産学連携先:タイ国政府観光庁

 清水ゼミではタイ国政府観光庁との連携し、日本人の訪タイを促進するプロモーションについて研究をおこなっています。現場から学ぶために毎年タイへの研修ツアーを実施し、現地を訪問しています。また今年は現地訪問事前準備プログラムとして、8月30日にタイ国政府観光庁大阪事務所様がワンデーインターンシップを企画してくださり、政府観光庁の仕事内容を学び、マーケティング案を提案、発表する機会をいただきました。このプログラムでタイの基本情報、観光庁の目的や業務内容を理解し、翌月9月10日から20日の日程(一部は18日まで)でタイへのゼミ研修旅行を実施し、チェンマイとバンコクを3年生ゼミ生12名が訪問しました。毎年大変お世話になっておりますタイ国政府観光庁のみなさまに心よりお礼を申し上げます。
 以下、学生の活動報告です。
(清水 苗穂子)
      
       

学生活動状況報告

■国際観光学部3年 中谷 真唯

「タイ国政府観光庁へ訪問」
  私たちは9月10日から9月17日までの8日間、タイ研修旅行に行ってきました。
今年はチェンマイとバンコクを訪れ、現地の観光状況の把握、新たな観光資源や観光客の受け入れ、異文化理解を目的とし学びに行きました。
タイ研修旅行では様々なことを経験しましたが、その中でも最大の目的であるタイ国政府観光局の本庁訪問とマーケティング戦略についてのレクチャー受講などを取り上げたいと考えます。
 タイ国政府観光庁日本市場担当の鹿野様よりタイの観光振興政策についてのお話をお聞きしました。タイ国政府観光庁はタイの観光を世界各国へ伝えるプロモーション活動や、タイ国民へのタイ国内旅行の促進活動、タイ国の旅行業発展への支援などを主に行っています。タイ国内には45カ所の事務所があり、海外には29カ所、その内日本事務所は3拠点、中国事務所は5拠点あります。
 タイ国政府観光庁の観光マーケティング戦略の方向性は大きく3つに分けられます。
 1つ目が「マス・ツーリズム」です。観光客数増加を目標とするマス・ツーリズムへの反省という意味です。
 2つ目は「レスポンシブル・ツーリズム」です。自然環境や地域の生活文化への負担を最小限にとどめ、同時に最大の観光収入を実現するという意味です。
 3つ目は、「クオリティ・ツーリスト」です。5MUSTsを提案し新規顧客の獲得と一人当たりの消費額の増加という意味です。5MUSTsとはTaste Try Buy Seek Seeの5つが挙げられています。タイ国政府観光庁はこれらの3つを軸に観光マーケティング戦略を行っています。
 また、タイ国政府観光庁は持続可能な観光の目標「STGs」という独自の政策を取っており旅行会社、旅行業者、旅行者へアプローチをしています。持続可能な循環も大切にしており、高い満足度、観光業界のプライド、スキルと知識の向上、付加価値の創出、これを持続可能性と言っています。以前は象の背中に乗ることを観光としているツアーが数多くありましたが、現在の持続可能な観光に貢献するコンテンツの例をあげるとCTBツアーである象の水浴びのお手伝いやえさやり、ウミガメの放流、エクスクルーシブな体験である鉄道旅行などが挙げられます。
 最後に、鹿野様から「自分だけの観光地を探してください」と助言もいただき、私にとって貴重なタイ研修旅行になったと感じます。今回のタイ研修旅行にはタイ国政府観光庁大阪事務所の方々、タイ国政府観光庁日本市場担当鹿野様、清水先生など様々な方々からご協力いただきました。心よりお礼申し上げます。誠にありがとうございました。

