複合機器メーカーご出身の外部講師(兵庫県立大学大学院)䓶木 正史様(いばらき経営研究所代表)を招聘し、デジタル機器の特に複合機や自動車の近年のデジタル手法による製造工程や生産管理方法について講義をいただきました。現在、デジタル複合機の世界シェアは複数の日本企業で80%を占める状態になっています。
多くのエレクトロニクス製品やデジタル技術で日本企業の苦戦が見える状況の中で、なぜデジタル複合機は競争優位を得ているのかということに受講生の関心が集まりました。
複合機や自動車製品は、部品どうしの組み合わせが複雑で生産数が数百万~数千万台と大規模であることが特徴で幾つかの機能が複数の部品どうしの相互依存関係が上手に成立する「すり合わせ要素」が不可欠です。複合機や自動車が製品づくり手法として「共通している点/共通してない点」ことは何か、その理由と「すり合わせ・インテグラル」と表現する意味と共に、蓄積されているノウハウが今後どのように変わっていくのか、予想されるものづくり手法の変化についても学習できる貴重な時間となりました。

千島ゼミ受講生の感想とコメント

  • デジタル複合機という製品の特性と各ユニットが相互に、緻密に連携するという意味が日本企業の組織風土にも合い、歴史的な蓄積の下で高い業界シェアにつながったと感じることができました。
  • 近年は、製品単体だけでなくソフトウェアやアプリケーションの機能を外部から積極的に取り入れる手法が一般的で、スマートフォンを使った生活の中にも根付いています。講義ではバランスの良いエコシステムの構築が競争優位の条件になると聞き、複合機メーカーが本体と消耗品の価値を独占することで閉鎖的なエコシステムに突入しないか気になりました。
  • 技術は社内に留め参入障壁を築く一方で、別製品の携帯電話がガラパゴス化した反省を踏まえると、普及や使い易い状態にするためには、ある程度の公開性も必要になると思います。企業が時間を掛けて蓄積したことを秘密にする理由はわかるが、こうした部分と公開する部分のバランスはどのようにするのか、企業経営の難しい課題だと実感しました。