率で勝敗が決まる、データの正体。
聞き手:他にも試合の結果を左右するような「データの世界」を教えてもらえませんか?
上赤坂:先制点の話なんてどうですか。
聞き手:先制点?
上赤坂:Jリーグも含めた試合の話です。
前提として、サッカーは1点を奪うことが難しいスポーツではあるのですが、先制点を決めたチームは65〜70%の確率で勝利を収めています。しかもですよ、点数の差が広がることにより、勝率はさらに上昇します。2-0は80〜90%、3-0は98%も負けないとデータ上でわかっているのです。
聞き手:半端ない勝率ですね!
上赤坂:これはサッカーだけに限りません。
2023年に阪神タイガースが日本一になった年、試合データが気になり分析を試みました。すると野球も同じだったのです。先制点が試合を大きく左右することが数値として現れたのです。阪神タイガースVSオリックス・バファローズの日本シリーズでも50%以上の確率で先制したチームが勝っていました。
聞き手:すごい!これからスポーツを観戦するときの見方が変わりそうです。
上赤坂:一方で先制点のデータが選手たちの油断につながることもあると思っています。
上赤坂:先制点の話なんてどうですか。
聞き手:先制点?
上赤坂:Jリーグも含めた試合の話です。
前提として、サッカーは1点を奪うことが難しいスポーツではあるのですが、先制点を決めたチームは65〜70%の確率で勝利を収めています。しかもですよ、点数の差が広がることにより、勝率はさらに上昇します。2-0は80〜90%、3-0は98%も負けないとデータ上でわかっているのです。
聞き手:半端ない勝率ですね!
上赤坂:これはサッカーだけに限りません。
2023年に阪神タイガースが日本一になった年、試合データが気になり分析を試みました。すると野球も同じだったのです。先制点が試合を大きく左右することが数値として現れたのです。阪神タイガースVSオリックス・バファローズの日本シリーズでも50%以上の確率で先制したチームが勝っていました。
聞き手:すごい!これからスポーツを観戦するときの見方が変わりそうです。
上赤坂:一方で先制点のデータが選手たちの油断につながることもあると思っています。
聞き手:データが油断につながる?
上赤坂:例えば2-0で勝率が約9割だと知ると、選手たちはロボットじゃないので無意識に油断してしまうものです。そこから10%の隙を突かれ、試合に破れることだってあり得ます。そうならないために、私がサッカー部の学生たちに伝えているのは「有利なら有利なりの戦略を練ろう」ということです。どんなときも数値だけに踊らされず、気を抜かず、データを正しく活用し、勝つためのサッカーを指導できるように心掛けています。
聞き手:先生自身、データ分析の専門家なのに疑いながら活用されているのですね?
上赤坂:忘れましたか?もともと私は根性論の人間ですよ?(笑)
上赤坂:例えば2-0で勝率が約9割だと知ると、選手たちはロボットじゃないので無意識に油断してしまうものです。そこから10%の隙を突かれ、試合に破れることだってあり得ます。そうならないために、私がサッカー部の学生たちに伝えているのは「有利なら有利なりの戦略を練ろう」ということです。どんなときも数値だけに踊らされず、気を抜かず、データを正しく活用し、勝つためのサッカーを指導できるように心掛けています。
聞き手:先生自身、データ分析の専門家なのに疑いながら活用されているのですね?
上赤坂:忘れましたか?もともと私は根性論の人間ですよ?(笑)
データを分析する力は、自分を分析する力になる。
聞き手:阪南大学のサッカー部は、試合中もリアルタイムでプレーをモニターで確認しているとか?
上赤坂:そうですね。ピッチを上から撮影した映像をモニターに映し、その場で選手たちのプレーを確認・分析できます。モニターを置くことで、選手たちの試合に対する興味が増したように感じますね。
聞き手:それはどういった部分ですか?
上赤坂:巻き戻して見ることもできるので、「さっきのプレーの動きは本当に正しかったのか」、「なぜ、ボールを取られたのか」、「攻めを防げなかった要因は何か」など選手たちはモニター分析を通して、自分の問題点を見つけ、すぐさま試合で改善することができているように思います。
上赤坂:そうですね。ピッチを上から撮影した映像をモニターに映し、その場で選手たちのプレーを確認・分析できます。モニターを置くことで、選手たちの試合に対する興味が増したように感じますね。
聞き手:それはどういった部分ですか?
上赤坂:巻き戻して見ることもできるので、「さっきのプレーの動きは本当に正しかったのか」、「なぜ、ボールを取られたのか」、「攻めを防げなかった要因は何か」など選手たちはモニター分析を通して、自分の問題点を見つけ、すぐさま試合で改善することができているように思います。
聞き手:そういったデータ分析をする力は、学生たちが社会に出た後も役に立つと考えていますか?
上赤坂:データを分析する力は、自分を分析する力になると私は考えています。「仕事で失敗した」、「怒られた」など社会に出た後も様々な問題は起こると思います。そのときに「仕事で失敗したから次頑張ろう」ではなくて、なぜ失敗したのか、どこがダメだったのか。自分を深掘りしていくことが、まさにデータ分析と同じです。客観的に自分を分析する力になると思います。
聞き手:社会を生き抜く力になるのですね。
上赤坂:データを分析する力は、自分を分析する力になると私は考えています。「仕事で失敗した」、「怒られた」など社会に出た後も様々な問題は起こると思います。そのときに「仕事で失敗したから次頑張ろう」ではなくて、なぜ失敗したのか、どこがダメだったのか。自分を深掘りしていくことが、まさにデータ分析と同じです。客観的に自分を分析する力になると思います。
聞き手:社会を生き抜く力になるのですね。
上赤坂:データ分析って本音を言うと忍耐が必要な作業なのですよ。1試合90分を見るとなると、ものすごく集中力がいります。
けれど、確実に言えるのは、きちんと試合の振り返りを行なっている学生は伸びている子が多いです。
人が成長する上で1番重要なのは、自分をとことん知ることなのかもしれないですね。
けれど、確実に言えるのは、きちんと試合の振り返りを行なっている学生は伸びている子が多いです。
人が成長する上で1番重要なのは、自分をとことん知ることなのかもしれないですね。
阪南大学の“半端ないゼミ活動”
その他、阪南大学の“半端ないゼミ活動”はこちらからご覧になれます。
上赤坂先生所属の総合情報学部
総合情報学部 総合情報学科には上赤坂先生のスポーツデータサイエンス分野に加えて、「AI・データサイエンス分野」「ビジネスデータサイエンス分野」「情報システム分野」「デジタルコンテンツ分野」の5つの分野があり、最先端の情報通信技術を学び、情報活用力が身につけることができます。4年間の学びで、Society5.0を迎える情報化社会の中の、あらゆる分野で活躍できる人材になることでしょう。