 ■国際観光学部3年 土井 太河


「タイ研修旅行を終えて」  
 清水ゼミ3回生は9月10日から17日の間、7泊8日のタイ研修旅行を実施しました。
 タイ研修旅行は、現地の観光状況の把握、新たな観光資源や観光客の受け入れ、異文化理解の3つの目的の上、実施されました。
 研修1日目から4日目はタイの第2都市であり、自然や古都であった文化を感じることができる「チェンマイ」を訪れました。5日目から8日目は、近年経済成長が著しく、東南アジアきっての大都市「バンコク」を訪れました。大都市と言われるバンコクと、自然に囲まれたチェンマイの両方を訪れた理由は、都市間で現地の観光状況の比較をすることができ、それぞれの都市にしかない魅力を感じたかったためです。
 今回のゼミ旅行では、旅行会社等を利用せず、旅程や航空券・ホテル・現地交通手配等、全て自分たちで行いました。ゼミ生全員がタイの観光地や交通事情について事前に調べておくことができたため、現地で迷うことも少なかったと感じました。
 チェンマイでは、2日目に「ワット・チェンマン」、「ワット チェディルアン」、「ワット・プラシン」の3寺院を訪れました。これらの3寺院は、旧市街地内にあり、すべて徒歩10分程度であったため、町並みを散策しながら巡ることができ、同時にチェンマイが700年以上の歴史を持つ都市だということを実感できました。
 3日目にはパタラ・エレファントファームを訪れました。ここは、食事や水浴びなど象のお世話や健康管理の実地体験を通して、象について学ぶことができる施設です。ゾウと人間が共存することを目的としているツアーで「エレファント・ケア・ツーリズム」とも呼ばれています。私達は実際、川がある場所までゾウに乗りました。そして川の水でゾウの体を洗いました。初めてゾウと触れ合ったのですが、愛着が湧きお別れがさみしいほどでした。
 4日目、モン族という少数民族が住んでいるドイプイ村を訪れました。この村はもともと、アヘンの原料であるケシを栽培していた暗い歴史があり、これを解決しようとタイ国王が名を上げてロイヤルプロジェクトを立ち上げました。そのおかげで今は、コーヒー豆の栽培が主な産業で、私達も美味しいコーヒーを頂きました。また、狭い路地の脇でたくさんのお土産屋があり、手作りの編み物やカバン等が売られていました。しかし、お土産は物価が安いタイの中でも、一段と値段が安く、民族の方の労力と価格があっていないのではと考えさせられる場面もありました。
 5日目から、飛行機でバンコクに向かいました。バンコクでは、三大寺院と呼ばれる「ワットプラケオ」、「ワットアルン」、「ワットポー」の他に、エメラルドに輝く仏塔と天井画がとても美しい「ワットパークナム」を参拝しました。どの寺院もとても見ごたえがあり、またタイが仏教大国であることを実感しました。チェンマイの寺院は、地元の僧や、住民の参拝が多いと感じましたが、バンコクは寺院全体が観光スポットになっており、写真を取っている外国人が多いという印象を受けました。
 バンコクには、とても多数のショッピングセンターがあるのですが、その中でも大規模の「アイコンサイアム」と「MBKセンター」を訪れました。アイコンサイアムの地下エリアは、タイのマーケットのような作りになっていて、美味しいタイ料理をリーズナブルな価格でいただくことができました。
 7日目、今回のタイ研修の最大の目的であるタイ国政府観光庁(通称TAT)を訪問しました。TATは「海外からタイへのインバウンド、及び国内旅行のマーケティング」を第一に行っている機関です。前半は、今回担当していただいた鹿野様から、タイ国政府観光庁の役割や事業内容に付いてのお話を伺いました。お話の中で、チェンマイを訪れる日本人観光客は全体の5%程度であると知りました。私も最初、チェンマイに対するイメージがなかなか沸かず、何ができるのだろうと思っていました。しかし、実際に訪れて、チェンマイでしか体験できない経験をしたあとは、バンコクだけでなく、チェンマイの魅力を日本人に伝えたいと思うようになりました。今回の研修で、実際に足を運ぶことが大切であると実感しました。
 後半は、「タイに行く前の印象と行った後の印象の変化」というテーマで、TATの方々に発表しました。タイに行く前は、治安や衛生面などの不安を持つ学生も多かったのですが、実際訪れてみるとそのような心配はなく、チェンマイ、バンコクそれぞれ違う良さを感じることができたということを学生目線でお伝えしました。
 今回のタイ研修が私にとって初めての海外でしたが、これらの経験を通じて自分自身とても成長できたと感じています。ゼミの仲間とも、より仲を深めることができてとても有意義な時間でした。 
 
 
■国際観光学部3年 YAN WENYI

「ゼミのタイ研修に参加して」
 私は中国国籍の3年生からの編入生です。中国の大学では日本のゼミのような授業はなく、みんなそれぞれ勉強に打ち込み、ただ黙々と学び、そして卒業していきます。私はずっと日本の学校の卒業旅行や合宿のような活動に憧れていました。それらは、学生同士の友情を深め、素晴らしい思い出を作ることができると感じていたからです。ですので、今回のタイへの研修旅行で異文化に触れながら、私自身の一つの夢も叶えられました。
 大学が夏季休暇中だったので私は上海に帰省したので、私だけが一人で飛行機に乗ってタイに行くことになりました。チェンマイのホテルで現地集合です。今回私は初めて海外旅行を実感しました。これまで何度も日本に観光で訪れたことがあり、小さい頃から日本の文化に触れていたこと、そして漢字を使っている点など、共通点が多いことから、日本での旅行や生活にはそれほどの違和感はありませんでした。しかし、私は東南アジアの国々に対して、発展途上国というイメージを持っていたため、空港からホテルへ向かうのに知らない人の車に一人で乗ることに少し不安を感じていました。しかし、迎えに来てくださった運転手はとても親切で、簡単な英語でのコミュニケーションも可能でした。彼は終始笑顔で接してくださり、ホテルに着いたときには荷物まで運んでくださったのです。その時点で、チェンマイが安全かどうかの心配は完全になくなり、それまでの自分の考えに対して恥ずかしさを覚えました。
 タイでの旅行で特に印象に残っているのは、エレファントサンクチュアリーです。これほど間近で象と接するのは初めての経験でした。初めは少し怖かったのですが、それは象の体があまりにも大きく、もし突然怒り出したらどうしようという不安があったからです。しかし、象の生態系や習性について少し学び、また象と過ごす時間が長くなるにつれて、そうした不安は徐々に消えていきました。まさか自分が泥まみれの竹かごを抱えて、泥だらけのサトウキビを手で象の口元まで持っていき餌をあげることなど想像もしていませんでした。また、サンダルを履いて泥の上を歩くことや、象と一緒に時折象の糞が浮いてくる水の中で象を洗うなんてことも、全く予想していませんでした。これらのことを経験していない人は、文字を見ただけで嫌な顔をするかもしれませんが、実際に経験した私は、最後に象と別れる時には寂しさを感じていました。動物と人間が共に過ごす時間は本当に愛おしいものだと、他の人々にも知らせたいです。
 タイ研修でのさまざまな体験の後、7日目に私たちはバンコクのタイ国政府観光庁でレクチャーを受け、その後自分たちの研修での体験を振り返り、いかに日本人をタイに引き付けるかについて各自発表を行いました。学生たちがそれぞれ今回のタイ研修旅行についての感想を述べ、多くの学生が「想像していたタイとは全く違った」と語っていました。私も同じく、その印象を持っています。特に印象深かったのは、チェンマイの滞在後に皆がチェンマイをとても気に入ったと言っていたことです。このタイ研修を企画しているとき、ゼミ生たちは「チェンマイを魅力的には思わない」と言っていましたが、先生が「最初からそのような結論を出すじゃなくて、実際に現地に行ってみてからどう感じたのかを教えて」とおっしゃったことです。私の父も同じように私を教育してきました。小さい頃、私は未知のものに対して抵抗を感じやすい性格でした。行ったことのない場所や食べたことのない食べ物には特にそうでした。家で初めてドリアンを買った時、私はその匂いだけで遠くに逃げたくなりました。しかし、父は私に「まずは一口食べてみなさい」と強く言い、勇気を出して一口食べたところ、その甘くて柔らかい食感に驚き、それ以来ドリアンが大好きになりました。そして「試してみる」ことの大切さを学びました。
 留学生として、また編入生として、私はずっと大学の環境に溶け込めるかどうか心配していました。しかし、今回の旅行を通して、多くの気配りと優しさを感じました。この夏休みは本当に充実していて、とても楽しい時間を過ごすことができました。ありがとうございました。